「健康増進プログラム」で社員の医療費を抑える米国企業
暖かき春の河原の石しきて背中あはせに君と語りぬ
馬場あき子
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いい景色だね
そうだねえ
何を語るんだろう
そうだねえ
内的対象関係と精神分析とか
そうだねえ
それでだめだったことがあったんだっけ?
そうだねえ
眠っちゃったんだ、あの時は
いい景色だねえ
睡眠と躁うつの気分
社会リズム療法(Social Rhythm Therapy)
冷え症の診かたと方剤の選び方
めまいと漢方
めまいを主訴に総合診療科を訪れる患者さんは少なくありません。その多くは、耳鼻咽喉科などで、器質的な疾患の可能性を除外された上で治療を受けています。それでも十分な効果が得られなかったわけですから、総合診療科やかかりつけ医が再度、西洋医学的に対症療法を行っても意味がありません。このような場合に漢方が役立ちますので、試してみてください。
【症例1】
患者さんは68歳のやや太った女性です。
現病歴:半年前からめまいがときどき起こるため、精密検査を希望し、当院耳鼻科を受診しました。耳鼻科では特に異常を認めず、脳外科に紹介しました。しかしそこでも異常を認めなかったため、総合診療科に紹介されました。立ち上がった時に引き込まれるような感じを数秒間自覚していますが、それ以外の時は、特にめまいを自覚していません。
身体所見:脈拍 66/min 整。血圧112/68 mmHg。低起立性低血圧は認めない。貧血、黄染なし。心肺腹部に異常なし。下腿浮腫なし。
尿・血液検査:異常所見なし。
頭部MRI:異常所見なし。
西洋医学では、病気を解剖学的・病理学的に分類して診断し、治療法を決定します。“めまい”という症状の場合、内耳や脳神経に炎症、腫瘍などといった病理学的な異常がなければ、治療が始められません。この患者さんは、耳鼻科・脳神経外科で診察・検査し、めまいを来す臓器に病理学的な異常が見いだされなかったために西洋医学的な治療が行えず、総合診療科へ紹介されてきました。
ここで、耳鼻科や脳神経外科と同様の西洋医学的思考プロセスで診断しようとしては、お手上げです。心療内科的なアプローチを行い、自律神経失調症として抗うつ薬や精神安定剤を処方する選択肢もありますが、この患者さんのように、ときどき症状が出現する場合、治療による食欲不振やふらつきなどの副作用の出現で、逆に患者さんの状態を悪くする心配があります。このような場合、漢方的に評価をして、漢方薬を使った方がよいと思われます。
西洋医学では、主訴から考えられる疾患を2~3想定しながら、鑑別診断という形で診察・検査を進めていきます。これに対して漢方では、鑑別処方といって、主訴を治療するために処方される方剤を想定しながら診察を行います。「方剤」とは複数の生薬をあらかじめ調合したものを指します。
漢方非専門医が漢方薬を処方する場合、煎じた生薬を乾燥し、粉剤や顆粒にしたエキス剤を用いるのが普通ですし、それほど多くの方剤を使いこなす必要もありません。1つの症状に対して2、3種類の方剤で十分です。処方を決める際には、細かい適応にこだわることなく、先生方が感じた患者さんのイメージと方剤の持つイメージから、相性の良い組み合わせを決めるという感覚で処方します。
めまいによく用いられる方剤は、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)の3剤です。以下に方剤の持つイメージを列挙しますので、これを頭に置きながら漢方的な診察を行います。
補中益気湯:エネルギーの不足から立ち上がった時に血圧が下がり、ふらつくといった人(気虚)に用いる。
半夏白朮天麻湯:身体がむくんでいて、乗り物酔いのような症状の人(水毒)に用いる。
苓桂朮甘湯:イライラしていてのぼせて目が回るといった人(気逆)に用いる。
これらの3方剤で、コモンディジーズとしてのめまいの大部分に対して対応可能です。これらの処方を試してみて効果がない場合は、漢方の専門家へ紹介しましょう。
患者のイメージをとらえ、それに合う漢方薬を選ぶ
症例1の患者さんを漢方的に診断する場合、漢方的な病気の分類をしなければなりません。そのためには上記の診察では不十分ですので、漢方的な診察を追加します。カッコ内は漢方用語です。漢方の教科書を読む際に照らし合わせてください。
漢方的問診:冷え性で、あまり活動的な性格ではない(陰、虚)。
乗り物に酔いやすく、疲れると体が重く、むくんでいるように感じる(水毒)。
喉はあまり渇かないが、よく水分を摂取している(水毒)。
水分を摂取している割に尿量は少ない(水毒)。
漢方的診察:体型は水太りの印象。
舌は腫れている様で、辺縁に歯形がついている(歯痕舌、水毒)。
手足は冷たい。腹部は皮下脂肪が多いが、押しても弾力性がない(虚)。
軽く叩くとチャポチャポと水の音がする(振水音、水毒)。
漢方的診断:身体の虚弱な人が水代謝の機能低下により、胃腸などに余分な水分が溜まってむくんだ状態。おそらく内耳の内リンパもむくんでおり、そのためにめまいが生じる(虚証で水毒)
漢方治療:虚弱な人がむくんでめまいを起こしているので、余分な水分を排除することを目的として、半夏白朮天麻湯を処方します。
予後:2週間後の再診時にはめまいは軽快していました。
漢方非専門医が扱う漢方症例は、コモンディジーズを対象としますので、病態にある種のパターンがあります。ですから難しく考えず、病態のパターンに対応する方剤を処方します。別のパターンのめまいの症例を簡単に紹介しますのでイメージを膨らませてみてください。
【症例2】
患者さんは78歳の小柄な痩せた女性です。既往歴に胃潰瘍と胆石で手術歴があります。
現病歴:6年前から人と話をしている時に興奮して回転性のめまいが起こるようになりました。また、些細なことで夫と口論してはめまいを起こし、夜間一人でいると不安になって動悸やめまいが起こるため、たびたび救急車を呼ぶようになりました。脳神経外科、耳鼻科、心療内科を受診しましたが改善がみられないために当科を受診しました。診察時、たえまなくしゃべり続け、夫に文句を言うことがありました。
漢方的診察:腹部の診察では、大動脈の拍動が著明でした(臍上悸)。
漢方的診断:以上から、精神・神経の興奮性(気逆)と考え、苓桂朮甘湯を処方しました。
予後:2週間後の再診時には症状は軽快していました。
このように漢方では、西洋医学と違ってイメージが大切です。生物学的な因子だけでなく、感情を伴って変化する複雑な人間に、多種類の生薬からなる方剤を処方するだけに、個別的、ボトムアップ的ではなく、総合的な対応でいきましょう。
漢方の基礎知識
漢方における病気の分類は西洋医学とは異なり、病気だけの分類ではなく、患者さんの体質分類も含まれます。体質は次の2つに分類されます。
陽:丈夫で、胃腸が強く、活動的、代謝が活発。
陰:虚弱で胃腸が弱く、家にいることを好む、代謝は低下ぎみである。
さらに、気温の変化やストレス、微生物の侵入といった、ホメオスタシスを乱す外界の変化に対する人体の対応については、
実:変化に対して過剰に反応する。
虚:変化に対してあまり反応しない。
に分けられます。
漢方では、病気を解剖学的、あるいは病理学的に分類せず、身体全体をシステムとして捉えて、システムの異常という考え方で病気を分類します。ヒトの生命活動を支えるシステムには、自律神経・生命エネルギーシステム(気)、血液・栄養・内分泌システム(血)、水代謝・免疫システム(水)の3つがあります。これらのいずれかが歪むことにより、病気が起こります。しかも、この3つは互いに影響を及ぼし合っているので、複数のシステム異常が病気の原因となります。最近、西洋医学でも、「心腎相関」など、疾患に複数の臓器が関与しているという考え方が提唱されていますが、同じ発想といってよいでしょう。
病気の分類
システム異常によって起きる病気には、以下のようなものがあります。
1.自律神経・生命エネルギーシステム(気)の異常
気虚:エネルギーの不足:元気がない、やる気がない。
気逆:自律神経の過敏:いらいらする、動悸がする、異常に発汗する。
気うつ:自律神経の停滞:意欲がでない、落ち込む、胸が詰まる。
2.血液・栄養・内分泌システムの異常(血の異常)
血虚:貧血、栄養不良、ホルモン低下:元気が無い、疲れやすい、集中力がない。
お血:血液循環が悪い:肩が凝る、腰が痛む、足先が冷える。
3.免疫・水分代謝システムの異常(水の異常)
水毒:水代謝異常:浮腫む、喉が渇く、関節が痛む。
生命エネルギー(気)は、全身を上から下へ循環しています。気虚は、気が足りないこと、気逆は気が下から上に逆流すること、気うつは気の流れが停滞することです。
日本は高温多湿の気候で、皮膚からの水分蒸発が困難です。食生活では米を炊飯し、喫茶の習慣がありますので、水分の摂取過多になる傾向があります。そのため水代謝異常を来たしやすいと考えられます。
過労や暴飲暴食などの不摂生はシステムの機能を低下させますし、加齢(腎虚)はシステムの予備能力の低下をもたらします。これらの要因があると、内的、外的なストレスによるシステム異常、すなわち病気になりやすい状態になります。
風邪の漢方処方
(2)風邪をこじらせた時期(少陽病期):食欲、体力が落ちている時期。
(3)風邪が酷くなった時期(陰病期):食欲はなく、寝込んでいる時期。
(1)の時期は、発汗がなければ葛根湯、発汗があれば桂枝湯を処方します。
(2)の時期は、小柴胡湯を処方します。
実際には、(1)と(2)は明快に区別できるとは限りません。(1)の桂枝湯と(2)の小柴胡湯のどちらを処方すべきか迷うことがあります。昔の医師も迷ったのでしょう。桂枝湯と小柴胡湯を足して2で割った処方である柴胡桂枝湯があります。この4処方を風邪の患者さんによく処方します。
耳の痛みが現われた気うつの症例
汝自身を知れ おまえほど空しく貧しい存在はひとつもない
メノケアモイストゼリー
最初の女が一番いい女だった
オフラインストレス障害
こんな記事もあり
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あなたに「オフラインストレス障害」の症状はあるか?
通常の生活(仕事や人間関係など)に支障を来すほどインターネットを利用しすぎるとネット中毒と診断される。ネット中毒は実在の病名だ。例えば、Newsweek ではネット中毒で住む家を失った男性に関する記事を伝えている。
一方、筆者はこれと関連するある疾患に気付いた。定着した病名はまだない。ここではとりあえず「Offline Stress Disorder」(OSD:オフラインストレス障害)と呼ぶことにする。これは、インターネットを使わないこと、もしくはインターネット回線が利用できないことを知って精神的もしくは感情的に不安定な状態になるという病気だ。
どこが違うのだろう? OSD は、通常の生活に対する支障の有無にかかわらず存在する不安感である。必ずしも人を衰弱させるものではない。そして、はるかに一般的なものだ。
例えば、筆者の周辺には深刻なネット中毒患者は1人もいないはずだ。しかし、筆者の知人の半分は OSD にかかっている。実際(もしあなたが技術に関心のある有職者ならばという話にはなるが、この Web サイトをご覧になっているのだからそうだろう)、あなたもネット中毒ではないだろうが OSD にはかかっているかもしれない。
また、これは筆者が想像で述べていることでもない。Virgin Media が1,000人の英国民を対象に実施した調査によると、その3分の1は携帯電話やインターネットが接続不能になるとストレスを感じるという。そして3分の2は、インターネットにアクセスできることが分かっていると「より安心できる」と回答した。
また、英国人よりも米国人の方が困窮している。2008年に Solutions Research Group (SRG)が実施した調査(PDF)によると、定期的ではないものの、アメリカ人の41%がインターネットに接続できないことで不安を感じ、さらに27%が「強い」もしくは深刻な不安を訴えている。
この調査は回答者に対し、インターネットに接続されていないことで感じる気持ちを説明するよう求めた。彼らの回答には「狼狽」、「パニック」、「自由の喪失」、「放心状態」、「無力」、そして「空虚」というものまであった。
筆者もちょっとした独自「調査」をしてみた。ソーシャルネットワークの友人に OSD 症状の有無を尋ねたところ、多くがこの障害があることを認めたのだ。ある友人は、前日の嵐でインターネットにアクセスできなくなった際に「空虚」や「締め出された感じ」があったという。また、もう1人は「目の前の世界が急に消滅する恐怖」を感じたという。
友人の1人で、IT 系ラジオ番組でパーソナリティーを務める Carey Holzman 氏には、自分が OSD であることを発見した面白い経緯を聞いた。「バーニングマンのイベントを見に行ったとき、ネットに接続して連絡を試みるのに必死になり、より良好な電波を求めて RV 車のルーフにまでよじ登った。ノート PC を手に持って RV 車のハシゴを上るのは言葉で言うより容易ではない。そのとき、自分が病気だと認識した…(笑)」というのだ。
筆者はここ最近 OSD のことで頭がいっぱいだ。そして、思いも寄らない人がこの病気にかかることに気付いた。
当然、OSD からはニュース速報や最新トレンドを知ることが仕事だったり喜びだったりする技術マニアやニュース中毒者(筆者は図らずも両者である)などの人を思い浮かべる。
しかし2年前から、筆者は技術嫌いの人々でさえも OSD になることに気付いた。オンラインであることを不安に感じていた人々が、今はオフラインであるときに同じ気持ちになってしまうのだ。
これは2つのトレンドが原因だと思っている。iPhone と Facebook だ。ただ、理由はそれぞれに大きく異なる。
● iPhone が OSD を引き起こす理由
携帯電話でインターネットにアクセスすることは何年も前から可能だった。iPhone が違うのは高解像度の大画面と iPhone アプリケーションの魅力の組み合わせだ。iPhone は Facebook や Twitter アプリケーション、もしくは数千種類の iPhone アプリを使うことでインターネットからのデータ取得をかなり容易にする。
iPhone で最も魅力的な「アプリ」の1つが App Store アプリそのものだ。iPhone を持ち運ぶ人ならだれでも、8万種類(今週にはもうすでに数が変わっているかもしれない)のなかで知らない iPhone アプリがいくつかあっても間違いなくそれを喜んで使うだろう。
言い換えれば、iPhone は(何よりも)接続用マシンになったのだ。われわれは、四六時中接続されていることに慣れてしまい、この環境への順応が接続できないときの不安につながっているのだ。
● Facebook が OSD を引き起こす理由
筆者は約1年前、この分野に関する「Social Networking:What Are‘Friends’For?」(SNS:「友だち」は何のため?)という記事を書いており、そのなかで、Facebook などのソーシャルネットワーキングサイトの最大のメリットは、人間関係の質ではなく量を高めることだと述べた。
現実の世界では、せいぜい数百人程度しか真の関係は築けない(相当な社交家でも200人程度だろう)。なかには10人、あるいはそれ以下としか付き合いがない人もいる。
しかし、Facebook では数千人の「友だち」と連絡を取り合うことができる。おっ、元同僚のところに最近双子が生まれた、弟夫婦が「Couples Retreat」を観に行くようだな(きっと後悔するぞ)、高校時代の友人がマラソン出場に向けてトレーニングしているぞというように、ホームページをチェックし、友人のプロファイルをたまにざっと閲覧するだけで、だれがだれと何をしているのかがすぐに分かる。
ごくありふれたことが人と人を結びつける。ソーシャルネットワークは、われわれが生まれながらに持つ強い願望である社会における結びつきを数に増殖させる。だがその結果として、その雑談に参加できなくなったときにストレスを感じる人もいるのだ。
あなたは OSD にかかっているだろうか? もしそうならば、それによりどのような感情になり、どのようなことが起こるだろうか。ぜひ教えていただきたい。
さて、申し訳ないが iPhone で Facebook をチェックしなければならないのでここで失礼する。どうしても今すぐでなくてはならないのだ。
ネットに時間を使いすぎると人生が破壊される。
セロトニントランスポーターと幼児期別離体験と牛若丸
セロトニントランスポーターと呼ばれている部分で、
そこにタイプがあって、S型とL型と分類され、最近ではSS型とかもう少し細かい分類に進んでいる。
シナプス間隙にいったん放出されたセロトニンを
シナプス前細胞内に再取り込みするときに
このセロトニントランスポーターが働く
ここをブロックすれば再取り込みができなくなり
結果としてシナプス間隙のセロトニン量が増える
この状態が続くと
シナプス後細胞のセロトニンレセプターは減少するだろうし(ダウンレギュレーション)
またセロトニントランスポーター自身も数が変化するかもしれない
セロトニントランスポーターを作る部分の遺伝子が
セロトニントランスポーター遺伝子であり
それにはS型とL型とがあり
遺伝子は微妙に違うが、できあがったセロトニントランスポーターの働きには違いがないと言われる
違いは多分どのくらい能率よくセロトニントランスポーターを作るかとか
どの程度の量を作れば生産がやむかとか、そのあたりに違いが出るらしい
S型の人はセロトニントランスポーターの産生がL型の人よりも少ないだろうといわれている
SS型とLL型ではストレスにさらされたときのうつ病の発現度に違いがあり
SS型ではストレスに応じてうつ病発現が多く
LL型ではストレスにかかわらずうつ病発現は一定であるとの報告がある
ストレスに弱い人の体質というものは実際どのようなものなのかの一部が示されたわけだ
S型ではSSRIの効果がL型よりもよくないだろうとも言われている。
セロトニントランスポーター遺伝子多系の研究で、
民族ごとの違いなども興味深い点である
日本人はS型が多いだろうと言われている
セロトニントランスポーターのタイプと
幼児期の別離体験をクロスさせて分類して
後年にうつ病が発生するかどうかを見ると
セロトニントランスポーターS型、かつ、幼児期別離体験ありの群が
うつ病発症の率が高いとの研究がある。
そうならば
日本人で小学校入学くらいまでに母親と分離された人などはうつ病になりやすいだろうと言える。
戦争などでそのような別離体験をした人が
戦後復興期・経済高度成長のさなかに
軽躁状態を生きてきて
30歳か40歳になってうつ病になるというのは筋が通っている
牛若丸の早期別離体験が
日本人の心を深く揺さぶるのも
S型体質と関係がありそうである。
双極性障害の再発予防、リチウム+バルプロ酸の併用が有効
電話加入権
「未来への不安」「過去の不快な回想」から「今、ここ」に戻る
自己洞察瞑想療法(SIMT)=マインドフルネス心理療法
マインドフルネス&アクセプタンス ACT
マインドフルネス認知療法(mindfulness-based cognitive therapy: MBCT)
以前の私は瞑想法というと、霊的・宗教的意味のあるニューエイジ系の治療というイメージを持っていましたが、実はマインドフルネス瞑想法(mindfulness meditation)はすべての人に対して、霊的信念や価値観などの変更や放棄を求めることをしない認知療法の一つです。最近、「認知行動療法の第三の波」として注目を浴びるようになってきました。
マインドフルネス瞑想法のルーツは2600年前の仏陀の観(ヴィパッサナー)瞑想に遡ると言われています。マインドフルネスは「今の瞬間の現実に常に気づきを向け、その現実をあるがままに自覚し、それに対する思考や感情には囚われないでいる心の持ち方、存在の有様」と言われています。つまり「今ここで知覚される対象に注意を向け、その対象を思考の働きで変化させないように気をつけ、観察に徹する行動」です。
具体的な方法については熊野宏昭先生の説明が簡便で患者さんにもすぐ実践できるものとなっていると思います。
座禅をするときのように身体の力を抜き、背筋をのばして座り(正座でも、椅子でも構いません)、そして、呼吸に伴う身体の動きに気づきを向けます。
その際、呼吸は「ゆったりと」するくらいにして、なるべくコントロールしないようにします。つまり、<呼吸のことは呼吸に任せていく>のです。そして、例えば、お腹や旨の辺りの動きに気持ちを向けて、「ふくらみ、ふくらみ」「ちぢみ、ちぢみ」と、身体が動く感覚をそのまま感じるようにします。
そうこうしていると、すぐに何かを考えているのに気づくでしょう。そうしたら、「雑念、雑念」と心の中で2~3回唱え(ラべリング)、さらに「戻ります」と唱えて呼吸に伴う身体感覚に優しく注意を戻すようにします。あるいはどこかに痛みを感じたら、「痛み、痛み・・・・・・・、戻ります」、かゆみを感じたら、「かゆみ、かゆみ・・・・・・・・、戻ります」という具合です。
しばらく続けていくと、また何かを考えています。今度はしばらく気付かずに、「あいつにだけは負けたくない」とか、「これだけは自分のものにしないと」などと考えてしまっているかもしれません。そういった場合は、思考のレベルを超えて感情が動き始めていますので、「怒り、怒り、怒り」「欲、欲、欲」などと「ラべリング」していくようにします。
以上のように、雑念、五感、感情などに巻き込まれていることに気づいたら、ラべリングをしてそっと呼吸の感覚に戻るということを、繰り返し繰り返し行っていくわけです。
マインドフルネス認知療法(mindfulness-based cognitive therapy: MBCT)では、瞑想の練習時間は初回は10分程度、最終的には45分程度を目標としています。しかし、あまり形式ばらなくても日常生活の中でマインドフルネスをとりいれることは可能です。ちょっとした休憩時間、散歩しているとき、ソファーに横になっているとき、読書、ストレッチのときなどにもできると思います。私は、患者さんに日常生活の中で、突然、不安や強迫観念が出てきたとき、否定的思考にとらわれそうになったとき、マインドフルネスを実践してもらっています。
私自身の実践経験ですが、仕事にせきたてられ常に身体の緊張、不安に付きまとわれた時期がありました。朝日を浴びながら散歩しているのに、不安が取れず、仕事が間に合わなかったらどうしようなどと焦りや恐怖感にとらわれ、身体が硬く、特に首筋(斜角筋、胸鎖乳突筋など)や僧帽筋などの緊張が強く、身体的な不快感を味わいながら、歩いていました。この時に否定的な思考が出てきたことを自覚し、「あせり、あせり・・・・」「不安、不安、・・・・・・」とラべリングして、さりげなく呼吸に注意を戻すということを繰り返しました。はじめは苦しみは和らぎませんでしたが、しばらくやっているうちに、不安がピークにさしかかったと思われた瞬間、不安や焦りの感情をやり過ごすことができ、あっという間に首筋、肩の筋肉のスパズムが消えてしまいました。
MBCTはうつ病再燃のリスクを低減する可能性があります。うつ病から回復した人でも、特定の否定的思考パターンに依然として脆弱である場合、マインドフルネスが効果的であると言われています。MBSR(mindfulness-based stress-reduction)に関しては痛み、ガン、心疾患、うつ病、不安障害、ストレスに悩む健常者などを対象にした20の研究のメタ解析で心身両面に十分な効果が認められるという報告もあるそうです。
長年、観瞑想を続けてきた人は、背内側前頭前野と島の皮質の体積増加しているという報告もあります。この部位は、パニック障害のエクスポージャー治療の長期効果と共通する場所だという。背内側前頭前野は感情に対する注意、思考に対する注意という機能を持っている。自分の心の中の感情や思考の動きを客観的に観察する能力、さらに自分の心に対する認識ばかりでなく他者の心に対する認識も、この部位でなされているという。
よって、マインドフルネスにより、自分の思考や感情に巻き込まれずに、それを外から客観的に観察していこうという方法は、パニック障害のエクスポージャー療法と深い関連性があるという。
すべての私的現象(思考、感情、身体感覚、記憶など)は変わり続けていく一過性の出来事にすぎず(無常)、どこにも不変の自分などは存在しない(無我)、そのように一過性のものに執着すると失望を繰り返し味わうことになる(苦)、という事実をありのままに観察することで、批判や比較などの思考によって作り出される不満と渇望の悪循環から抜け出すことを目指すマインドフルネスは、「自分」と呼べるものはどこにも存在しないという認識を持つことになる。「自己」という構成概念に直面化するゆえに、マインドフルネスは認知行動療法の第三の波として位置づけられている。
世界を味わう・変える、世界はよい・悪い
いちにちを降りゐし雨の夜に入りても止まずやみがたく人思ふなり
いちにちを降りゐし雨の夜に入りても止まずやみがたく人思ふなり
藤井常世
*****
一日中ずっとずっと雨に閉ざされ
なおも降り続く雨の夜
まだ雨は降り止まず
やみがたくもあなたを思うことだ
*****
喋ってないし
考えてない言葉で
詩を作ると言うのは
一体どういうことなのだろうと
不思議に思う
詰め将棋を作る人と解く人という感じかな