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宗教の真空時代に生きて

宗教の真空時代に生きて私たちは悲しみ方を知らないし弔い方も知らない

ただ弔われる人はすでに死んでいて
その意味では生きている人たちだけの都合で動くので
それはそれでいいのかも知れないと思う


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月と金星

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2011年1月31日午前6時くらい
一人のホテルから
ぼけている分、月と金星がはっきり見えている

月とか金星とかこんなものが一番、平安歌人と共有できるものかと思う
あとはみんな変わってしまった





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高学歴ワープアや無職者、婚活失敗者

他人の心を掴む能力、相手が何を欲しがってるか察して与える能力。
高学歴ワープアや無職者、婚活失敗者はこの能力が著しく欠けているとの言い方がある。

高学歴ワープアや無職者、婚活失敗者に、自閉症スペクトラムに属する人(いわゆるアスペルガー)が多いのは
一般論として言えるのかもしれない。

昔だったら優秀な職人になれたかもしれないが、産業構造の変化に伴って、それが難しくなった。

ーー
婚活失敗者という表現も現代らしい

成功とか失敗とかという問題ではないんだが

結局成功とか失敗という言葉に収斂させてしまう一種の単純化

ーー
ある人は
高学歴ワープアの人はマーケットが理解できていない。婚活で自分すら売れないんだもん。
というのだが、
高学歴高収入で「すごい」友だちがいっぱいいて、「いい」結婚していて「いい」子どもがいる人達の幸せはよく理解できるが
自分には関係ないと思うだけだ

年金ぐらしのおじいちゃんおばあちゃんからお金を巻き上げるスキーマを作ってそれが幸せなのかねぇ

そんな時に限ってスキーマとかアジェンダとか言うよねぇ

ーー
男社会を批判して、批判者として男社会にしがみついてポジションを確保しているのは
55年体制の社会党のようなものだろうな


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夜景

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80/20%ルール コヴィーの重要性と緊急性のマトリックス

ワード、エクセル、アクセス、パワーポイント、VBAなんかの時代が続いていて
もうそろそろクラウドの時代になって
いろいろと変化も出てきそうだが
いずれにしても我々は端末に向かって何かの作業をして
そのアウトプットを評価されている

仕事に気がのらないとき何をするかといえば
昔は爪を切ったりしていたものだが現代では
つまらないメールに返信していたりなどする

あきらかにそれは時間の無駄遣いなのだ

なにか仕事をしているように見えるが実際には爪を切っているのと変わらない

部下に回してもいい仕事なら早く回すことだ
その判断が遅いだけで時間を浪費する

人間の一日は24時間しかないのだからさっさと終わらせたほうがいい

ーー
80/20%ルールといわれる

ひとつは、個人の評価はその人の大切な上位20%の業績によって80%評価されるというもの

重要論文が10個あってもその中の2個で決まってしまうのだ

もうひとつは、組織において20%の優秀な社員が組織の収益の80%を稼ぎ出すというもの

いずれにしても20%が実働して80%が実績となるわけだ

従って、個人としても組織としても、大切な20%を大切に処遇しなければならない

個人で言えば大切な20%にまず時間も能力も投資すべきだ

組織においても同様

そのことで収益の80%を確保できる

何がその大切な20%で、何がその他であるか、区別する目が必要になる

ーー
有名なコヴィーの重要性と緊急性のマトリックスがある

1.重要かつ緊急
2.重要かつ非緊急
3.非重要かつ緊急
4.非重要かつ非緊急

だれでもまず1.重要かつ緊急を片付ける
そしてだれでも4.非重要かつ非緊急は手をつけない
それをやっているのはゴルフしかできない二代目のようなものである
私は何人か知っている
妻に馬鹿にされていてそれが悔しいらしい
それ以外は悔しくないらしいのでそれが不思議である

まず資源の20%が1.重要かつ緊急にあてられます
それは妥当です

その次の優先順位はどうでしょうか

つまらない人間は3.非重要かつ緊急に取り組んでしまいます
なぜなら片付けやすいからです
爪を切るようなものです

将来性のある人間は2.重要かつ非緊急に取り組みます
緊急ではないとは言うものの早く解決出来ればいいに決まっているのです

2.と3.のどちらを後回しにして、どちらを優先するか、
あるいはどちらを部下に回して、どちらを自分が実行するか、そこに違いが現れます

ーーーーー
というようにことがビジネスの世界では言われるわけです

これを精神科の世界に応用してみましょう

80/20%は、話の全部を同じ比重で聞く必要はないということです
20%が80%を教えてくれるのです
どれが20%なのかを知ればいいだけなのです

解決についてもポイントを絞ることができます
20%がうまくいけば80%が達成できます

問題はその20%がどこにあるかを正確に指し示すことです

ーーーーー
またコヴィーのマトリックスも応用できます

患者さんの問題が
1.重要かつ緊急 という場合、当然どの医者も対応します

しかし
2.重要かつ非緊急
3.非重要かつ緊急
のどちらを優先して対応するかは考えなくてはなりません

医者という仕事の性質上、命に関わる緊急性については、最優先になりますが、
それ以外の緊急性については重要性との関係で
2.か3.かという対立が発生します

本質論を言うなら、2.重要かつ非緊急を優先すべきなのです。

しかし多くの場合、2.重要かつ非緊急の問題は難しい場合が多い
それに比較すると3.非重要かつ緊急という問題は、ある意味でルーチンである場合も多いわけです

「非緊急だけれども重要」という判断は高度な臨床的判断であり、簡単なものではありません。
そしてその解決は更に難しいのです。
従って、後回しにしたくなるものなのです。

このようなプロセスが繰り返される結果として
緊急だが非重要な患者の問題を扱うことにだけ慣れてしまい
非緊急だが重要な問題を後回しにする習慣ができてしまいます

緊急事態に介入することは医師の大切な役目です
それは否定しません

しかしながら非緊急だが重要な問題もたくさんあります
その場合患者はいつまで待てばいいのでしょうか
緊急にならないと後回しにされるのでしょうか

重要であるが非緊急であるという場合は患者がそれだけ無理をしている場合が多い
無理を強いたままで後回しにしている

大切だから先にしているのではなくて
解決しやすいから先にしているのが現実なのだと思う

緊急の外観を呈していないけれども実は重要である問題について
優先して取り上げて解決しないといけない

一人の患者の内部でも同じである
緊急性に目眩ましされて重要性を見落としてしたのではよくない

























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皿洗いとマインドフルネス

次のような話は分かりやすい

ある日,夕食の後片付けでいつものように皿洗いをした後,気分が軽くなり肩の荷をおろしたような感じを覚えたことがあります。その時は,心配事をかかえていて少し気分が落ち込んでいたので,よけいにすっきりとした感じがしたのではないかと思います。では,なぜこんなに解放された感じになったのでしょうか。その時はその理由がわかりませんでした。

 私は臨床心理学の中でも認知行動療法を専門にしていますが,今その中でホットなキーワードの一つがマインドフルネスです。マインドフルネスとは,一言で言うと「注意を集中すること」です。私たちは普段自分のしていることを十分に自覚せずに,「自動操縦状態」で習慣的に過ごしていることが多いのです。皆さんが通勤・通学をしているときのことを思い浮かべてみてください。いつもの道を通り,いつもの電車に乗り,目的地に着いたとき,途中のことはほとんど全く意識にないということはなかったでしょうか。これが「自動操縦状態」なのです。それは,自分の心が現在ではなく過去や未来のことを考えるのに費やされているからなのです。過去の出来事について悔やんだり,懐かしがったり,あるいは将来のことを不安に思って恐れたり,楽しく夢想したりする,そうした中で現在の自分を見失ってしまうのです。そこで現在の瞬間を自覚し意識するために,価値判断をせずに意識的にその瞬間に注意を集中することが大切で,マインドフルネスとはこの注意を集中することを指すのです。

 マインドフルネスのトレーニングとしては,禅や瞑想,ヨーガが主に用いられています。そう聞くと何やら怪しげな宗教的な感じがして,不安に思う方もおられるかと思いますが,認知行動療法に取り入れられている方法は,1990年ごろにジョン・カバットジンが瞑想やヨーガをあいまいなものではなく,一つの技法として科学的研究に耐えるようにし,ストレス低減プログラムとして確立しその効果も検証されているものです。

 静坐瞑想やヨーガの他に「日常瞑想」として日常のいろいろな活動の中で「意識する練習」が行われます。例えば「皿洗いをしながら意識する」というのは,「まるでお皿が熟考の対象であるように,意識して洗う。」*1のです。私が皿洗いで経験したことは,このことだったのです。人は過去のことをくよくよと考えたり,先のことを不安に思い始めると次々に悪いことを考え始め,そうしてくよくよと考えている自分自身もまた悪く評価し,悪く考えるというサイクルに陥ることがありますが,皿洗いに意識を集中することにより,このサイクルから抜け出すことができたのでしょう。

 もちろんこれは皿洗いに限らず,日常のいろいろな行動をするときに注意を集中すればよいのです。お風呂に入っているときは,ゆっくりと時間をかけ体の上を湯が流れていくのをよく感じるように瞬間に注意を集中するのです。歩いているとき,掃除をしているときといろいろな状況で注意を集中するようにトレーニングすることができます。

皆さんも皿洗いをするときには,何も考えずただ皿を洗うことだけに注意を集中してやってみてください。何かが変わるかもしれません。もちろん,誰かにやらされているとか,うちの夫は家事を手伝ってくれない,などとは考えないで。

ただ,我が家では家内が自動食器洗い機を買ったので,皿洗いでストレス解消は難しくなりましたが・・・


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本当のことを話したら嫌われる?嫌われないよ

本当のことを話したら嫌われるのかな?嫌われたのかな?

僕は君が本当のことを話しても嫌いにならないよ

僕は人に本当のことを話して嫌われることもよくあるけれどそれでいいと割り切っている

その方がすっきりするんだよ

それが生き方なんだよ

人間は本当のことを話しても嫌われないんだよ

人間が最後の最後にほんとうに欲しいのは、そんな人なんだと思うよ


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【新薬】ミルタザピン(商品名:レメロン錠15mg、リフレックス錠15mg)


ミルタザピン(商品名:レメロン錠15mg、リフレックス錠15mg)

SSRI、SNRIに続く抗うつ薬「NaSSA」

うつ病治療薬のミルタザピン(商品名:レメロン錠15mg、リフレックス錠15mg)。「1日1回、1回1~2錠を就寝前に服用」が標準的な用法・用量である。
 うつ病に関しては、国内外で複数の治療ガイドラインが公表され、使用されているが、いずれでも中心的な治療法として位置づけられているのは薬物療法である。うつ病の薬物療法に使用される抗うつ薬は、患者の増加もあって、次々と新しい薬剤が開発されており、そうした薬剤を使用することで治療成績も向上している。

 現在、うつ病治療で主に使用されているのは、パロキセチン(商品名:パキシル)をはじめとする「選択的セロトニン取り込み阻害薬」(SSRI)と、「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬」(SNRI)のミルナシプラン(商品名:トレドミン)である。どちらも、従来の抗うつ薬に比べると安全性が高く、治療領域が広いのが特徴とされる。

 しかし、使用量が増えるにつれ、SSRIやSNRIでは、(1)作用発現までに時間がかかる、(2)セロトニン受容体刺激によると考えられる悪心・嘔吐、下痢などの副作用が見られる――といった問題点がクローズアップされるようになり、臨床の現場からは、こうした問題が少ないさらに新しい抗うつ薬の開発・承認が望まれていた。

 今回、承認されたミルタザピンは、SSRIやSNRIとは異なる、全く新しい作用機序を持った抗うつ薬である。その機序から「ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬」(NaSSA)と呼ばれている。

 作用機序としては、中枢神経のシナプス前α2-自己受容体とヘテロ受容体に対して阻害作用を示し、中枢神経のノルアドレナリンおよびセロトニン(5-HT)の神経伝達を増強する。また、セロトニン5-HT受容体のうち、5-HT2受容体と5-HT3受容体を阻害する作用があるため、抗うつ作用に関連する5-HT1受容体のみを選択的に活性化することができる。

 ミルタザピンは、1994年にオランダで発売されて以降、現在までに世界90カ国以上で発売されている。うつ病患者を対象としたミルタザビンの日本での臨床試験(プラセボ対照比較試験)では、投与1週目から有意に高い改善効果が示されており、長期投与試験では、52週まで抗うつ効果が維持されることが確認されている。こうした試験結果から、従来薬に比べて、効果発現までの時間が短く、持続的な効果が得られる抗うつ薬として期待されている。

 ただし国内の臨床試験で、82.7%に何らかの副作用が認められたことに留意する必要がある。高頻度に認められたのは、傾眠(50%)、口渇(20.6%)、倦怠感(15.2%)、便秘(12.7%)、アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加(12.4%)などであり、重大な副作用としては、セロトニン症候群、無顆粒球症、好中球減少症、痙攣、肝機能障害、黄疸、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)が報告されている。



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大人のADHDの診断基準

大人のADHDの診断基準(「へんてこな贈り物」より)

注意:同じ精神年齢の人と比べて、非常に頻繁に起こる時のみ「診断基準に合う」とします。

A.次のうち少なくとも15項目において、慢性的な障害をみる。

1.力が出しきれない、目標に到達していないと感じる(過去の成果に関わらず)。
2.計画、準備が困難。
3.物事をだらだらと先送りし、仕事に取り掛かるのが困難である。
4.沢山の計画が同時進行し、完成しない。
5.タイミングや場所や状況を考えず、頭に浮かんだことをパッと言う傾向がある。
6.常に強い刺激を追い求める。
7.退屈さに耐えられない。
8.すぐに気が散り、集中力がない。読書や会話の最中に心がお留守になりやすいが、時として非常に集中する。
9.しばしば創造的、直感的かつ知能が高い。
10.決められたやり方や「適切な」手順に従うのが苦手。
11.短気でストレスや欲求不満に耐えられない。
12.衝動性。
13.必要もないのに際限なく心配する傾向。
14.不安感。
15.気分が変わりやすい。
16.気ぜわしい。
17.のめりこむ傾向。
18.慢性的な自尊心の低さ。
19.不正確な自己認識。
20.ADHDまたはそううつ病、うつ状態、薬物中毒(アル中を含む)あるいは衝動や気分が抑制しにくいなどの家族歴がある。

B.幼少期にADHDだった(正確な診断でなくても生い立ちに徴候や症状がある)。

C.他の医学的あるいは精神医学的状態では説明のつかない状態にある。

エドワード・M・ハロウェル、ジョン・J・レイティー:へんてこな贈り物-誤解されやすいあなたに―注意欠陥・多動性障害とのつきあい方、司馬理英子訳、インターメディカル、1998


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逃避型抑うつとディスチミア親和型うつ病

広瀬先生が逃避型抑うつとディスチミア親和型うつ病の違いについて詳述

文中で
逃避型抑うつという名称は知られても,その本質についてはまだ正しく理解されているとはいえない。
としているのは印象深い。

自己愛性格との関係が言及されている。

*****
臨床精神医学37(9):1179-1182,2008

逃避型抑うつとディスチミア親和型うつ病
広瀬徹也
Keywords:逃避型抑うつ(Depression of avoidant type),ディスチミア親和型うつ病(Depression of dysthymic type),新型うつ病(New types of depression),若年勤労者(young adult workers),欠勤症(Absenteeism)

はじめに
近年うつ病の増加とともにうつ病概念の拡散が話題となり,専門家の間でも「偽うつ」,「うつ病もどき」などと語られることを見聞するようになっている。DSMやICDのうつ病エピソードの基準に依拠するだけでは容易に大うつ病との診断がつくだけでなく,少なくとも特定不能のカテゴリーには該当することも,うつ病のoverdiagnosisに関係することは多くの方の指摘どおり事実であろう。しかし,詐病でないかぎり,患者が症状を訴え,日頃できていた仕事や家事ができなくなっている事実があれば,その事態をどう診断し,治療すべきかは医療者に課せられた義務でもある。診断は単なるレッテルでなく,治療方針に連動する見立ての意味であることはいうまでもない。そういう点からは典型的でない,多くは軽症慢性うつ病の臨床単位についての知見の増大と,臨床家のそれへの認識の深まりが要請されているといえよう。

この分野の先駆的研究は笠原・木村の「うつ状態に関する臨床的分類」(1975)5)であり,その後の笠原の退却神経症6)であることは周知の事実である。それに触発されて筆者が「逃避型抑うつ」3)を提唱したのが1977年であるからすでに30年も経過している。まだその名称が引用され,そのような例が今日の厳しい経済環境でもみられることは事実であるので,その類型の存在意義は失われていないと思われる。

最近の類型で注目されるのは樽見らのディスチミア親和型うつ病(2005)7)8)であろう。すでにうつ病概念の拡散が問題になっていた時期も追い風になって,あっという間にその名が知られ,用いられるようになった経過は,「逃避型抑うつ」が知られるようになるのに約10年近くかかったことを思うと,雲泥の差があることに驚きの念を禁じ得ない。現代ではディスチミア親和型うつ病の頻度が桁違いに多く,樽見の記載,命名が適切であったことがインパクトになったのであろう。「逃避型抑うつや未熟型うつ病とめ鑑別は今後の課題である」7)と述べたまま亡くなった樽見に代わってその辺の考察を加えながら,逃避型抑うつの明確化に努めたい。

1.逃避型抑うつの本質的特徴
逃避型抑うつという名称は知られても,その本質についてはまだ正しく理解されているとはいえない。そこで本稿では診断のポイントを挙げることで本質を明示したい。

①連休後や月曜日に欠勤しがち。

②職場(会社)恐怖の症状が出やすく,会社に近づくと不安が強くなり,引き返すことがある。極端な場合は遁走がみられる。

③抑うつ気分や希死念慮は目立たず,おっくう,だるさなどの抑制,倦怠感,易疲労性が前景に出て,寝込みから欠勤に至る。ただし,身体化症状や心気症状はみられない。

④一般の過労気味な勤労者が週末は寝だめをしたり,家でごろごろしがちなのと対照的に,週末は朝早く起きたり,外出やドライブに行くなど活発に過ごす。長い休職にある者が臆面もなく海外旅行に行くのもその延長線上の現象ととらえられる。

⑤評価に過敏であり,認めてくれる上司のもとでは軽躁を思わせるほど張り切り,良い成果を上げることもあるが,逆の場合は極端に落胆し,欠勤となりやすい。反省,自責はないが,さりとて会社や上司を攻撃するほどの精力性は示さない。

⑥他人を押しのけるほどの自己顕示性はないが,自己愛的でプライドは高く,それが傷つけられることには耐えがたいため,それを守るのに汲々としがちである。

⑦典型的には30歳前後の高学歴の男性が圧倒的に多く,女性にもてる傾向があり,既婚者や,恋人がいる例がほとんどである(ただし,遷延後の離婚はありうる)。

⑧転職に走ることなく,休職期間満了まで留まる傾向がある。

⑨病識に乏しく,自ら受診することは稀で,上司,妻,親などの強い勧めで受診,入院に至る。

⑩抗うつ薬の効果は初期にはある程度みられるが,次第に目立だなくなる。Sulpiride,SSRIなどが推奨される。

以上の特徴がみられれば逃避型抑うつといってよく,一般のうつ病との相違はほぼ自明であろう。ブルーカラーや女性のケースでは典型例に比してこれらの特徴が薄まり,過食やギャンブル依存などが目立つことがある。彼らは自己愛性格の特徴と弱力性のヒステリー性格の特徴を併せ持ち,それと気分障害特に非定型うつ病の体質と相まって抑うつや不安,恐怖,軽躁を示しやすくなるものと思われる。DSM-IV 1)にも登場した非定型うつ病の拒絶への過敏性は共通した特徴であり,ヒステリー性格もそこで指摘されていたことではあるが,非定型うつ病では自己愛性格についての明確な言及はない。当初,寝込みのような選択的抑制を示したあと,復職時に不安,恐怖,ヒステリー症状を示す点はDavidsonら2)の非定型うつ病の亜型であるV型とA型を,一人のケースで時期を異にして示すとみることもできる。その他の臨床的特徴については非定型うつ病では記載のないものばかりで,わが国独特の特性とみることができそうである。

2.ディスチミア親和型うつ病との相違について
ディスチミア親和型うつ病とは既述したように,樽見が2005年に発表したもので昨今臨床場面に現れ,問題になった自称うつといわれるものを包含する最新のうつ病周辺群の類型である。この名称の由来について彼は価値判断を避けるため,無機的なものとしてこれを選んだとしており,気分変調症(Dysthymia)との関連を否定している7)。気分変調症はDSMでもICDでも,2年以上の持続という経過因子が1つの主要な基準になるが,ディスチミア親和型うつ病では経過の規定はない。関連する気質として退却傾向(笠原)と無気力・スチューデントアパシー(Walters)が挙げられているように,気分変調症で鑑別上問題になる抑うつ性格とは異なっている。ただし,「どこまでが‘生き方”でどこからが“症状経過”か不分明」という特徴は気分変調症の抑うつ神経症的側面と一致していよう。いずれにしても,スチューデントアパシーから発展した笠原の退却神経症に近いことが予想されるが,そこでの無気力は本業でのものであり,副業や趣味の世界では対照的に精力的であるとの指摘を忘れてはならない。ディスチミア親和型うつ病では字義どおりの退却傾向と無気力が特徴であるようであり,その辺の異同の明確化が必要と思われる。

逃避型抑うつでは本業からの逃避傾向が顕著となるが,趣味や家庭生活では活動性を保持できる特徴から選択的抑制と名付けられており,笠原の退却神経症の選択的退却と最も類似した点といえる。熱中性の時期の存在(逃避型抑うつ)や凝り性(退却神経症)の異同にも微妙な点がある。ただし,それ以外は表1 4)からも明らかなようにほとんど対照的といってもよいほど類似点はみられない。ディスチミア親和型うつ病の最大の特徴でもあり,逃避型抑うつや退却神経症と異なる点は前者が‘自称うつ病‘に置き換えられるほどうつ病の診断に協力的なことであろう。逃避型抑うつでは,職場の上司の命令や家族の後押しでやっと医師のもとに現れるのとは全く対照的である。もっとも,彼らもひとたび入院すると模範患者となる特徴を忘れてはならない。

一方,ディスチミア親和型うつ病はその後も「“うつ症状”の存在確認に終始しがちで,“うつの文脈”からの離脱が困難で慢性化する特徴がある」とされる(表2)。結果的には気分変調症同様,2年以上の経過をとる慢性軽症うつ病という形になりうるが,初期段階の彼らについて樽見は次のように述べて相違を強調している。「一般に気分変調症と診断しうるような‘くすんだ感じ‘も彼らにはまだ見られない。彼らはvividとは言えないまでも,慢性化した抑うつによって心的弾力性そのものを長期的に侵食されたかのような現れは,まだないのである。そして臨床場面に現れた彼らは,気分変調性障害の診断基準にも典型像にも合致しないまま,大うつ病エピソードの基準を満たすことになる」と。

ディスチミア親和型うつ病と逃避型抑うつとの類似点を強いて挙げると,両者とも抗うつ薬の効果がある程度,部分的にみられること,休養と服薬のみではしばしば慢性化すること,置かれた場,環境の変化で急速に改善することがある点であろう。最後の特徴は非定型うつ病や適応障害の特性に共通する部分である。また逃避型抑うつの自己愛性格的要素に対してディスチミア親和型うつ病では「自己自身(役割抜き)への愛着」との記載に近似性が認められる。「規範に対しで’ストレスである’と抵抗する」との樽見の記載は逃避型抑うつでもある程度妥当するが,一方で上司に一体感を求め,それが得られると軽躁を思わせる仕事への没頭を示す双極Ⅱ型的特徴は,ディスチミア親和型うつ病の特徴に挙げられている「もともと仕事熱心ではない」とは本質的に異なるものといえよう。

おわりに
逃避型抑うつの本質のレビューと,最近話題になっているディスチミア親和型うつ病と対比しながら考察を行った.両者は頻回ないし長期欠勤になりやすい若手勤労者という点で,昨今のわが国の産業精神保健分野で共通の問題となっているが,既述のように両者の本質はむしろ対照的な面が多いことを強調しておきたい.

文献
1)American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,fourthedition(DSM-IV),Washington DC,1994
2)Davidson JR,Miller RD,Turnbull CD et al:Atypical Depression.Arch gen Psychiat 39:527-534,1982
3)広瀬徹也:「逃避型抑うつ」について.宮本忠雄編:蹄うつ病の精神病理2.弘文堂,東京,1977
4)広瀬徹也:「逃避型抑うつ」再考.広瀬徹也,内海健編:うつ病論の現在.星和書店,東京,2005
5)笠原嘉,木村敏:うつ状態の臨床的分類に関する研究.精神経誌77:715-735,1975
6)笠原嘉:退却神経症.講談社,東京,1988
7)樽味伸,神庭重信:うつ病の社会文化的試論一特に「ディスチミア親和型うつ病」について.社会精神医誌13:129-136,2005
8)樽味伸:現代社会が生む“ディスチミア親和型’臨床精神医学34:687-694,2005

1逃避型抑うつと退却神経症の相違点

逃避型抑うつ

退却神経症
①選択的抑制選択的退却
②軽躁状態ありうるなし
③抗うつ薬の効果ありなし
④日内変動ありなし
⑤ヒステリー症状ありなし?
⑥優位な状況でのリーダーシップなし
⑦女性との結びつき強い希薄
⑧熱中の時期あり凝り性
⑧弱力性ヒステリー性格,自己愛的強迫的,分裂気質的
20歳代後半~30歳代20歳前後
 

2

  
ディスチミア親和型うつ病および逃避型抑うつの対比 
 ディスチミア親和型うつ病(樽味ら 2005逃避型抑うつ(広瀬 1977
年齢層青年層30歳前後
関連する病態 student apathy(Walters)退却傾向(笠原)と無気力非定型うつ病 
病前性格自己自身(役割ぬき)への愛着弱力性のヒステリー性格
 規範に対して「ストレス」であると抵抗する自己愛的傾向
 秩序への否定的感情と漠然とした万能感 
 もともと仕事熱心ではない 
症候学的特徴不全感と倦怠選択的抑制
 回避と他罰的感情(他者への非難)出社に際し不安,恐怖症状
 衝動的な自傷,一方で“軽やかな”自殺企図 
治療関係と経過初期から「うつ病」の診断に協力的初期は病識が乏しい
 その後も「うつ症状」の存在確認に終始しがちとなり「うつの文脈」からの離脱が困難,慢性化入院後は模範患者になる
薬物への反応多くは部分的効果にとどまる(病み終えない)初期は比較的良好
認知と行動特性どこまでが「生き方」でどこからが「症状経過」か不分明「(単なる)私」から「うつの私」で固着し,新たな文脈が形成されにくい連休後に欠勤しやすい
女性との強い結びつき
拒絶への過敏
予後と環境変化休養と服薬のみではしばしば慢性化する理解ある上司の下では好調となる可能性,
全体的には不良
 置かれた場・環境の変化で急速に改善することがある 
 


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私に全てをゆだねよ

私に全てをゆだねよ

視覚を奪い
聴覚を奪い
手足は拘束し
自発性の意志を全て禁じる

その上で全てをゆだねよ

いとしき玩具として生きよ


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斧入れて 香におどろくや 冬木立    蕪村

斧入れて 香におどろくや 冬木立    蕪村

(おのいれて かにおどろくや ふゆこだち)

意味・・枯れ木かと思って斧を打ち込んだところ、
    ただよってくる木の香に驚かされる。
    木々はみな葉を落としているが、冬木の
    内部の生命力は脈々と生きていると実感
    させられるものだ。



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摂食障害系文献集2011-1-24

年末年始に集中して読んだ
今のところの印象としては

1.やはり疾病単位としては分解すべきだ。
この見解については長い論争がある。無食欲についても過食についても、それぞれに伴う排出行為についても、非常に典型的な経過をたどるものがあり、その範囲内ではやはり疾患単位として当然なのかと思うこともあるのだが、こうして、まとめて勉強してみると、やはり、解体されるべきだとの見解にたどりつく。

2.背景には強迫性障害を強く仮定するもの(たとえば下坂幸三。古いが、やはり、学ぶべき点が多くある)、対人恐怖の病理を仮定するもの(これは日本の伝統の蓄積があり、醜形恐怖とか肥満恐怖とかの切り口で考えると有益であることがある)、解離性障害を背景としてみるもの(これは日本ではやはり流行しない)、先天性異常を仮定するもの(これが思ったよりも多かった)などがあり、個人的には強迫性障害との関連を示唆する症例に多く遭遇していると感じている。これは場所柄でもあり、経済的条件も加わっていると思う。

3.松木邦裕「摂食障害というこころ」では食行動の異常ではなくその背景にあるものを読み取るべきであり、脳の病気ではなく心の病気であると積極的に定義している。すばらしい記述であるが、同時にそれが限界でもある。クラインやビオンの軽い導入になっている。

4.対人関係療法は最近の焦点である。水島広子著の本はどれもすばらしい説得力がある。しかし表面的にみると多少の矛盾のもないわけでもない。個人的な立場としては、摂食障害についても、うつ病と同様に、原因については態度保留、しかし実際の障害としては対人関係場面で現れるので、そこに対処していくことで人間を支えられるし、その延長で疾患に対しての援助も出来るという立場を支持する。つまり、対人関係障害によるストレスが原因ではないと積極的に言うのがよいと思う。しかし水島氏の著作では一部は対人関係の問題が根底にあり、コミュニケーション障害が「原因」で、摂食障害になるとの意見であると受け取ることが出来る部分もあり、混乱を招くのではないかと、個人的には思う。

4-2.対人関係療法は日本の対人恐怖症研究・臨床の土壌には馴染みやすいと思う。

5.切池信夫「摂食障害」は内科系のお医者さんにも納得しやすい著作だと思うが、たぶん、そのせいで平板であり限界がある。エビデンスに基づいて語るにはこうなる必要があるのだろう。しかしエビデンスによれば、言えることはただ、治りにくいということだけである。

6.より内科学的な切り口、たとえば血糖値がトリガーとなり脳内状態が遷移するなどの意見が少ないのは片手落ちだと思う。わたしはその意見を言ってみたい。

7.解離性障害、およびスプリッティングについては、やはりさらに掘り下げが必要だろうと思う。解離性障害が文化依存的な症状であることは論をまたない。その症状の発現のしかたが、当初は神経性無食欲症であったし、その後になって過食嘔吐が増大してきた歴史がある。また、アンビバレントの現代的な悩み方が過食嘔吐であるとの考えを提案してみたい。サイクロイドからスキゾイドまで摂食障害の背景になると考える。脳内状態により、アンビバレントとサイクロイドの往復をする症例があると思う。

8.性差は明白であるが徐々にその垣根も取り払われつつある。

9.クレペリン的な立場に立ち、経過により論じるとすれば、やはり強迫性障害の経過と似ている場合があると思う。また循環性に消長を反復するケースもある。シュープを反復して長期に崩壊するものもあり、崩壊から免れているものもある。免れる方法が摂食障害であるのかどうか、についても意見がある。とはいうものの、強迫性障害そのものがすでに解体再編されつつあり、躁うつ病についても統合失調症についても同様である。

10.いずれにしても『病理標本』がないのに病気が何かを決定するのは間違いであるという原則的な立場を採りたい。

11.その上で文化依存的な表面を考察したいのであるが、これも容易ではない。

12.最近の趨勢としては、病理の背景に発達障害を考える場合があり、重要である。しかし発達障害の概念自体が拡散しつつあり、輪郭は決定し難く、中核も手探りである。

13.アレキシサイミア、家族内力動、機能不全家族など、また境界性人格障害などの切り口があるのだが、あまり有効ではない。

14.経過で見れば強迫性障害に類似している。また、対人感覚の一面で見ると嗜癖者によく似ている。この類似を指摘されると納得せざるをえない。Alcohol嗜癖、薬物嗜癖、人間関係嗜癖など。隠蔽のためには平気で嘘を付いたりするのも似ているし、それを嘘とも思わないし、そのことがよくないことだともちっとも思っていないのも似ている。また、スプリッティングがどうしても気になる。さらにアレキシサイミア。アンヘドニアとか離人症も隣接している。

15.特有の思考法がある。これは一般化できないのだが、それぞれの人に特有の思考の癖があり、形を変えて何度も出現するので観察しているこちらが、なにか勘違いしているかと、当惑するくらいだ。

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神経性過食症(bulimia nervosa)の外来治療
牧野真理子
牧野クリニック
心身医学, 49(8) : 925-931, 2009.

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日本人の摂食障害姉妹発症例における生涯病型, 代償行動, ならびに体重の関連性の有無について
後藤直子*1, 小牧元*1, 安藤哲也*1, 伊澤敏*2, 石川俊男*3, 大隈和喜*4, 岡部憲二郎*5, 黒川順夫*6, 小西貴幸*7,
高宮靜男*8, 武井美智子*9, 傳田健三*10, 冨田和巳*11, 長井信篤*12, 長峯清英*13, 西園マーハ文*14,
本間一正*15, 町田英世*16
*1国立精神・神経センター精神保健研究所心身医学研究部, *2佐久総合病院心療内科, *3国立国際医療センター国府台病院心療内科,
*4湯布院厚生年金病院内科, *5天理よろず相談所病院心療内科, *6黒川内科・黒川心理研究所, *7市立旭川病院小児科,
*8西神戸医療センター神経科, *9武井内科クリニック, *10北海道大学大学院保健科学研究院生活機能学分野,
*11社団法人大阪総合医学・教育研究会附属こども心身医療研究所・診療所, *12医療法人司会野上病院, *13スザカ心療内科クリニック,
*14東京都精神医学総合研究所, *15富山赤十字病院小児科, *16医療法人まちだクリニック
心身医学, 49(5) : 373-381, 2009.

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12年来の過食症に対し, 絶食療法が著効した1例
石川元直, 樋口裕二, 柴山修, 佐貫一成, 佐藤亜貴子, 福島一成, 竹内俊明
藤枝市立総合病院心療内科
心身医学, 48(4) : 308-309, 2008.

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『行動制限を用いた認知行動療法』により発達障害の並存が明らかとなった神経性食思不振症の2例
岡山征史朗, 白石愛, 林たみ子, 深尾篤嗣
洛和会音羽病院心療内科
心身医学, 48(10) : 904-905, 2008.

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家族とのトラブルを繰り返す男性に対する認知行動療法
田中恒彦
徳島大学病院精神科・神経科
行動療法研究, 34(2) : 210, 2008.

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『行動制限を用いた認知行動療法』が症状の改善に有効であった転換性障害合併神経性食欲不振症遷延例
岡山征史朗, 藤井康子, 関口 敦, 間島富久子, 太田百合子, 川田まり, 苅部正巳, 石川俊男
国立精神・神経センター国府台病院心療内科
心身医学, 47(1) : 52, 2007.

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自己資源(リソース)の再発見と活用を通した摂食障害の治療の1例
石橋 玄, 湯川直紀, 奥村匡敏, 藤内真一, 今出 徹
国保日高総合病院精神神経科
心身医学, 47(2) : 136, 2007.

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統合失調症の前駆期にみられる摂食障害の諸特徴について
中村晃士, 沖野慎治, 石黒大輔, 小野和哉, 森 美加, 黄 菊坤, 中山和彦
東京慈恵会医科大精神医学講座
心身医学, 47(5) : 348-349, 2007.

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過食・嘔吐を繰り返す女性との治療過程
松本啓輔, 加藤正
あらたまクリニック
日本行動療法学会大会発表論文集, 33 : 372-373, 2007.

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摂食障害の人格傾向と臨床症状との相関‐ロールシャッハ・テストの結果から
佐藤晋爾1), 山口直美2), 太刀川弘和3), 小林純4), 朝田隆3)
1)筑波記念病院精神科, 2)子の花クリニック, 3)筑波大学臨床医学精神科, 4)茨城県立友部病院
臨床精神医学, 35(8) : 1127-1132, 2006.

→結局、多様な疾患の一つの表現型であるとしたら、共通点は表現経路だけである。何を測定しているのか、立ち止まって考えても良いと思われる。

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高次脳機能障害を伴い治療困難と思われた神経性食欲不振症(むちゃぐい・排出型)の1症例
前村和俊, 鷺山健一郎, 中村竹男, 村永鉄郎, 長井信篤, 成尾鉄朗
鹿児島大病院心身医療科
心身医学, 46(4) : 337, 2006.

→ときに高次脳機能障害と呼ぶべきような変化が見られる。脳波、知能検査、MRIなど検査する。
低栄養が原因となっているのか、最初に脳機能障害があり食行動異常となるのか、不明確である。
摂食障害では月経停止、骨粗鬆症などが起こるなど、体を巻き込む事態が発生しているので、脳に影響が及んでも不思議はない。
→高次脳機能障害がいつから発生しているかを考えることで、発達障害の関連にたどり着く。

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心身医学的治療を同時期に行った神経性過食症の姉妹例
長井信篤1), 佐藤祐美1), 村永鉄郎1), 増田彰則1), 中村竹男1), 前村和俊1), 鷺山健一郎1), 中原敏博2),
兒島真哉2), 安原大輔2), 成尾鉄朗2)
1)鹿児島大病院心身医療科, 2)鹿児島大大学院社会・行動医学講座
心身医学, 46(4) : 338, 2006.

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(JACT) うつ病に対する対人関係療法の効果研究 -研究プロトコール紹介-
小山康則1), 内田知宏2), 松本和紀3)
1)東北大学大学院医学系研究科精神神経学分野, 2)東北大学教育学部, 3)東北大学病院精神科
日本行動療法学会大会発表論文集, 35 : 165, 2009.

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“対人関係”に焦点を当てた摂食障害の集団療法の試み
水田一郎1), 植月マミ2), 鈴木朋子3), 渡辺洋一郎2)
1)神戸女学院大学心理・行動科学科, 2)渡辺クリニック, 3)甲子園大学
臨床精神医学, 37(2) : 205-214, 2008.

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対人関係療法(IPT)
水島広子
水島広子こころの健康クリニック(対人関係療法専門)
Modern Physician, 27(6) : 837-840, 2007.

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対人関係療法(IPT)
水島広子
精神療法 vol23-1 p25-p32 1997
→「感情表現を勧める」とのタイトルがあり、アレキシサイミアと関係付けていると思われる。
→感情表現を妨げている原因について考察している
→コミュニケーション・パターンを認識する
→重要な他者との関係を再考する

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共感と教育
水島広子
水島広子こころの健康クリニック(対人関係療法専門)
臨床精神医学, 36(11) : 1401-1405, 2007.

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慢性うつ病の精神療法CBASPの理論と技法
中野有美, 古川壽亮
名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野
医学のあゆみ, 219(13) : 1098-1102, 2006.

→技法としてこれからの成熟を待つ

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対人関係療法
水島広子
水島広子こころの健康クリニック(対人関係療法専門)
臨床精神医学, 35 : 461-465, 2006.

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日常的な診療で必要となる支持的精神療法を学ぶ
藤内栄太, 西村良二
福岡大学医学部精神医学教室
臨床精神医学, 34(12) : 1639-1644, 2005.

→基本的であるし示唆に富む

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慢性疼痛に対するマインドフルネス技能訓練の試み 患者・治療者にとって取り組みやすい簡易な訓練法の開発
有村達之1), 久保千春2)
1)九州大学大学院医学研究院, 2)九州大学病院
日本行動療法学会大会発表論文集, 34 : 386-387, 2008.

→マインドフルネスがどのように発展するのか、見守る。現状では受け取り方も一定していない。

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高度肥満難治症例の中から発見した解離性同一性障害(多重人格)の症例
岡崎順子1, 夏井耕之1,3, 宮脇尚志3, 松尾孝彦1,2, 村田雅弘1, 菅原照1,3, 中尾一和3
1大阪府済生会中津病院内科, 2つるはしクリニック, 3京都大医学研究科臨床病態医科学・第2内科
心身医学, 37(7) : 532-533, 1997.

→解離性障害との関連は一貫して私の関心の中心にある。

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7. 嗜癖としての摂食障害-アディクション・アプローチの試み-
溝部宏二
追手門学院大心理学部
心身医学, 50(5) : 409, 2010.

→このアプローチは特に大切。治癒像として、治癒や寛解が目標ではなく、生き方を変更することによるゴールという設定になる。食行動というプロセスしへきととらえ、アディクション・アプローチを行う。
→単行本「しへき問題と家族関係問題への専門的援助」で描かれている。行為が習慣化しプロセスが自動化する。注目されているのが仕事依存症である。これは社会的に肯定される行動しへきであるため、難治性である。
→一次しへきを否認するための二次しへきの要素がある。つまり、対人関係能力の欠損があり寂しさに基づく対人関係しへき、つまり一次しへきが生じるが、それを否認するために、否認や認知のゆがみが発生し、二次しへきに至る。摂食障害の一部は二次しへきと考えられる。
→対策としてはグループ療法があり、有力である。
→しかしながら、すべての摂食障害がこの説明で解釈できるわけではない。
→性格と一体となった根深いものという点でしへきは有力な視点である。脳内報酬回路の誤動作。

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中枢性摂食異常症 わが国の現状と問題点
鈴木(堀田)眞理
政策研究大学院大学保健管理センター, 東京女子医科大学内分泌疾患総合医療センター内科, 東京女子医科大学女性生涯健康センター内科
Pharma Medica, 27(10) : 53-56, 2009.

→身体と精神の交差点であることが問題である
また年齢から言って、性的成熟と関係している

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1. スポーツ医学における精神医学―摂食障害について―
上原徹
群馬大学大学院医学系研究科神経精神医学
日本臨床スポーツ医学会誌, 17(3) : 460-466, 2009.

→痩せないと得点が上がらない競技はたくさんあるようで、問題。
さらにたとえばクラシック・バレエでは、指導者が『無月経は当たり前、アスリートだから』と語る例もある。
→スポーツ医学では、無月経、骨粗鬆症、摂食障害をFemale athlete triad と呼んでいる。
→自己誘発性嘔吐は当然自明の行為であり、体重管理にむしろ必要な行動として認知されている。
→自分の身体に関しての判断ができない状態に至る。
→西洋文化を共有する多くの国で大きな問題となっている。生涯危険率0.2から4.2%。
→死亡率も精神疾患の中では最も高い。10%前後。
→女性アスリートの摂食障害発症危険率は一般人口の3倍。クリニックでの治療を始めるほどではない程度の嘔吐や下剤使用を含めるとアスリートの65%。
→オリンピック競技者では、痩身アスリートの9%がかつて摂食障害。
→男性アスリートでも摂食障害の増加。
→体操、新体操、フィギュアスケート、バレエ、チアリーディング、マラソン、ノルディック・スキー、柔道、レスリング、ボクシング、ボート、重量挙げ
→指導者は、無月経が最適パフォーマンスであり、体脂肪が少ないほうがパフォーマンスが上がると信じてきた
→競技に伴う不安が、身体イメージ不全感や過食につながるらしい
→患者さん用のパンフレットの見本が載っている
→完璧は、続けられないから、完璧である
→平凡を受け入れられないジレンマ
→禁欲と強迫性を持続するためには自己肯定感と周囲からの期待が大きな要素を占める。
→過度のハードトレーニングが嘔吐や下剤の代わりになる。過度の不安を過度のハードトレーニングで解消していることもある。




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神経性食欲不振症と神経性大食症のクリニカルパス(心療内科)
波夛伴和, 河合啓介, 高倉修, 森田千尋, 瀧井正人, 久保千春
九州大学医学部心療内科
臨床精神医学, 37(11) : 1449-1457, 2008.

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P2-42 女子大学生の否定的なボディイメージと自己志向的完全主義傾向が過食傾向に及ぼす影響
竹田真理子1), 金澤潤一郎1), 森伸幸2), 坂野雄二2)
北海道医療大学大学院心理科学研究科1), 北海道医療大学心理科学部2)
日本行動療法学会大会発表論文集, 34 : 326-327, 2008.

→ボディイメージについては最近はあまり強調されていない
→映像氾濫の時代になり、望ましいボディイメージについては変遷したと思う

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経過と予後
上原徹
群馬大学大学院医学系研究科 脳神経精神行動学
Modern Physician, 27(6) : 849-852, 2007.

→近年はむちゃ食い・排出型が増加している。またEDNOSが増加している。
→過食症の経過と予後に関しては、BNの7割が比較的良好であり、精神科む合併症がある場合には不良であるという報告がある。一方、BED(binge eating disorder:気晴らし食い)は比較的良好、しかしBNは持続しやすいとの報告もある。
→BNP排出型過食症の場合、精神障害が80%、大うつ58%、薬物使用障害36%、境界性人格障害9.5%、これは非常に高率である。
→multi-impulsivivityがあり、薬物依存やトラウマ障害を呈する。
→排出行動は嗜癖と考えられるが、食行動は結局毎日避けることができないため、困難がある。

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摂食障害-神経性大食症-
切池信夫
大阪市立大学大学院医学研究科神経精神医学
臨床精神医学, 35 : 173-178, 2006.

→切池先生がBNについて論じたもの。BNはむちゃ食いしてそのあとに嘔吐や下剤使用により排泄、体重は正常範囲内で変動し、過食後には無気力感、うつ、自己卑下を伴うことがある。しかし伴わないこともある。また、うつになったときに過食になることがあるので症状の順序は慎重に判断する必要がある。
→うつとBNの併存は46-63%と高率。うつからBNへ、逆にBNからうつへの両方が観察されている。
→強迫との併存は4-43%と高率。食べ物に関するものの他に確認強迫や清潔強迫がある。
→不安は、体重増加恐怖、肥満恐怖など、不安や恐怖が中核にあるとする観察も多い。GA,Panic,SADなどの併存も高率である。
→理論としては、このように、うつ、強迫、不安との高率の併存を説明できなければならない。しかし、脳が不全を起こしたときの共通経路としての症状がうつ、強迫、不安、過食などであると考えれば、理論上の説明必然性はなくなるのだが、当然、そのように考える人は少数であると思う。
→失感情症(アレキシサイミア)をしばしば認める。なぜか。
解説の一つとしては、『知性と情動の交流が遮断され、情動に対する気付きとその表現が失われた状態をいう。BN患者において、喜怒哀楽や心的葛藤を言語化できない、感情の気付きと表現が抑制されている失感情症をしばしば認める。』となる。しかしながら、知性と感情をこのように分離して考え、お互いの間に交流がないとかの考え方は多分に『神学的』である。知性の側が情動を言語化する訓練をすれば解決するのだろうか?と当然考えられる。しかしそれが最終的な治療であるとは提唱されていない。『昔話』『神話』の一つであったかと思われるが、どうだろうか?
→明らかに通常よりも速く大量に食物を摂取するのであるが、『自制できない感じ』を伴うとされる。しかし、『自制できない』
と感じることさえなく、『無我夢中』で過食の時間は過ぎるように思われる。自制できないと意識しつつの行動は強迫性であるが、それとは異なるように感じられる。
→夕食から就寝までの間に多い。一日暇な人ならばいつでも可能であるが、スケジュールとしては、やはり夜の時間になる。少数ではあるが、会社で、菓子パンなどをトイレに持ち込み、トイレで猛スピードで食事摂取して、その場で吐くというタイプの人もいる。そのときトイレの中で泣きながら食べている。
→過食の持続時間は平均で1.2時間。15分から8時間まで。
→頻度は平均で12回/週。
→内容としては炭水化物と脂肪分の多いデザートやスナック。
→チューイング(Chewing)では嚥下せずに噛むだけで吐き出す。
→問題行動として、経済的困難が生じて、万引きをしたりもする。経済的に困っていない場合でも万引きが認められる。万引き常習は、クレプトマニアと呼ばれる。ギリシャ語のクレプト(盗み)。盗む前には緊張が高まり、落ち着かなくなるが、盗みを行うと、快感が生じ、緊張から開放される。しかし、快感は長くは続かず、すぐ後悔し、罪の意識に悩む。ある女性が店に入ったところ、置いてあるブラウスをみて、急に落ち着かず、いてもたってもいられなくなる。そのブラウスは、彼女の好きな色でも、趣味でもなく、なおかつ、サイズもあわない。しかし、欲しさのあまり衝動的に、買い物袋にいれて盗みを働く。こうした衝動性とリンクしている場合がある。そらに衝動的な行動全般が観察され、それは人格障害の類型、たとえば、境界型人格障害につながる。
→下剤乱用は見られ、通常量よりも遙かに多く、下剤を200錠など用いる例がある。これは排泄を目的としたものではなくて、下剤を乱用すること自体が目的化して快楽化していると考えられる。また自己浣腸が習慣化している患者もいる。
→栄養不良、電解質バランス不良が起こりやすく、身体に、特に脳に不可逆の変化を生じている可能性がある。そのせいで慢性化しやすいし難治性となる可能性がある。
→活動性について、ANでは活動性亢進することが有名。逆にBNではうつに傾きやすいとの報告が多い。しかし実際の臨床では様々な例があり、一定しない。うつになれば過食もしなくなる例もある。
→リストカットは一般に多い。
→薬物による自殺企図も多いので三環系抗うつ剤については慎重投与が必要である。
→アルコール乱用を併存する患者も多い。特に日本の環境では多いと思う。
→万引きについてはある施設で、過食の30-40%との高い数字の報告がある。
→低カリウム血症では心臓停止する場合がある。
→浮腫はしばしば認められる。
→唾液腺腫脹が起こり、持続する場合がある。味覚低下が生じる場合があり、これがさらに過食の維持に加担している場合がある。
→過食であるかどうかは、食事量とかカロリーの問題ではなく、『途中で止められるかどうか』が決め手である。全部食べないとやめられないという人が多い。
→不適応思考の認知療法的改善が図られる
→患者・治療者の間の信頼関係を築き、『動機付け』の強化と維持を図る。
→強迫的傾向や嗜癖傾向を有しているので、そのつもりで長期に支える必要がある。
→挫折することは必然であるが、それでも、また、治療を始めることができる。その点では嗜癖、典型的にはアルコール嗜癖に似ている。
→NABA:日本アノレキシア(拒食症)・ブリミア(過食症)協会などが自助グループとしてある。有効か否かは患者による。
→対人関係療法が有効な例もある。認知療法、行動療法で、行動記録や食事記録をつける。家族療法が有効であるとする論者が多い。精神分析的には幼児期の体験に原因還元されるはずで、そうなると家族療法に行き着く。たしかに有効である場合が多いが、治療のメカニズムとしては、トラウマの改善とか、機能不全家族とか、そのような特定の名前のつくものでない例もあり、さまざまである。
→過食しそうになったときの代替行動法を心理教育する
→認知療法では自己認知の訂正が主要なテーマとなる
→慢性化しやすい。1997-2002の調査では、回復・部分回復が47-73%、不良が9-30%、致死率0.57-2.33%、死因としては、自殺、事故死、心不全、など。予後の悪い例は、長期慢性例、物質関連障害の合併、人格障害の合併などが言われている。
→こうして読んでみて思うのだが、これだけのデータが蓄積されるほどの、患者数の多い疾患に現実になってしまっているのだ。
→身体をコントロールする意味では嘔や下剤などで調整できる面もあるのだろうが、結局、骨の発達がよすぎて骨盤が愛されるには大きすぎた場合など、美容整形としてもどうしようもないレベルもある。その場合、自分を支配している規範とか理想がなぜ規範であり理想であるのか考える必要があるのだが、そのような思考を受け付けないので、病気として、身体を病んでいる面がある。

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3.神経性大食症の治療法の検討-大うつ病性障害を合併した1例の治療経過からの考察-
石堂考一, 藤原裕矢, 河合啓介, 野崎剛弘, 瀧井正人, 久保千春
九州大心療内科
心身医学, 46(4) : 333-334, 2006.

→一方で大うつ病との合併例あり、また統合失調症の初期症状と解釈されてものあり、さらには脳高次機能障害とか脳萎縮を指摘された例あり。

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摂食障害の疫学的解析と将来展望
中井義勝
鳥丸御池中井クリニック
Pharma Medica, 24(3) : 43-46, 2006.

→なぜ増え続けているのか、謎である。
→摂食障害は1980年から20年の間に約10倍に増加した。1992から1998では4倍増えている。
→1999年にAN:BNは6年前の3:1から55:45に変化していてBNの増加が著しい。理由については不明である。私見では、強迫性障害や性格障害が症状同一回路として『摂食障害』とくに『過食症』を持っているものと考えられる。
→ANは10-19歳、BNは20-29歳が多い、そして90%以上が女性である。近年では若年発症や結婚後の発症も増加している。このあたりは病理の推定をさらに困難なものにしている。
→発症後10年以上を経過した遷延例が15%と出ていて、決して例外ではないことが分かる。
→病気であることを否定したり、診療を拒否したりするのがANの特徴である。
→体重低下、便秘、無月経、低血圧、徐脈、低体温、うぶ毛密生、毛髪脱落、乳房萎縮、柑皮症はANに多い
→唾液腺腫脹、歯牙侵食、吐きダコはANBPとBPNで多い。
→歯牙侵食はインプラント後も侵食が続く。
→脳MRIなどで脳萎縮、WAISでは知能低下が観察されている。
→精神症状としては、強迫傾向、対人関係不良、過剰適応、抑鬱などが多い。これは従来の指摘と同様の報告である。
→肥満恐怖、痩せ希求、体型への異常意識がやはり従来同様に指摘されている。
→うつ、不安、強迫、人格障害は摂食障害発症後に多く出現していた。どうも摂食障害の『結果』であるらしい。
→最近のイギリスの報告(2005)では1988から2000までANの頻度は一定、しかしBNについては1996まで増加し、その後は減少していた。このことから、ANは遺伝的要因が強く、BNは環境要因が強いのではないかとの考えが提出されている。イギリスでは1997以降BNが減少しているのか、診断方法の変更や医療制度の変更などが関係しているか、検討が待たれる。
→最近の調査では、EDNOSが多くなっている。
→歴史を見ると、西欧では1870年代にANが登場した。日本では1960年ころである。その後1970年代からBNが注目されるようになった。否定形型や不全型が論じられEDNOSが論じられ、診断基準そのものの変遷もあった。
→現代人の食生活そのものが乱れている現状の中で、摂食障害とは何かが改めて問われており、診断基準の運用によってはEDNOSが過半数となり、EDNOSの一部はやはりANやBNに含めるのがよいと提案されたり、色々な動きがある。
→日本でのAN報告の歴史は50年になるが転帰調査は多くない。再発しやすい。しかし具体的な数字には乏しい。
→ANRは増加していない。増加しているのは「やせ礼賛とダイエットブーム」によるものと、「うつ、不安、人格障害などの精神科疾患併存例」である。
→西欧での病型変化を日本も時間差を持ってなぞっている。これは主に「下部構造」のゆえなのか「上部構造」のゆえなのか、議論がある。時差をどのように説明できるのか。症例の一部分は欧米留学時に発症しているので、そのような例では、時間差なく発生していると考えるべきなのか。
→日本食そのものがダイエット食なのであるから、文化の差は明らかにある。

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セロトニンニューロン系と摂食障害
野々垣勝則, 齋藤佐知子
東北大学大学院医学系研究科COE・分子代謝病態学分野
Pharma Medica, 24(3) : 47-53, 2006.

→この分野はレプチンとかセロトニン、ドパミン、グルタミン酸など様々な切り口があり、一定の見解はない。英文の詳細な論文がある。http://www.radcliffe-oxford.com/books/samplechapter/2447/01_Wonderlich2008_D1-15d05720rdz.pdf

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15.摂食障害
水田一郎1), 井上洋一2)
1)神戸女学院大学人間科学部心理・行動科学科精神医学研究室, 2)大阪大学健康体育部カウンセリング学部門
臨床精神医学, 33 : 324-341, 2004.

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摂食障害と知的機能
西澤章弘1), 井原裕1), 稲葉裕2), 新井平伊1)
1)順天堂大学医学部精神医学教室, 2)順天堂大学医学部衛生学教室
臨床精神医学, 33(1) : 77-87, 2004.

→摂食障害の場合に残遺状態を呈する場合がある
→1980年代から摂食障害の認知機能異常が報告されている。神経性無食欲症だけではなく過食症においても同様。
→WAIS-Rでいくつかの特徴

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摂食障害の心理特性に関する検討
山口利昌1), 守口善也1), 志村翠2), 大場眞理子3), 棚橋徳成4), 大川昭宏1)
1)国立精神・神経センター国府台病院心療内科, 2)国立精神・神経センター精神保健研究所心身医学研究部,
3)福島県立医科大学神経精神医学講座, 4)九州大学大学院医学研究院心身医学
臨床精神医学, 33(7) : 931-938, 2004.

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「精神科外来における摂食障害に関する臨床研究」研究報告書
紫藤昌彦1)2), 大塚明彦1)3), 松下昌1)4)
1)日本外来臨床精神医学会, 2)紫藤クリニック, 3)大塚クリニック, 4)西落合診療所, 4)帝京大学
日本外来臨床精神医学, 2(1) : 92-93, 2004.

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摂食障害の遺伝子研究
篠原学
山梨大学大学院医学工学総合研究部精神神経医学
分子精神医学, 3(3) : 191-195, 2003.

→遺伝子がやっぱり関わっていそうという報告
→むちゃ食い+排出型のあるタイプにはSSRIが有効であり、その説明しとして、セロトニン系の振る舞いがかんけいしているはずということになり、セロトニン系の遺伝子が調べられている。
→問題は、症状として何を拾い上げるのかという点にある。摂食障害の下位分類が妥当であるか、食行動の特性分類が妥当であるか、問題になる。
→痩身願望と強迫観念がある領域でシグナルとして検出できている。
→BNとBPDの合併については、特に遺伝子との関連が言われている。
→摂食を減少させるものとして、5-HT,DA,CRH,Estrogen,Leptin,MSH,POMC
→食欲を増加させるものとして、AGRP,Galanin,NPY,Orexin
→Melanocortin 4 receptor が関係しているとの報告
→Estrogenに関しては、EDの発症ピークが思春期であることにより、大いに疑われているのだが、多少の報告はあるものの、多分、患者群、症状群の分類のがまずいのではないかとの疑いがある。

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さまざまなセロトニン関連疾患について-強迫性障害,月経前不快気分障害,強迫買い物症を中心に-
大坪天平
昭和大学医学部精神医学
分子精神医学, 2(3) : 284-286, 2002.

→強迫性障害,月経前不快気分障害,強迫買い物症、さらに過食の症例は実際に経験していて、その場合に、セロトニンは余り効果的ではなかった。

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長期にわたる過食と嘔吐がfluvoxamineにより消失した中年男性の1症例
住谷さつき, 谷口隆英, 大森哲郎
徳島大学医学部神経精神医学教室
臨床精神医学, 31(3) : 307-312, 2002.

→フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、さらには他のSSRIとSNRIで効果があったとの報告があるが、どのような場合にどれが効いたのか、効果予測できる段階ではない。

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11.摂食障害における病型変化の時代的変遷について
中井義勝
京都大医療技術短期大学部
心身医学, 42(6) : 397, 2002.

→中井先生はこの話題で何度も書いている専門家。

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2.システムズアプローチによる神経性大食症の治療の1症例
森田千尋, 早川洋, 久保千春
九州大心療内科
心身医学, 42(8) : 535, 2002.

→システムズ・アプローチは家族療法のようなもの。

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摂食障害の臨床像についての全国調査
中井義勝*1, 久保木富房*2, 野添新一*3, 藤田利治*4, 久保千春*5, 吉政康直*6, 稲葉裕*7, 中尾一和*8
*1京都大学医療技術短期大学部, *2東京大学医学部心療内科, *3鹿児島大学医学部心身医療科, *4国立公衆衛生院疫学部,
*5九州大学医学部心療内科, *6国立循環器病センター動脈硬化代謝部, *7順天堂大学医学部衛生学,
*8京都大学大学院医学研究科臨床病態医科学
心身医学, 42(11) : 729-737, 2002.

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摂食障害の時代的変遷
中井義勝
京都大医療技術短期大学部
心身医学, 42(11) : 753, 2002.

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摂食障害
中井義勝*
*京都大学医療技術短期大学部
診断と治療, 89(5) : 772-776, 2001.

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中枢性摂食異常症 わが国の現状と問題点
鈴木(堀田)眞理
政策研究大学院大学保健管理センター, 東京女子医科大学内分泌疾患総合医療センター内科, 東京女子医科大学女性生涯健康センター内科
Pharma Medica, 27(10) : 53-56, 2009.

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18. 12年来の過食症に対し, 絶食療法が著効した1例
石川元直, 樋口裕二, 柴山修, 佐貫一成, 佐藤亜貴子, 福島一成, 竹内俊明
藤枝市立総合病院心療内科
心身医学, 48(4) : 308-309, 2008.

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34. 強迫性障害(OCD)を合併した神経性食欲不振症(AN)の1遷延例
辻裕美1, 権藤元治1, 山田祐1, 森田千尋1, 河合啓介1, 瀧井正人1, 久保千春1, 乾明夫2
九州大病院心療内科1, 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科行動医学分野2
心身医学, 48(9) : 822-823, 2008.

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6. 初診時の面接指導1回で過食嘔吐が消失した摂食障害の1例
大隈和喜1, 乾明夫2
湯布院厚生年金病院内科1, 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科行動医学分野2
心身医学, 48(9) : 823, 2008.

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22. 『行動制限を用いた認知行動療法』により発達障害の並存が明らかとなった神経性食思不振症の2例
岡山征史朗, 白石愛, 林たみ子, 深尾篤嗣
洛和会音羽病院心療内科
心身医学, 48(10) : 904-905, 2008.

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11.『行動制限を用いた認知行動療法』が症状の改善に有効であった転換性障害合併神経性食欲不振症遷延例
岡山征史朗, 藤井康子, 関口 敦, 間島富久子, 太田百合子, 川田まり, 苅部正巳, 石川俊男
国立精神・神経センター国府台病院心療内科
心身医学, 47(1) : 52, 2007.

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I-4.統合失調症の前駆期にみられる摂食障害の諸特徴について
中村晃士, 沖野慎治, 石黒大輔, 小野和哉, 森 美加, 黄 菊坤, 中山和彦
東京慈恵会医科大精神医学講座
心身医学, 47(5) : 348-349, 2007.

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14.強制退院となったあとも治療関係を継続できた摂食障害の1例
和田教義1, 岡山征史朗1, 奥見裕邦1, 深尾篤嗣1, 黒川順夫2, 中井吉英3
洛和会音羽病院心療内科1, 黒川内科2, 関西医科大心療内科学講座3
心身医学, 47(7) : 664, 2007.

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摂食障害の病態進展と治療:最近の話題
大隈和喜
湯布院厚生年金病院内科
Pharma Medica, 24(3) : 55-58, 2006.

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26. ひきこもりから逸脱行動へと変化した青年期摂食障害男性例の入院治療-SSRIと否定的同一性選択の治療的役割について-
柴田敬祐1, 岸本智数2, 和田良久1, 山下達久3, 福居顯二1
京都府立医科大大学院精神機能病態学1, 大阪府済生会吹田病院精神・神経科2, 舞鶴医療センター臨床研究部3
心身医学, 46(3) : 251, 2006.

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【シンポジウム1】2.摂食障害:生物学的背景
成尾鉄朗1), 前村和俊1), 兒島真哉1), 中原敏博1), 安原大輔1), 村永鉄郎1), 中別府良昭2), 中條政敬2)
1)鹿児島大大学院社会・行動医学講座, 2)鹿児島大大学院放射線治療学講座
心身医学, 46(4) : 329-330, 2006.

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13.高次脳機能障害を伴い治療困難と思われた神経性食欲不振症(むちゃぐい・排出型)の1症例
前村和俊, 鷺山健一郎, 中村竹男, 村永鉄郎, 長井信篤, 成尾鉄朗
鹿児島大病院心身医療科
心身医学, 46(4) : 337, 2006.

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35. 精神科閉鎖病棟への数日間の入院が行動化の著明な改善の契機となった神経性食欲不振症(むちゃ食い/排出型)の1例
原健, 阪中明人, 松林直
福岡徳洲会病院心療内科
心身医学, 46(5) : 396-397, 2006.

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36. 炭酸リチウムと塩酸パロキセチンを主体とする薬物療法と母親の協力のもと一定量の食事摂取を図ったことが有効であったと考えられる一摂食障害患者の治療例
安田弘之
やすだクリニック心療内科
心身医学, 46(5) : 397, 2006.

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6.離婚を契機に症状の改善をみせた2例
流王雄太, 太田順一郎, 山田了士, 黒田重利
岡山大大学院精神神経病態学教室
心身医学, 45(1) : 68, 2005.

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摂食障害の経過と予後
西園マーハ文
東京都精神医学総合研究所児童思春期研究部門
脳21, 7(4) : 425-428, 2004.

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19.衝動コントロールが困難であった神経性食欲不振症の1例
加藤直子1, 山岡昌之2, 一條智康2, 森下 勇1
九段坂病院心理1, 九段坂病院心療内科2
心身医学, 44(8) : 614-615, 2004.

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消化性潰瘍と円形脱毛症が共有され,一方にBulimia nervosaがみられた青年期双生児例 ―同胞間葛藤とAlexithymia再考―
佐野信也1), 宮原明美2), 山本泰輔1), 菊地秀明1), 中山道規3), 野村総一郎1)
1)防衛医科大学校精神科, 2)青山渋谷メディカルクリニック, 3)中山クリニック
臨床精神医学, 32(11) : 1401-1409, 2003.

→この論文はアレキシサイミアについて考察した貴重なもの。Bazinのstate-alexithymiaとtrait-alexithymiaとを対比させるというあまり有名ではない話。確かに患者さんたちの中にアレキシサイミアの傾向は見て取れるように思う。心身症とアレキシサイミアは1973年Sifneosの論文で述べられていて、結構古株の論議で、最近は全然流行ではない。しかし現在も無視できない。Sifneos,Nemiah、Freyberger,Bazinなどの名前が挙がり、trait-alexithymiaをプライマリー・アレキシサイミアとし、state-alexithymiaをセコンダリー・アレキシサイミアとして、それぞれ遺伝性・持続性と、外傷性・一過性・反応性と分類している。
→Corcosがtrait-alexithymia、プライマリー・アレキシサイミア、遺伝性、持続性のものは、心身症と関連し、種々のしへき行動とも関連性が高いと論じている。Corcosはプライマリー・アレキシサイミアがある人は、無症状から依存・しへきを経由して心身症に至ると書いているようで、なぜそんなことが言えるのか、私には分からない。
→葛藤を論理とか行動で処理するとアレキシサイミアだとかいうのは極端すぎる。葛藤の象徴化の障害とか言われるわけだが、そのことと疾病がどうつながっているか、不明。
→感情をぶつけ合えば偉いわけでもないが、隠していてもいいわけでもない
→結局家族内葛藤に還元されるいつもの議論
→心身症としては消化性潰瘍と円形脱毛症なんですが、さて、それは心身症なのかどうか。
→双生児例ということで価値がある。しかしアレキシサイミアの論点は深まりを欠く。といっても、どうしたらいいのか分からないが。

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摂食障害の1姉妹例―家族内の力動的観点から―
大中俊宏, 大林正博, 井出雅弘
自治医大附属大宮医療センター総合医学I心療内科
心身医学, 43(3) : 207, 2003.

→結局家族内力動を語るわけだ。しかし結局治ったかどうかは長期経過を見なければならない。長期経過はやはり楽観できない。

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69.戦略的エリクソニアンアプローチが有効であった境界例を伴う摂食障害の1例
松原慎*1, *2, 西方宏昭*2, 玉川恵一*2, 河合啓介*2, 野崎剛弘*2, 瀧井正人*2, 久保千春*2
*1南福岡病院心療内科, *2九州大心療内科
心身医学, 43(9) : 630, 2003.

→従来、衝動性コントロールなどの点で境界型人格障害との合併、異同が論じられた。最近は境界型の症例は多くないように感じ、これもまた文化依存的な論じ方であったのかと思わざるを得ない。

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26.拒食と過食を頻回に繰り返す摂食障害の1例-喪の作業の遷延化
坂梨小枝子*1, *2, 安東龍雄*2, 忠井俊明*1
*1立命館大応用入間科学研究科, *2安東医院
心身医学, 43(11) : 791, 2003.

→経過としては循環性障害を考えさせられる

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心身症外来プライマリ・ケアにおけるナラティブ・アプローチ
斎藤清二
富山大学保健管理センター教授
綜合臨牀, 51(5) : 1067-1070, 2002.

→ナラティブ・アプローチは実践としては大いに学ぶべき点がある。しかし論文としては、なんとも形になりにくい。

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パロキセチンが奏効したと思われる過食症の1例
室谷民雄
名古屋第二赤十字病院精神科
Pharma Medica, 20(10) : 91-94, 2002.
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長期にわたる過食と嘔吐がfluvoxamineにより消失した中年男性の1症例
住谷さつき, 谷口隆英, 大森哲郎
徳島大学医学部神経精神医学教室
臨床精神医学, 31(3) : 307-312, 2002.

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ボクシングの減量計画を自ら試みた神経性食欲不振症の男性例-チャンピオンへの同一化にみられた男性性の確立不全について-
山下達久1), 有井一朗2), 名越泰秀3), 岡本明子4), 加嶋晶子4), 和田良久4)
1)国立舞鶴病院臨床研究部, 2)社会保険神戸中央病院精神科, 3)京都第一赤十字病院精神科, 4)京都府立医科大学精神医学教室
臨床精神医学, 31(11) : 1351-1357, 2002.

→これは症例報告としては顕著な特徴がある。

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森田療法的外来指導が有効であった神経性過食症の1例
林吉夫, 斉藤麻里子, 村手恵子, 荒木靖子, 平林由香
林内科クリニック
心身医学, 42(2) : 144-145, 2002.

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15.摂食障害女性への内観療法-心理的変化を中心として-
中尾弘志1, 堀井茂男1, 壼内昌子1, 久郷亜希1, 元木郁代1, 佐藤創一郎1, 石津秀樹1, 黒田重利2
慈圭病院1, 岡山大精神神経科2
心身医学, 42(9) : 625, 2002.

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食行動と嗜癖
横田直美
阪神漢方研究所附属クリニック
PROGRESS IN MEDICINE, 21(2) : 438-439, 2001.

→食行動の異常を明確に嗜癖と定義して話を進める人は多くはないのだが説得力がある。この人も。
→体型と食行動の内実は一致しない。従って、普通程度の体型なので、食行動の異常を発見出来ないままで見逃すことがある。自分で申告しない限りは見つからないことがある。
→受診動機としては不定愁訴であることが多い。典型的な拒食症例は減少しており、マイルドな過食・嘔吐が増加している。
→仕事で活躍していて出産もして子育てをしている人もいる。ますます発見しにくくなっている。10~40と年齢分布も広くなっている。
→患者は、医者に相談すべき病気だと思い至らずに、エステ、健康器具、健康食品、無責任な指導をするある種の人たち、美容整形などに多額の出費をしている人も多い。食行動以上がマーケットとして大きくなっており、同時に体型を気にするように誘導するビジネスが成立していると考えられる。この点では、男性をも巻き込んでの「洗脳」プロセスが進行しているのだろう。「痩せビジネス」「ダイエット産業」と言える。低成長で仕事がなくなりつつある現状の中で、「痩せビジネス」は宣伝を維持すれば需要を喚起できる業界のようだ。女性雑誌の後半部の何ページかは、そのような産業関係者が総出演しているようである。
→日本の現代少女たちの思春期環境が問題である。大人の女性のモデルを描きにくい。ファッションモデルやタレントが登場して、少女たちを洗脳するのであるが、それは大人の女の生き方ではなくて、どの商品を買えばいいかだけである。商品カタログでしかない。生き方を学ぶ場所がない。それが現代日本少女の不幸である。
→母親が少女のモデルになっていない。お手本にならず、むしろ、否定的な材料になる。
→学力の高い女子は男子以上の能力を発揮する。専門職を目指し、医師、薬剤師、法律家、会計士、などの免許のある仕事を目指し、親も娘を応援する。結婚した後で、夫の理解があるので仕事が可能なのではなくて、経済的に不足があるので、妻は否応なしに働かなくてはならないことになる。特に現代の消費社会を享受するためには妻も働く必要がある。ただ、その中で、妻も社会の中で認められるというおまけは付く。今後はお年寄りも、働こうという運動が広がるだろう。70さいまで、あるいは75歳まで働こうと宣伝される。その際のメリットの提示は、妻が社会進出した時と同じ文言となるだろう。
→女子の学歴競争は昔は限られたものであったが、今後、お嬢さん学校の条件は進学校になるだろう。
→学力で選別される環境が激しくなる一方で、さらに細く、身長は高く、手足が長く、胸は大きく、恋愛に積極的で、性愛を厭わず、そのような女性がもてはやされる。それはまさにおじさんの好みである。会社にいる、セックス可能な、部下。それはそれでつらいのであるが、そのポジションをつかめるのは一部のみである。それ以外の女性は自分の自己愛を保護するために、独自の島宇宙を作り出し、そこに一時的に引きこもる。同人誌、やおい、コミケ、おんなオタクの世界。ネット社会は格好の培地である。そしてダイエットという島宇宙も何のとりえもない少女たちの心を引きつけてやまない。
→摂食障害は食行動の嗜癖である。ボディイメージの歪みや特有の思考パターンが指摘されるのであるが、結局のところ嗜癖と考えれば最も理解しやすい。
→少女たちは自信がないので「食事を制限して痩せた」という体験は自己否定傾向から自分を救い出してくれる心の安らぎであり、ファンタジーである。痩せると他人は賞賛してくれるし自分でも達成感が嬉しい。その延長で脳は低栄養状態が持続する。さらに腸管は萎縮し、内臓系の自立神経失調症が現れる。このことがさらに摂食障害を固定化する。ある時点で拒食から過食への転換が生じる。嘔吐や下剤乱用により体重を維持するので一見普通の定形を維持する。
→拒食症では、冷え、腹満、便秘が三大症状である。これが受診動機となる。ついで無月経、脱毛、むくみが多い。
→医療機関にかかりたくない彼女らが内科女性漢方医を求めて受診する。したがって、ファーストコンタクトの役割は大きい。

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薬物療法の可能性
切池信夫
大阪市立大学大学院医学研究科神経精神医学
臨床精神医学, 37(11) : 1465-1470, 2008.

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精神医学の臨床現場で見る成人の発達障害
牛島定信
臨床精神医学,39(9):1239-1243,2010
→衣笠の言う「重ね着症候群」が典型的な例
→プレコックス・ゲフュールに対して「発達障害ゲフュール」と表現して独特の感じに対しての注意を喚起している
→精神症状の背景にある発達障害の特性
→状況反応型の病態であると注意を喚起
→ミンコフスキーがシゾイドとしているものとの違い。シゾイドは過敏と鈍感の2因子により規定された自閉。成人発達障害はコミュニケーションの不器用さによるもの。過敏さがない。
→自己表現の拙劣さ、コミュニケーション技術の幼稚さ、社会性の未発達は現代の若者の特徴とさえなっている
→こうした「自己表現の拙劣さ、コミュニケーション技術の幼稚さ、社会性の未発達」は、アレキシサイミアと通じる面があるのではないかと思う。
→うまくいかない原因を指摘してうまくいくようになるものでもない。対応の仕方にコツがありそうである。
→摂食障害の背景にこうした発達障害の背景を読み取ることができる例もある







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高貴にしてやや苦痛を含み

あなたの唇は私をあまりにも誘惑する
プリプリとやや控えめに

高貴にしてやや苦痛を含み



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あなたの肩を眺めながら 痩せたなと思ったら泣けてきた

踊り疲れた ディスコの帰り
これで青春も終わりかなと呟いて
あなたの肩を眺めながら
痩せたなと思ったら泣けてきた

大阪で生まれた女やさかい 大阪の町よう捨てん
大阪で生まれた女やさかい 東京へはようついて行かん
踊り疲れた ディスコの帰り
電信柱に染み付いた夜

大阪で生まれた女 BORO

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私の絶対領域にしてほしい

あなたは法律的に正当な性の配偶者に愛される
それは何もかも正当な行為である
私はその全体を祝福する

しかしただ一点望んでいいとすれば
左の小陰唇だけを私の領域にしてほしい
私の絶対領域にしてほしい

そして愛される時も
愛されるままに愛されて
しかしその領域だけは無感覚でいてほしい

ただうっすらと無感覚でいてほしい



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冷たい風が心地よい

冷たい風が心地よいのは
体が火照っているからだろう

あなたゆえ

冷たい牛乳も今日は心地よい
体が芯から熱いのだ

あなたゆえ

あなたは私をこんなにも変えてしまい
また週末の苦しみが私を襲う


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傷を癒す手

傷を癒す優しい手

手を当ててもらうだけで癒される気がするのは不思議なことだ


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スタニスワフ・レム「捜査」

「ソラリスの陽のもとに」で有名なスタニスワフ・レムの作品である。
1978年の翻訳で昔風の小さな活字で印刷してある。
内容は、推理小説というよりは、不可解な事象に直面した時に、
人間の理性はどのように解釈・推理・意味づけをするかという問題のようだ。
科学的、宗教的、精神病理学的、などの諸要素を含み、
解決に至らない限り、諸要素は複雑に混合し、
理性の内部で妥協すらも生じる。
推理する主体の側がほとんど精神病的な事態に至ることにもなる。

しかしこの人、ほんとにすごいです。
事件は、死人が生き返り動くらしいという、聖書的な事件を題材としている。
事件発生の地域、時間、気象条件、その他の諸要因を、
統計的に解釈する人、メカニズムとして解釈する人、免疫学的に解釈する人、
などを登場させ、それぞれの場面で、唸らせる。

スタニスワフ・レムには架空の本に寄せた序文集、架空の本を批評した評論集などもあり、昔手に取った覚えがある。

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セックスなんか面倒くさい

もうセックスなんか面倒くさいし
私はそんなの好きじゃないから
やりたいんなら風俗でもいいし浮気でもいいからしてもらつていい
それで離婚になるならそれでも全然かまわない

という女性側の感想を数多く聞く
このあたりは女性の意識が変化しているのだろうか

嫉妬に燃えるという様子ではない

自分のことは自分でしなさいという雰囲気なのである

ひっょとしたら
女性は昔から義務感でつきあってきたのかもしれない

男性がその気にならなければ
何も始まらないが
女性はまったくその気にならなくても
事は終わるものらしい

*****
別の言い方をすれば
女性はその気にさせてくれる状況を希望しているのだろう

しかしそんなものも映画とドラマと小説で飽食しているので
現実人生は着実でいいらしいのだ

*****
その延長かどうか
子供が生まれてもこの先かわいそうかもしれないとの感想はよく聞く
少なくとも自分くらいに幸せには生きられないだろうと感じているらしい
正しいのかもしれないが
悲しい

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背中まで45分


おまえの背中までは
9ヶ月かかった



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Political Position

World's Smallest Political Quiz

Bryan Caplan のリバタリアン・ピュアリティテスト

アナルコ・キャピタリストの発想

私有コミュニティについて

リバタリアニズム ヒストリー

他人を必要としない価値メカニズム

上流

少子高齢化と資本主義

明日餓死しているのは誰だろう

濁った水

「仮想的有能感」と「高等遊民」とリバタリアン

機会の平等と結果の平等

13億人は何を食べて何を着ているか

夢の世界とカタストロフィ

リバタリアンの古典 フリードマン 資本主義と自由

医療費は何で決まるか

ナショナリズムの有効性

クリントン改革の挫折

政府による収奪と分配

ミルトン・フリードマンのインタビュー

世界観

生活保護基準見直し 最低賃金法

*****
以上並べてみると、
税収により公共の福祉を推進し所得の再分配を図るという
昔からの言い分が
嘘だと私は言いたいようである。

税金を収奪した時に不正が起こり
その不正を隠蔽する装置が政府と官僚組織というものなのだ。

フリードマンの指摘だから多分100年後には常識になっているだろう。

最も貧しくもっとも従順な階層から
容赦なくすべてを奪いつくす
それが政治である

最近では
その仕事を終わって
アメリカで余生を暮らす人もいる

共通テーマ:日記・雑感

子ども文化と老人文化

この間まで日本は子ども文化だと思っていたら
あっという間に日本は老人文化だと思うようになった

たぶん当時のテレビを見て子ども文化だと思い
最近の新聞とNHKを見て老人文化だと思ったらしい

ということはわたしが子どもから老人になったというだけのことのようだ
なんというego centricity.

共通テーマ:日記・雑感

たくさんの色のスィートピー

花屋でたくさんの色のスィートピー
マンゴー色さえある

そして想うのはただその人のことばかりだ

スィートピーは英名で「スィート」は香りの良さ、
「ピー」はエンドウマメ。

2008-02-21

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多様で柔軟な解釈の練習 文学

なぜ自分がこんな不幸に会わなければならないのかと
思うことはあるだろう。

しかしそれは現実に起こってしまった。

どうする?

考えてみれば、それは、人間の世の中で歴史上最初に起こったことではなさそうだ。

他の人はどのような解決しているのだろうかと考えてみる。

個別の事情はもちろん違うから参考になるだけであるが、
それでも、参考にすることはできる。

いろいろな話を聞けば、
なるほどいろいろな解釈が成立するものだと思う。
多くの人の話を聞いていて思うのは
実に多様な解釈が可能であるということである

可能であろう多様な解釈を考えてみること
それもそうだなあと感じてみること
そう考える人もいるだろうなあと思ってみること
そこまで行けば
困っている人間同士が連帯することができるのだと思う
現実に連絡を取り合うわけではないが心理的な連帯はできるのだ

文学という絵空事がしていることは
多様な世界解釈の例示である。
文学はそれ自体で感動するしおもしろいし、それで全部だと思う。
暇つぶしだといえば、それでいいし、充分だ。
しかし、現実的な効用で言うなら、
物事についての、自分以外の解釈を詳細に、
多くの場合美しく、知ることができるということだ。
川端康成とドストエフスキーと徒然草では
どう見ても世界が別様に見えていると感じられ、
作者の内部にある世界モデルは違っていると考えられる。
ドストエフスキーがその内部に抱いた世界モデルのせいで
どんなひどい人生だったかはいろいろに書かれている。
サイードでもいいし、ファン・ソギョンでもよい。
あるいは佐々木閑でも井筒俊彦、マハーバーラタでもルバイヤートでもいい、
多様な解釈が世界には確かにあるのだ。

多くを知ることは自分を相対化することだ。

世界を解釈する別の網の目つまり解釈システムを学習しようではないか。
もう一段柔軟になることができる。



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日本映画 象の背中

役所広司と今井美樹が出演

役所広司のメイクと服装を見ていると
こんなにも違うものかと思う
気をつけなくてはと思う

トップスターの演技はこういうものか
役所広司のスケジュールがとれたところから
映画の製作が始まるとか言うくらいだ
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今井美樹は
豊かな表情
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ホスピスではないけれど
海の見える立地でパシフィックと名前のつく病院がある
実は塩害でなかなか大変

結婚して23年というふたりである
子どもが二人育って
23年と言えば長いのだと腑に落ちる

人の命は短く
その後に長く残るものがある
とセリフにある

最近家を掃除して回っていると
何だか死を連想する
生きていることは乱雑さを大きくすることであるようだ
片付けた果てにはすべての静止があるような気がする

兄が弟が先に死ぬのは理不尽だなと語る

長く生きれば死が理不尽でなくなるわけでもないが
共に生きた人間が減っていけば
何だか理不尽さも薄らぐのではないか

親しいものすべてを残して旅立つことは耐え難い理不尽だろうと思う
どのようにして納得できるか考えるが
自然なのはやはり
来世、天国、極楽浄土、輪廻転生、あの世、パラダイス、
なんでもいいが
継続性を信じることである

医の倫理の議論で嘘をつくのはもちろんいけないのだが
死後の世界について
ぎりぎり嘘にならない説明の仕方というものが
解説されていたと記憶する

恩師の死を思っていた
人の命が消えるときに人は本当に何もできないものだ

コマーシャルで尾崎豊の「アイラブユー」を聴く
いろいろと思い出す

生まれかわってもまたプロポーズするよ
というのは本当に幸せな言葉だと思う

現実の人間が死を受容するのはもっとずっと難しいようだ
忘れるとか気をそらすとか
他に気になることがたくさんあるとか
そんな状態しか
回避の方法はないのかも知れない

*****
改めて思うが
自分としてもとんでもなくたぶん予定外に長く生きたものだと思う

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スティーブン・キングの「スタンド・バイ・ミー」

 スティーブン・キングの「スタンド・バイ・ミー」は、子供の友情について書かれた最も感動的な小説(映画も)の一つだ。その結末は、こう結ばれている。

 I never had any friends later on like the ones I had when I was twelve. Jesus, does anyone?
 私は、あの12歳の時に持っていた友人に比べられるような友人を、その後、二度と見つけることができなかった。くそ。そんなこと、誰にだって無理に決まっているじゃないか。



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私は男でなくてよかった。なぜなら、女と結婚しなければならないからだ

私は男でなくてよかった。なぜなら、女と結婚しなければならないからだスタール夫人

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アロンアルファ

真偽は不明ながら興味深い話、採録

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頭の創は、創の両側の髪の毛をインスツルメンタル タイをして、その結び目にアロンアルファをを落として、創を閉じていくと、その創は治った時に、ほとんど創の痕がわからないほどきれいに治ります。 
普通の場所の皮膚いじょうにきれいに治ります。縫合することなくです。 

ところが普通の場所では、髪の毛がほとんどないので、それができません。 
そこで、テープを使って止めるわけですが、少し難しい創では、テープではキレイに止めることができません。 

絹糸を7cm位、 3-0または4-0くらいの太さのもので、端を5mmくらい解いたものを用意いたします。 
創の、相対するぎりぎりのところに、この糸の解いたところを、アロンアルファで固定いたします。この時、糸が解かれていますので、皮膚に簡単にしかも強く接着いたします。 それがしっかり着いたところで、両側を引っ張りながら、結びます。創は、ピタリと、閉鎖いたします。 
コレで、縫合の時と同じようにして、創全体を、閉鎖いたします。 
空いているところは、テープ固定でも良いし、アロンアルファで閉じても構いません。 
以上、縫合しない、創の閉鎖方法でした。
 
なお、深い位置を圧迫しておきたい時には、前出の熱可塑性プラスチックを創のやや離れたところで、ユビサキで押して、プラスチックをユビサキと同じ力の入れ具合にして、創 を両側より圧迫いたして起きます。 
その時、あらかじめ創を圧迫するために形を整えて置いたプラスチックを使います。皮膚には少量のアロンアルファで固定しておきますと、プラスチックは1週間ほど着いていま す。このプラスチックは、創の奥を少し圧迫すると同時に、創の安静を保つのにも優れています。 
なかなか優れもののプラスチックです。

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現在、超弾性合金を使って、巻き爪の装具を完成させているのですが、その際、とても面白いものが出来上がったり、考えられたりしています。 
一般の人が、その金属に出会うことはほとんどないと思われますので、その性質を簡単に記すとともに、そこからの応用について記載いたします。 
ニッケルとチタンの合金で、その弾力性はずば抜けています。そのほかの性質として、形状記憶という性質があります。温度によって、形が変化する可能性があります。その性質 を使いますと、電気を少し流すことによって、温度を変えると、筋肉のように伸縮させることもできますし、現に人口筋肉としての応用が、考えられています。私はコレを、WA VE状にしてその特性を使っています。そのWAVE状に作ったものを、円形にしておいて、そこに電気を流して、温度を変えますと、大きな円と小さな円を作ることが出来ると 考えています。 
その性質は、肛門括約筋として使えると考えています。 
その性質を使いますと、人工肛門の皮下に埋め込んでおきますと、人工肛門に電気的に開閉できる括約筋をつけることが出来ると考えています。 
そうしますと、とても人工肛門を作っている方は、楽になると思われます。 
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もう一つ重要な利用として、ダイナミックスプリントがあります。 
腱の損傷後にギプス装着するのですが、この際に、固定する時に、腱の短くなる肢位に固定するわけですが、この時、ジョイント付きプラスチックギプスと致します。そして、ジ ョイント部位を、単純にこの超弾性合金でつなぎます。 
そうしておきますと、固定するとともに、反対側への運動ができ、力をいれずに元の肢位に戻ってくることができます。 
現在使われているダイナミックスプリントに比べて、初めから装着でき、外側に突出するところが無く、とてもスマートに腱のスライドが得られます。 
既にこれは実際に使っておりまして、良い結果が得られています。 
性能は、抜群です。

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そのほか、熱可塑性プラスチックを使っていますが、この性質は、形のかみ合わない二つのものを、コレを中間媒体として、何でも接着できる性質があります。コレもとても利用 価値のある性質です。またこれは、どのような部品でも、部品の欠けや損傷でも、直ちに修復あるいは代用する能力を持ちます。 
とても面白い性質で、車やうちの中の壊れたものの修復に代用品として、直ちに使えて、とても便利です。 
プラスチックで、破損したものなど、すぐに直すことができます。


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喉と脳の共進化

人間は直立歩行になって
喉のあたりも垂直になり
声帯の周りの空間が大きくなって
言葉を話すことができるようになった

そのことと
未来を予測したり論理的に考えたり他人の心を推測したりの
脳の機能の発達が
共進化している

言葉がなければ自意識は発生しないだろうかと考えてみるが
くっきりと結論が得られない

自意識はやはり言葉の世界のように思うけれど
はっきりしない



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