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三月三日は、うらうらとのどかに照りたる。

 三月三日は、うらうらとのどかに照りたる。桃の花の今咲き始むる。柳などをかしきこそさらなれ、それもまだまゆにこもりたるはをかし。広ごりたるはうたてぞ見ゆる。
 
 おもしろく咲きたる桜を長く折りて、大きなる瓶(かめ)にさしたるこそをかしけれ。桜の直衣(なほし)に出袿(いだしうちき)して、まらうどにもあれ、御兄(せうと)の君(きん)たちにても、そこ近くゐて物などうち言ひたる、いとをかし。
 
(現代語訳)
 
 三月三日の節供は、うららかにのんびり日が照っているのがよい。桃の花がまさに咲き始めるのも趣きがある。柳などが趣深いのはもちろんだが、その柳もまだまゆのような新芽で外皮に包まれているのはおもしろい。でも、それが広がってしまっているのは見苦しく思える。
 
 美しく咲いた桜の枝を長く折って、大きな花瓶に挿してあるのはとても趣きがある。桜の直衣に出(い)だし衣をして、お客人にせよ、中宮様のご兄弟の殿様方にせよ、その花瓶近くに座って何か語らいをしているのは、とてもいいものだ。
 
(注)直衣 ・・・ 貴人の平服。
(注)出袿 ・・・ 指貫の上、直衣の下から下着のすそを下ろすこと。
 
*****
出袿 ・・・ 指貫の上、直衣の下から下着のすそを下ろすこと。
これは、現代の若者の着衣に似ている。

三月三日は、うらうらとのどかに照りたる。桃の花の今咲き始むる。柳などをかしきこそさらなれ、それもまだまゆにこもりたるはをかし。

この一節は、
春の苑(その) 紅(くれない)にほふ 桃の花 下照る道に 出で立つをとめ

うらうらに 照れる春日に 雲雀あがり 心悲しも ひとり思へば
により、家持を思い出させる。

しかも、桃の花の今咲き始むる。であり、
さらに、まだまゆにこもりたる、であって、
実につややかである。

そして最後は、広ごりたるはうたてぞ見ゆる。で、
品格を守りきれないところが、かわいい。

二十歳も過ぎたのに、昼はギャルしてる、8丁目の女性たちに通じる。

桃の花が咲き始め
南風も吹いてきた
柳は繭にこもってて
わたしは少女
冷たく薄い白い皮膚して

今日はギャルしちゃった!と
はしゃいでいる

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香り立つ

春になって人の香りが立ちのぼるようになった

人によっては、かなり苦しい香りもないではない

それも一種の自己主張で、
存在の主張である。

人によっては実に好ましい香りを残してゆく人もある。

真実を嗅ぎ取るといえば名探偵を誉める言葉だが、
実際、嗅覚は対人認知にも大きく作用していると思う。

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地球の辺縁で

久しぶりだねえ、調子はどうですか、と先輩の先生と話す。

この間、ポリスのコンサートに行ってきたよ。

ポリス?

スティングの、ポリス。

え、そう、日本で?

日本だよ、東京ドーム。ワールドツアーだって。

だって、もう年じゃないの?

スティングは56歳。

*****
スティングがワールドコンサート → 東京にも来る → わたしも行ける

とは考えない。心理的辺境に生きているわたしは、
そういうものは、マスコミの中で出会うものと決め付けている。

星一徹とスティングの実在性については、ほとんど変わらない程度である。

世界の中心で愛を叫ぶという話があったが、
わたしはまったく世界の辺境で、世界に関わることなく、観察している気分である。
困ったものだ。

わたしの場合、東京にいても、米子にいても、あまり変わりはないようだ。



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