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野心 グレイス・ペイリー

小説家、グレイス・ペイリーについて、村上春樹の紹介がある。

グレイス・ペイリーが寡作であることについて、
二つの理由があるという。
一つは、彼女の人生に三つの柱があり、
それは家庭と政治と書くことである。最初は育児に忙しく、
そのあとは、政治に忙しかった。それゆえ、佳作であった。
もう一つの理由は、彼女に野心がないことである。
「孫の顔を見ることの方が、一つの小説を仕上げることより大事」
という。

野心という、まことに荒々しい言葉が、否定的にではあれ、
放り出されて見ると、考えさせられる。

私には多分、野心がある。
過剰なくらいに、ある。

しかしそれは実現しない野心であって、
大変困る。



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穂村弘「本当は違うんだ日記」

私が普段読んでいる文章とはかなり肌触りの違うもの。

生活していて、等身大の人間が、
あれこれ感じたり発見したりしている様子が面白い。
オリジナルな感じがある。
この人が生きているということはこういうことなのかと思う。
実際の手触りがある。

あとがきから引用。

今はまだ人生のリハーサルだ。
本番じゃない。
そう思うことで、私は「今」のみじめさに耐えていた。
これはほんの下書きなんだ。
いつか本番が始まる。
そうしたら物凄い鮮やかな色を塗ってやる。
塗って塗って塗りまくる。
でも、本番っていつ始まるんだ?
わからないまま、下書き、下書き、リハーサルと思い続けて数十年が経った。

そして鼻毛が銀色だったことに著者は気がつくのだった。



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