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SE コンピュータ関連職について

Computer-related work コンピュータ関連職については、精神的疲労が激しいと言われている。
代表的な仕事は Software developer システムエンジニア である。
アメリカ語でSystems Engeneering といえば素直にシステム工学のことになるようで、日本語のSEに対応するのは Software engineer, Software developer らしい。

具体的な仕事はクライアントの要求を聞き、業務の内容を検討し、仕様を提案し、ハードウェアとソフトウェアを期限までに必ず用意し、運用管理し、何かあったらいつでも携帯一本で駆けつける。
たとえば銀行の業務について言えばほとんど銀行屋になれそうなものだし、鉄道のシステムを作るとなれば、鉄道業務の専門家になってしまう。
そんな難しい仕事なのになかなか報われず苦労している。

仕事の大変さを具体的に言えば
・仕様の曖昧さがまずあげられる。注文する方も、昔からこうやっているというだけで、コンピュータ化するにあたりどうしたらいいのか、本当のところは分かっていないらしい。それでは最初から話が難しい。しかしIT化は国家戦略でもあるから推進する。
・教育機会の不足がある。SEは学校を出たてだと最新版である。年数がたてば古くなっている。古い人は古いソフトの手当を行うという業務がある。その一方で新しいことも学ぶ必要があるらしい。古いソフトの手当は楽かというとそうではなくて、他人の作ったものは見当もつかないことも多いらしい。
・仕事の量的負担が大きい。働き過ぎの典型的業種である。もう一つの典型はテレビ局のADさんである。どちらもほぼ泊まり込みの状態で酷使される。締め切りと業務量を考えるととても釣り合わない案件を営業が決めてしまうらしく、現場はとにかくやるしかない。
・人格的接触の乏しさがあげられる。それどころではなくて目の前のシステムを完成させるしかないのだ。記号の羅列に野生の勘が働くまでになるらしい。そのころにはもう社会では例外的存在になっていて、うまくいかなくなっているらしい。
・仕事の要求水準の高さが指摘されている。これは二面あって、一つは、相手がコンピュータなので、完全につじつまを合わせないと動いてくれないこと。隠れたバグがあっても、あとで直せばいいが、とりあえずは健康に動いてくれないといけなくて、そこまで行くのにも徹夜が続く。もう一つの要因は、クライアントのコンピュータに関する無知で、いくら何でも無理な要求もあるらしい。

SEさん以外でも、経理や人事でも労働時間の大半はコンピュータを相手にして、データを管理しているらしい。設計関係もそうで、一日画面を見て、歯車の精密図面を引いているという。
そうした場合、コンピュータにより自動化されて省力化されそうな気がするのだが、現実には仕事の密度が上がってしまうのだという。かえって休みなく働いてしまう。たぶん、書類一つを作るのにも、あれこれ注意したり、不具合を訂正するためにほかに影響が出たりして、結果として時間がかかるらしい。アウトプットはもちろん従来に比較してすばらしいものができるのだけれど、活用されるのは一部分かもしれない。

SEの話に戻ると、一応納品しても、そこからクレーム対応と保守管理が始まる。不安定な部分があると月曜日の朝8時までに直してくれと要請される。土日が潰れる。それがいやなので、最悪の場合を設定して何度もテストを繰り返す。もともとが強迫性の強い人たちなのであるが、なおさら強迫的になる。それでもクレームは来てしまうので、いったいどうしたらいいのかと途方に暮れる。そんなとき、仕方ないとあきらめてしまえればいいのだけれど、今度こそは何とかできるはずと思ったりする。そうするとさらに強迫的になる。疲れは増して、注意が減退するとバグが発生して、作業量は増える。悪循環の中で疲弊する。

プロジェクト管理していてもプロジェクトの全体が見えている人はいない状態で、暗中模索というのも、精神的によくない。しかしどうしようもない。プロジェクトの全体を把握しようとすればまた仕事が増える。せっかくやった業務が無意味だったということもよくある。徒労であると感じてため息をつき、チェックリストには虚無感と記入することになる。

技術や知識が陳腐化しやすいので、早く管理職になっておかないと難しい面もある。使い捨てなのかという疑問がわく。
結果として転職したりする人も多い。流動的な職場になる。また最近では多企業による合同参入でひとつのプロジェクトを請け負うこともあり、そうなると組織への帰属感はなおさらに薄くなる。そうなるとチームプレイの意識も育ってこない。

職人ならどんな業界でも経験が生きるものだが、SEはそうでもないらしく、頑固一徹な職人芸とも行かないらしい。旋盤工などは、世界一の平面を作る人などがいるものだが、なかなかむつかしい。そういう人もいるのかもしれないが、クリニックには来ない。

慢性過労のほかに、対人関係の不全もこの職種の人の特徴だと思う。もともと対人関係が苦手だからコンピュータを相手にしたという経緯もある。コンピュータに向かっているうちに、対人関係について悩むことをしなくなってしまい、結局うまくいかないという人もいる。
そのような人たちが集まった場合、自分も対人関係が不得意なのだが、相手も不得意ということがあり、なおさらうまくいかない。

病名としては、旧来のうつ病、つまりメランコリー型うつ病というよりは、適応障害ないしは性格障害、あるいはディスチミア親和型うつ病などのカテゴリーが相当する。若年型が多い。

不眠症は多く、当然過労が原因である。胃腸障害も多く、過敏性腸症候群の形をとるものもある。ほかに肩こり、頭痛、冷え性、のぼせ、高血圧、低血圧、自律神経失調症が多い。
日中の耐えられない眠気という例、注意集中困難という例もあり、ナルコレプシーや睡眠時無呼吸症候群を疑う場合もある。
パニック障害はうつ状態と排他的に起こるよりも、うつ状態との併存として見られることが多い。パニック障害の結果としてうつ状態になっている場合もあり、過労がパニック障害とうつ状態の両方を引き起こしている場合もあり、いずれとも判別のつかないこともある。

治療では休職して一時的にストレスの原因から離れることが有効でかつ不可欠である。抗うつ剤は効くこともあり、効かないこともあるが、飲んでいて損はない。
復職の際に企業ごとに復職プログラムを持っていることが多い。自分は過剰適応であること、強迫成分をうまく薄める必要があること、睡眠は確保することなどを、むしろ自発的な洞察として作文してもらうことも有効である。再度類似の状況に陥らないよう、教育的な配慮が不可欠である。

全体に比較してSEは精神科受診率が高いと思われるが、当面の印象では、ぎりぎりの労働を強いられていること、せっかく働いたのに無駄になるケースもあること、年数がたってもスキル向上の実感がないこと、給料が多くないこと、周りも対人関係が苦手なことなど職場側の要因が大きいように感じられる。

最近は業種業界を問わずこんな感じではあるが、古い大きな会社だと人事が手厚く囲い込むことがあり、人事預かりのリカバリー途中の人材がたくさんいるらしい。産業医は多くは内科のベテランのお医者さんで、これは頼りになる。人生相談も可能である。

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