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躁うつ病

あるサイトから採録。

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躁うつ病という病気についてはじめに躁うつ病は、クリペリン(ドイツの精神
医学者、1856~1926)により概念化されて以来、ずっと呼び慣わされてきた疾
患名でありますが、現在では、すべてにわたり持続的な意味をもつ気分
(mood)という用語がより適するとして、気分障害という語が用いられるよう
になってきました。
しかし、この章では、従来の「躁うつ病」の病名を使用することにします。

躁うつ病(気分障害)は、統合失調症と並んで内因性精神病の一つとして重要な疾患で、一卵性双生児(遺伝素質が同じ)の一致率が高い事から、遺伝疾患であ
ることが広く認められており、初発年齢は、おおよそ思春期以降で、女子の方
が男子よりも多いと言われています。
また、同じような症状が、アルコ-ルや薬物の乱用、脳の外傷や脳腫瘍などに
よって見られる事もありますが、ここでは、心理的な原因や原因不明で起こる
心の病気としてとり上げたいと思います。

感情とは誰もがもっている、喜び、怒り、哀しみ、楽しさなど心の中に湧き出
してきた感覚を意識したものです。また持続的で、弱い漠然とした感情を気分
と言い、爽快気分、抑うつ気分などがあります。

現在の社会では、リストラ、就職難、受験などにより色々な悩みや、ストレス
を抱える人々が増え続けており、躁うつ病(気分障害)を持っている患者の数
は、確認されているだけでも、軽症を含め、おおよそ全人口のうち35%の人
が1度は経験すると言われる程で、さらに近年病院を訪れる人数も増加傾向に
あるようです。

2つの基本的な気分の異常として、うつ病と躁病があり、その症状は、精神病
的水準にも達しており、正常な過程とは著しく異なり、早期治療を必要としま
す。
うつ病の症状うつ状態を起こすのに十分な心理要因がある場合は、反応性うつ
病または抑うつ反応と言いますが、近年では、内因性うつ病の発症にも環境要
因が重要な役割を果たしていると考えられていて、両者は必ずしもはっきりと
区別する事はできません。

うつ病は、女性の方が起こりやすく(女:男=2~3:1)、おおよそ20代
後半から30代にかけて、発症すると言われています。多くのうつ病患者は、
抑うつを訴え、その初期症状に見られる特徴として、まず不安や焦燥感(イラ
イラ)として現れ、さらに、疲れ、不眠、呼吸困難、頻脈、または頭痛などの
痛みなどを訴える事があり、日常生活もままならない場合が多く見られます。
時には、絶望のあまり、自殺をしてしまうこともあります。

特  徴
精神的症状
抑うつ気分、昜刺激性、不安、快感消失症、興味の消失、熱意の喪失、感情的
結びつきの減弱、対人関係における引きこもり、死へのとらわれ、自己批判、
無価値観、罪悪感、悲観、希望のなさ、絶望、集中力の乏しさ、記憶の障害、
うつむきかげんでゆっくりとした動き、涙もろい、悲しげな顔がみられます。
 
身体的症状
不眠または過眠、食欲不振または食欲亢進、乾燥した口と皮膚、便秘、体重の
減少または増加、動悸、めまい、息切れ、熱発、冷感などの自律神経の失調な
どを伴います。
躁病の症状躁病は、気分の高揚が強く、たいした理由もないのにはしゃぎ回
り、そのあまりにも気分が良すぎる事から、症状を訴えない事が多く見られ、
生命感にあふれ、表情が明るく、自信過剰となり、自分の行動の行き過ぎ(早
口、大声など)や乱暴・暴言に気付いていない人も中にはいるようです。特徴
として、妄想もよく見られますが、自分が金持ちやどこかの国の大統領だとい
った誇大妄想や、自分は異性にもてるといった恋愛妄想など、その症状は様々
です。発病率は、うつ病と比べると少なく、うつ病のおおよそ6分の1から7
分の1と言われています。

特  徴
興奮、高揚した気分、大声で話す、多幸感、自己中心的、要求が多い、情動不
安定、誇大性、我慢できないなどの特徴があり、悪化すると支離滅裂な会話、
判断力の乏しさ及び金銭感覚の欠落、無秩序、妄想または幻覚などが見られま
す。 躁うつ病の経過躁うつ病は、一般的には、躁うつの状態が反復して見ら
れる事が特徴とされていますが、躁うつのどちらか一方が単独に現れる事もあ
ります。
経過としては、主として次の三つがあげられます。

単発性 … 躁またはうつの状態がどちらか1つだけのもの
周期性 … いずれか一方(躁病なら躁病ばかり、うつ病ならうつ病ばかり)が
周期的に繰り返されるもの
循環性 … 躁とうつの状態が交互に繰り返し反復されるもの
躁うつ病の特徴また、躁うつ病の特徴としては、次の三つが主なものです。

生命感情の障害を示す病気で、躁うつ病以外の精神障害でも、同じような症状
が見られるが躁うつ病ほど著しくない。
周期性の経過をとり、正常にもどる時には、ほとんど障害を残さない。
予後は良好で、自然に治る事もある。ただし、うつ病で長い年月にわたって、
症状が持続する場合は、身体的持病(高血圧症、胃潰瘍、糖尿病、神経痛な
ど)の合併、あるいは持続的なストレスなどが見られる場合がある。

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以上で、躁うつ病についてのおおまかな説明を終わりたいと思います。躁うつ
病は、軽い症状のケ-スだと見落としやすく、診断が大変難しい病気です。そ
の分、変化を感じた家族の方などの協力(相談など)、早期発見がとても大事
になってくるのです。

参考文献
「加藤伸勝編、目でみる病態-精神科-」
「大原健士郎編、「心の病」その精神病理」
「デビッド・A・トム編、レジデントのための精神医学」

躁うつ病になりやすいタイプ(人)と躁うつ病をチェックするポイントはじめ
に前ページで、躁うつ病について、おおまかな説明はご紹介させて頂きました
が、今回は、躁うつ病になりやすいタイプ(人)と躁うつ病をチェックするチ
ェックポイントについて、ご説明させて頂きたいと思います。
躁うつ病になりやすいタイプ(人)これまでに、いろいろな精神科医によっ
て、躁うつ病になりやすいタイプ(人)には、いくつかのパタ-ンがあること
が報告されています。
中でも有名なのは、1921年に、ドイツの有名な精神科医クレッチマ-が、
人間の体型を四つのタイプ(①痩せ型、 ②肥満型、③筋骨型、④発育異常
型)に分類し、躁うつ病は肥満型に多く、性格は循環気質(躁うつ気質)であ
るとしたことです。

循環気質の特徴には、

人付き合いが良い、親切である、親しみやすい
朗らかである、ユ-モアに富む、激しく興奮しやすい
物静かである、落ち着きがある、物事を苦にする、柔和
などがあり、中には陽気で快活で、人付き合いの良い型と孤独で引っ込み思案
の型とがあるとしています。
クレッチマ-は、これらの特徴が、著しく異常なまでに達したものを循環病質
と名づけました。

しかし、躁うつ病の病前人格には、これまでに述べた循環性格のほかに、思い
込みが激しく、頭の切かえが難しい等の執着性格が重要であることが、わが国
の下田光造(1950年)によって指摘され、その後に、ドイツの精神科医テ
レンバッハも、ほぼ同様の性格をメランコリ-親和型人格と呼んでいます。
メランコリ-とは、ドイツ語でうつ病という意味です。この型の人は、まじめ
で几帳面な人が多く、いつも組織や構成の整った状態の中で、密着して生きよ
うとしています。
具体的には、仕事や周囲の人たちとの関わりの中で、はっきりと見られる事が
多く、組織内での自分の評価がしっかり保たれていればいいのですが、このよ
うな状態が保たれない状態になった時に発病する事があります。

うつ病の発病に関する原因として次のような事が挙げられます。

個人・家族に関する出来事 
近親者・友人の死亡、別れ
病気、事故
家庭内での問題(けんか・浮気など)
結婚、妊娠、出産、月経、更年期
引越しなどによる環境の変化
財産の喪失

職場などに関する出来事
定年
仕事による過労
家庭の経済問題
 職場の移動(転勤、配置転換、転職など)
昇進
退職(リストラも含む)
職務内容の変化
仕事上の失敗
病気による欠勤と再出勤
昇進試験や研修
 
躁うつ病のチェックポイント躁病のチェックポイント
そわそわして、落ち着かなく、電話をかけたり、よく外出したりする
原色の服を着たり、アクセサリ-等で身辺を飾ったり、派手な化粧をする
1日に何度も買い物に行く(お金の使い方があらい)
よく食べる
あまり寝ない(早く目が覚める)
異性に強く関心を示す
誰にでもよくしゃべりかける
怒りっぽく、よくけんかをする
偉くなに威張ったり、ありえないような大きなことを言う
いきいきとした表情をしている
頭の回転が速く、要求を押し通そうとするなど
以上のような事が、躁病になると認められます。

うつ病のチェックポイント
身体的訴え 
身体不定愁訴
頭が痛い
お腹が痛い
胸が苦しい
よく食べる
めまいがするなど

自律神経失調症
体が重く、疲れやすい
眠れず、起きるのがつらい
口や喉が渇く
手足のしびれを感じるなど

心理的訴え
抑うつ気分(感情)
自信がない
生きている意味がない
将来に希望が持てない
死にたいなど
思考制止
物忘れ
人と話をしてもパッとしない
新聞やテレビを見てもパッとしない
頭の回転が悪く、考えがまとまらないなど
 

以上のような訴えが、うつ病になると認められます

躁うつ病の方には、以上のようなチェックポイントが多く認められますが、多
く認められるからと言って「病気?」というわけではありません。
病気であるかどうかということは、チェックリストなども参考にして、医師が
専門家の立場から決めることなのです。
ですから、周囲の方が変化を感じた時は、専門医への相談を勧めることが大切
です。
さいごに躁うつ病について、どういった病気なのか、おおまかにはご理解頂け
たかと思いますが、躁うつ病は、決して珍しい病気ではありません。
病気の再発を減少させる為にも、予防と治療に一番大切なのは、躁うつ病に限
らず、『病気であることを自覚すること』です。
これは、患者さん本人だけの問題ではなく、家族の中にも「家の子にかぎって
…」「自分の身内にかぎって…」等と主張する人がいます。
躁うつ病は、精神的なストレスによって大きく左右される病気です。
患者さん本人と家族が、十分に病気を理解する事も治療につながるのではない
でしょうか?

以上で、躁うつ病についてのご説明を終わらせて頂きますが、皆さまに少しで
も参考になれば幸いです。
参考文献
『「心の病」、その精神病理』
「現代臨床精神医学」

 



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