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観光産業は、需要が100日に集中している

日本の観光産業に対する需要は、直接的な需要だけで約23兆円。自動車産業(約49兆円)の半分近くある。

 にもかかわらず、なぜ主要産業になっていないのか。問題は収益力にあります。生産性が低くて、23兆円もある需要から利益を引き出す力がないのです。

 日本の製造業の生産性は世界でもトップクラスですが、サービス業全体では、米国を100とした指数で測ると60程度と、米国に比べて40%も低いと言われています。これは2004年の調査ですが、その中で観光産業は60どころか25しかありません。

観光産業は実は景気の変動に対して、強い。

 私は、バブル崩壊も今回のリーマンショックも経験しました。製造業は2~3割も需要が落ちましたが、それに対して観光産業はほとんど需要が落ちていません。産業の規模が大きくて、安定しているのです。

 日本のサービス産業におけるボトルネックの一つは、需要の集中にあります。製造業ではそれが起こらない。自動車産業なら、毎月ほぼ同じ台数が売れていく。だから、毎日、ほぼ同じ台数の車を作っている。ところが、私たち観光産業は、需要が100日に集中しています。土日とゴールデンウィークと年末・年始です。それ以外の265日は閑散としています。日本の製造業に、100日は製造していいが、残りの265日は製造してはいけないというと、さすがに生産性も下がるでしょう。

 観光産業では、そういう状態が日本全国で起こっている。だから、休みを平準化するというのは、日本のサービス産業・観光産業の生産性を格段に上げる手段として、非常に有効なのです。国の施策としては、休日の平準化が、生産性の向上に一番効くと思います。

トヨタに、日産にわれわれは学ばなくてはいけないと、私は言い続けているのです。そこに日本の強みがあるからです。彼らのクオリティコントロールや、ラインで手待ち時間を減らして生産性を上げていく技術を、今こそサービス産業・観光産業に、いかにノウハウとして取り込んでいくかが大事です。



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