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夢にだに 見で明かしつる 暁の 恋こそ恋の かぎりなりけれ

夢にだに 見で明かしつる 暁の 恋こそ恋の かぎりなりけれ 

和泉式部『新勅撰和歌集』 


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何も悪いことをしていないのに不幸になる

何も悪いことをしていないのに不幸になる
それが人生というものだ


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駅が暗くて人も少なくて良い

駅が暗くて人も少なくて良い

地震後に偉い人が何人も亡くなった
関係あるのだろうか


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分散型・ネット型

今年の夏が暑かったら
たくさんのお年寄りの命が危ないと
語る後輩

そうだなあ
たしかに

もともとインターネットが開発されたのは
集中型・ピラミッド型の構造だと敵の攻撃に弱い
分散型・ネット型の構造がよい
とされたからだ

集中型・ピラミッド型は恐竜でしよう
分散型・ネット型はねずみでしう



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うっかりしていたけれど見つけた桜

朝、歩いていて、桜をみつけた
ずっとそこにあったはずなのに
今頃見つけるなんてうっかりしているが
とにかく見つけたので写真を撮った

そのときに気づいたのだが
充電が20%とかしかなくて消耗している
使っていないのに
古くなると劣化するのだろうか


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携帯を二つ同時に

朝の電車で
携帯を一つずつ左右の手に持ち同時に操作している人がいる
「畜生」とかつぶやいている

何をしているのだろう



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「きっと上手くいくに違いない」と思える感覚が、成長させる

「きっと上手くいくに違いない」と思える感覚が、ワガママちゃんを成長させる

 人格が未熟なワガママちゃんは、困難に遭遇すると自分に都合のよい言い訳をして仕事を回避したり、仕事が上手くいかないと他人のせいにして逆ギレして攻撃的になるなどの特徴があることを、これまでの連載で述べてきました。つまり彼らは、自分にとってプレッシャーになるようなストレスを、上手に処理する力が身についていないのです。

 今回は、このような「ストレス対処能力」を育てるために重要な3つのポイントをご紹介します。

強制収容所から生還した人々を研究することで生まれたSOC

 ユダヤ系アメリカ人の医療社会学者A・アントノフスキー博士によって提唱された、SOC(sence of coherence、首尾一貫感覚)と呼ばれる能力があります。博士は、ナチスのユダヤ人強制収容所から終戦とともに無事に生還した人々の追跡健康調査を行いました。この調査によれば、多くの生還者は、あまり長生きはできませんでした。

 ヒトは一般的に、極めて過酷な環境に、ある期間さらされると、心身のエネルギーが消耗してしまい、健康を保ちにくいと言われています。ところが生還者のうちのある集団だけは、心身ともに極めて良好な健康状態を保ち、天寿を全うしたそうです。博士はその集団の性格特性を精緻に分析しました。その結果、その人々に備わっていた能力・性格特性が、SOCという概念に集約されることが明らかになったのです。

 詳しい内容は、アントノフスキー博士の著書『健康の謎を解く』(山崎喜比古監訳、吉井清子監訳、有信堂高文社、2001年)や『ストレス対処能力SOC』(山崎喜比古、戸ヶ里泰典、坂野順子編、有信堂高文社、2008年)などの書籍をご覧いただければと思いますが、現代においてこの概念は、ワガママちゃんを成長させるために大いにヒントになるものだと私自身は捉えています。

ストレス対処能力がなければ激動の時代は乗り切れない

 現代は激動の時代です。ワガママちゃんのみならず、彼らを管理し成長させなければならない皆さんにも高度なストレス対処能力が必要ですね。SOCの構成要素は以下の3点です。

SOCの構成要素その1

 「有意味感」

 あまり興味のない仕事、面白みの感じられないタスクにも、「まあそのうち、なんかの役に立つかもな」「そのうち面白くなってくるかもね」と自然に考えられる特性です。ワガママちゃんには、これが決定的に欠如しています。管理職である皆さんの新人時代は、上下関係が今よりもはっきりしていました。上から言われたことは四の五の言わず、疑問も抱かず、ひたすらやるのが当たり前でしたね。仕事が終わってその完成形を目の当たりにして初めて、私たちはその仕事の意味や意義がわかりました。

 ワガママちゃんは妙に合理的で過剰に論理的ですから、「仕事の意義」がわからないと動きたくないのです。「仕事の意義」を理解させずに、それでも無理に仕事をさせると、いわゆる「やらされ仕事」になってしまい、彼らはそのストレスで直ぐにキレるか潰れます。

 ですから肝要なことは、「彼らに仕事の意味や位置づけ、展望を見せて、意義を感じさせながら仕事をさせる」という一工夫です。彼らは仕事ができないのでもなく、やる気がないのでもありません、論理的過ぎる彼らの思考過程を理解して上手く使うことです。

SOCの構成要素その2

 「全体把握感」

 仕事の展望を時系列的に把握できる感覚のことです。この感覚があれば、「今週の山を越えれば、来週以降はちょっと暇になるので、2日間の休暇がとれそうだな」と、先々を見通すことができます。「全体把握感」を持っていれば、「来月は多忙を極めそうだから早めに支援を求めて、アルバイトの増員をお願いしておこう」といった、先々を見通して早めに適切な援助を求めること(援助希求)ができるので、仕事を行き詰らせずに進めることもできるのです。

 ワガママちゃんにはこのような視点がありません。辛いとなると、このままこの辛さが一生続くと考えてしまいがちです。だから、「もうこの部署では無理だから異動させて欲しい」「この体制は労働基準法違反じゃないですか?」などと短絡的に反応し、攻撃的になっていきます。暗く先の見えないトンネルの閉塞状況では、ヒトは気力が尽きてしまいます。

 上司である皆さんは、先々の見通しを示し、遠い先でも良いですから、トンネルの出口の光を見せるように対応することが効果的です。

SOCの構成要素その3

 「経験的処理可能感」

 「過去に、これだけの仕事は成功させてきた。だから今回のミッションは荷の重いミッションだが、あの経験をもとに、プラスアルファの努力をしてみれば、なんとかいけるかもしれないな」と、自然に思える感覚です。

 プライドが高く、自己イメージが肥大化したワガママちゃんがいる一方で、実は自分に自信がないワガママちゃんも存在します。彼らは、自分が失敗して傷つくのを怖れています。ですから、過去に成功した仕事があっても、「あれは、たまたま上手くいっただけ」「今度は上手くいかないかも?」と常にネガティブに考えているのです。

 これは自己効力感(SE)という概念で、「今の自分は、ここまでの仕事ならきちんとこなせる人間だ」「こんな経験をこなしてきたのだから、ここまではできるはず」と、客観的に自分の能力やサイズを等身大に認識できる感覚です。SEが高い人は他人からの評価を求めません、いつも目線は自分の内側に向けられて、淡々と仕事をこなします。

 しかし、常に他者からの評価を求めるワガママちゃんの言動は、まさに「本当は自信のない自分を褒めてもらって、初めて安心する」、SEの低さの表れなのです。ですから、ワガママちゃんには、「前回はこれだけできたじゃないか、それは十分に立派なことだよ」、「今回はプラスアルファの努力をすればこなせるはず」と、彼らの自信のない部分を支えてあげることで、彼らは安定した気持ちで仕事ができるようになります。

悲観的なワガママちゃんをSOCによってやる気にさせる

 では、SOCを踏まえたワガママちゃんへの具体的な言葉がけを例に挙げます。以下のようなフレーズで、彼らを支援しつつ対応してください。

・「この仕事は、かなり困難な仕事だけど、成長性のある仕事だから君に期待して任せるよ」
→(期待を込めて有意味感を持たせる)

・「期限までには辛いこともあるけれど、途中でちょっと楽になる時期もあるから、それまではまず頑張ってみてくれ」
→(全体把握感を持たせる)

・「俺でも悩むような、かなり難しい判断を求められるので、もし苦境に立つようなら、遠慮せず、いつでも援助を求めてくれ」
→(全体把握から援助希求を促す)

・「君のこれまでのキャリアを見たけれど、なかなか立派な仕事をこなしてきてるじゃないか、今回は未経験の部分についてプラスアルファの努力をすれば、この仕事、きちんと乗り切れると思うよ」
→(経験的処理可能感を持たせる)

 一言で言えばSOCは、明確な根拠はないけれど、ある程度、情緒的に楽天的に、「きっと上手くいくに違いない」と思える感覚です。この感覚が、強制収容所生活のなかでも「きっと解放される日が来るに違いない」と過度に悲観的にならず、論理的に突き詰めて考えるのではなく、前回お話したように、情緒的な認知ができるかどうか、に大きく関わっているのです。

 しかし情緒性に乏しく、過度に論理的なワガママちゃんたちは、心の奥底で「きっと上手くいかないに違いない」と思っているのです。その先に「自分のプライドが傷つく」「これは自分のせいではない、会社が悪い、クライアントが悪い」と妄想的な思考が展開して、職場不適応に陥るのです。

 ですから皆さんが、SOCの3つの概念を十分に把握して、ワガママちゃんのSOCを高めるように対応していけば、彼らはミッションを完遂し、その経験を蓄積させることで必ず成長します。そして、柔軟な認知と情緒性、SOCを身につけた、会社の貴重な戦力になってくれるでしょう。



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振り回されない鍵は、“心の余裕”にあり

無意識に上司を挑発するワガママちゃんに 振り回されない鍵は、“心の余裕”にあり

 職場のワガママちゃんには、論理的に説教、説得をしても無駄であり、むしろ、そのことが彼らの持っている攻撃性を煽ってしまい、結果としてトラブルを招くことになる、というメカニズムを、前回、お話ししてきました。

  上司である皆さんは、彼らのワガママな行動や多罰性の根っこにある「赤ちゃん返り」のメカニズムを理解したうえで、成長を支援する姿勢を崩さずに対応することが大切です。ただ、そうは言っても、ワガママちゃんに対して、感情を抑えきれないこともあるでしょう。今回は、皆さんの心の中に沸々とわき上がる「陰性感情(怒りや憎しみなどのネガティブな感情)をどのようにコントロールしたらよいか」 についてお話します。

渋滞中に横入りされると「戦闘モード」になりますか?

 まず、皆さんご自身で振り返ってみてください。通常、「嫌なこと」に直面したときに、どのように反応しているでしょうか。

 人は、嫌なことに出会うとそれを認識し、五感が反応します。しかし同じ嫌なことでも感じ方は人それぞれです。つまり「嫌なこと」や「ストレス」は、主観的なものだということです。ですから、まずこの認識(認知)のステップで、「嫌なこと」の度合いをことさら大きくしないようにすることが効果的です。

●「まあ、こんなこともあるさ」と認識できるか?

● 「これは一大事だ」と認識するか?

 もちろん緊急性にもよりますが、実は日頃から私たちが直面している問題は、一拍おいて、一息おいて、対処しても大丈夫なことが多いものです。

 しかし精神的な余裕がないときほど、私たちは自分にとってネガティブに感じる状況に対して過剰に反応します。

 たとえば、道路渋滞中に他の車に横入りされる場合です。もし家族でのんびり、日曜日のドライブで、和気あいあいと楽しく、時間の制約もなく運転していれば、横入りの車がいても、「イラッ」ときませんね、寛容になれます。しかし、営業のアポイントに遅れそうで、ギリギリの時間で急いでいるときに横入りされれば、クラクションを鳴らす、睨むなど、不快な感情を行動に表すはずです。

 つまり私たちは、情緒的余裕があれば、陰性の事態に対しても、寛大な認知(もののとらえかた)ができますが、情緒的に切迫していれば、視野は狭くなり、寛容さはなくなります。ですから未熟なワガママちゃんの「イラッとする行動」に対して重要なのは、実は、私たち自身の情緒的な余裕なのです。

 上司である皆さんは、自分の仕事だけをこなしていればよいわけではありませんから、日頃からお忙しいことでしょう。しかし忙しい中にも、いつも心に余裕を持てるということ、それは個人の重要なストレス対処能力でもあるのです。

桃太郎と浦島太郎。あなたは、どちらのタイプが好きですか?

 私はJAXA併任研究員として宇宙飛行士の選抜にかかわっていますが、飛行士選抜面接の最後の精神科面接で投げられる、最終の質問をご紹介しましょう。

 「桃太郎と浦島太郎の物語を知っていますね、どちらのほうが直感的に好きですか?」なのです。皆、一瞬あっけに取られます。この質問は河合隼雄先生や牛島定信先生が考え出された、見事に人間の本質を探り出す質問です。

 皆さんは直感的にどうでしょう?

■桃太郎派:論理的でソリューション指向

 桃太郎派のあなたは、例えば、ダイヤモンド社で発行している本のなかでも、コンサルティングファームで実践されているノウハウを扱ったような内容のものがお好きではないでしょうか。桃太郎は鬼ヶ島に攻め入るために戦力分析を行い、雉・犬・猿に対して吉備団子というインセンティブで契約を結び、戦略的に攻め込むことで見事勝利し、金銀財宝を手に入れる、戦略的な成功談なのですから。

■浦島太郎派:儚い人間の性(さが)に親和性があり情緒的

 浦島太郎派のあなたは、情緒的世界に親和性があります。亀を助けなければいけないという義憤に駆られ、危険を顧みず悪ガキに割ってはいる。お礼に、乙姫様のいる竜宮城で酒と鯛やヒラメの舞い踊りの日々、まさに人間の欲望ですね。あげくに、お土産の玉手箱は、決して開けてはいけないと厳命されます。しかしそう言われると、どうしても開けたくなるのが人情というもの。開けたら煙が出てきてお爺さんになってしまった。儚いですね、人間の、論理では計りきれない情緒性に溢れています。

 宇宙飛行士は、浦島太郎派を採用します。最終選抜まで残る候補生は皆、極めて優秀です。論理的解決能力は日本でもトップクラスであることに間違いはありません。そこで求められる資質は、物事を柔軟に認識して、マニュアルにない不測の事態に遭遇しても焦らず柔軟に対処できる能力、つまりは情緒的な余裕なのです。

 「浦島太郎的な情緒的世界にどれだけ親和性があるか」がその人の情緒的な心の余裕に通じています。車に横入りされたからと言ってすぐにクラクションを鳴らすような人は、いくら頭脳明晰でも採用できません。

浦島太郎的な情緒を持つことで不測のトラブルに対処できる

 非常事態・嫌な出来事・失敗があっても、まず一拍おいて情緒的な余裕をもって、自己の認識にクッションを入れること、そして冷静さを取り戻したうえで、正しく論理的な分析に基づくソリューション指向のステップに着手できること、この2段階の対応が自然にできることが大切なのです。皆さんは、情緒的なクッション無しに問題を腕力(論理)で片付けようとしていませんか?

 追い込まれても「火事場の馬鹿力」が出せるのは、情緒的な余裕に基づいた認知の柔軟性が基本なのです。ですから、優れたビジネスマンには「論理性」と「情緒性」のバランスがとれていることが多いのです。「言っていることは間違っていないけれど……」「確かに仕事はできるんだが……」と揶揄されるようなタイプには情緒性が欠如していますから、確かに仕事はできても、限界が見えていて決して大人物にはなれません。


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“キレず”“怒らず”で立ち向かう

人をムカつかせる「ワガママちゃん」には “キレず”“怒らず”で立ち向かう

 人格が未成熟な「ワガママちゃん」の、世間の常識では理解しがたい傍若無人な言動は、私たちをついムカつかせ、イラっとさせるものです。しかし、そこで、そのような感情をワガママちゃんにストレートに出してしまうと、彼らとの関係はとてもこじれてしまいます。私たちの気持ちに生じる怒りや憎しみなどのネガティブな感情を「陰性感情」と言いますが、それを自分自身でうまくコントロールしなくてはいけないのです。

 今回は、なぜ彼らの前でその感情を出してはいけないのか、また、自分自身に生じた陰性感情とどのように向き合っていけばいいのかについて解説していきます。

 それでは、第2回で紹介した事例の続きから始めましょう。

【事例】「うつ」による休職から民事訴訟へ

上司の不用意な言動が問題をこじらせる

 新人ワガママちゃんが担当していたクライアントが、業務が円滑に進まないので、他の人に代えてほしいと要求してきたことを受けて、本人を担当から外したところ、「私は、小売店のご機嫌をとるためにこの会社に入ったんじゃありません!相手が理不尽なことを言うから悪いんです」「そんなことを言われるとは納得できない」と泣きながら訴え、翌日から出社しなくなった。

 そのまま無断欠勤が3日間続き上司が連絡をしても携帯電話は留守番電話。上司は所属の女性社員を伴い、彼女のマンションを訪ねた。迷惑そうな顔つきで玄関先に出てきて、「毎朝、憂鬱でとても会社にいけない」「何もする気になれない、意欲が湧かない」「食欲もなくよく眠れない」と言うため、上司は「まず有給休暇をとってしっかり休みなさい」とアドバイスした。1週間の後、心療内科クリニックからの診断書が送付されてきた。

【診断名 抑うつ状態】

職場でのストレスが原因で上記の状態にある。そのため、今後約3ヵ月の治療と療養が必要と認める。

 本人からは電話で説明があった。

有給休暇中にインターネットでいろいろ検索したら自分の症状は、「うつ病」だと思ったので、近所の心療内科を受診した。先生も仕事のストレスで病気になったのだから、薬を飲んで休まなければ治らないと言う。休みの期間中は職場とコンタクトすると悪化すると言われたので、一切連絡などしてほしくない、ましてや自宅に来るなどやめてほしい。

 上司は人事部に相談したところ、「診断書が出ているのだから仕方がない。規定の病気休職の手続きを取ってください」と言われた。しかし、上司には、なんとも言い難い違和感が残った。

 彼女に比べれば他の課員は、もっともっと厳しい状況で働いている。それなのに自分の熱意に欠ける仕事ぶりが原因で担当を代えられ、それで「うつ病」になったと3ヵ月休むとは、いくら会社の制度だとは言え、簡単に納得できるものではない。他の課員に対しても示しがつかないのではないか?と感じるようになり、彼女に対する陰性感情が日に日に募ってきた。

モンスターペアレント娘とともに企業に現る

 約3ヵ月の後、本人から連絡が入り、さらに1ヵ月療養の延長が必要との診断書が出たため、診断書を持参して、父親とともに会社を訪れるという。

 診断書には、「順調に回復しているが、未だに会社での上司からのパワハラがトラウマとなっているため出社が不可能、さらに1ヵ月の療養が必要」と記載されていた。同道した父親は、「うちの娘は勤勉で本来、明るい子である」「久々に会ったところ、暗く憂鬱な表情で驚いた」「心療内科の医者が言うように、上司のパワハラは許せない」「なぜ、うちの子に嫌がらせで担当を外すなどしたのか?」と強い語気で迫った。

 人事担当者とともに約2時間、冷静に経緯を説明したが、全く納得してもらえない。ついに上司もキレてしまった。「そもそも、おたくの娘さんは大した仕事などしていない」「他の課員に比べれば半分も仕事をしていない」「こんなに皆、一生懸命仕事をしているのに、うつ病の診断書を出して3ヵ月も休むなんて、むしろこちらが迷惑だ」

 2週間後、内容証明郵便にて「職場のパワハラによって、うつ病に罹患したため、民事訴訟をおこすべく現在、弁護士と準備を進めている」旨の書類が届いた。さらに「身分は、疾病休職を継続したいので手続きは正当にして欲しい」旨も記載されていた。人事、上司ともに「普段でさえ多忙なのに、こんなことに対応する時間などない」「こっちが、うつ病になっちゃうよ」と愚痴をこぼすしかなかった。

ギャングエイジ体験の欠落が未熟な人材をつくり出す

 前回(第3回)では、ワガママちゃんを受容せよ、成長を促すべしと書きました。しかし、このような状況でも受容できるでしょうか?

 私たちの心の中には、理不尽さに対する陰性感情が溢れています。この陰性感情をむき出しにしてしまい、事例のように対応すると、「ワガママちゃん」+「モンスターペアレント」は一緒になって、攻撃性をむき出しにしてくることになります。

 未熟な人材に対して、絶対に陰性感情を表出してはいけません。その理由は、未熟な人材の形成過程にあります。ワガママちゃんができあがる過程について、牛島定信氏(東京慈恵会医科大学客員教授、三田精神療法研究所所長)は、拙著ストレスマネジメントブックの緒言にて、このように述べていらっしゃいます。

 現代は、人がおとなになるのに時間がかかる時代である。極端に言えば、企業に入ってから思春期が始まるという見方もできる。その大きな要因としては、小学校高学年くらいの、いわゆるギャングエイジと呼ばれる時期に、自分と近い世代の子供たちと群れをなして行動する中で学ぶ、通過儀礼とも言えるさまざまな体験を持ちえていないことが指摘できる。かつては、親に守られた世界を脱して子供の世界を形成し、子供同士が集まって遊ぶ中で、人とのかかわり方や集団の中で我慢をすることを体験的に学んでいた。ギャングエイジにおける集団体験は、人が社会的な技能(ソーシャルスキル)を発達させる場として機能していたのである。現在、社会からそうした土壌が失われている。また、ギャングエイジを過ぎ、高校生や大学生になっても、集団のなかで、もまれることがないまま、社会に出ていく若者も多い。

ワガママちゃんの攻撃性は無意識の「赤ちゃん返り」

 つまり、ワガママちゃんは、人にもまれた経験がなく、これまでの人生は、壁にあたると親が助け船を出してくれたのです。それでもどうしようもないとき、彼らは「退行」するのです。退行とは精神分析用語ですが、つまり「赤ちゃん返り」です。無力な赤ちゃんは、「おむつが濡れた、お腹がすいた」とき、泣きわめきます。すると親が「おむつを替える、ミルクを与える」ことをしてくれます。

 困ったときに、大泣き・大騒ぎをすればすべて問題が解決した、あの「幸福な時代」に戻りたいと、無意識の力が働いて、ワガママちゃんは「退行」してしまうのです。つまり未熟な人材の「他罰性」「他人への攻撃性」は他ならぬ「赤ちゃん返り」の「大泣き」と同一なのです。ですから、そのような状況に対して、こちらが陰性感情を出して、ワガママちゃんを非難してしまうと、本人は「さらに大騒ぎ」して、つまり彼らの退行と攻撃性が助長され、親を巻き込んで、労災訴訟・民事訴訟などの複雑な係争関係に発展することもあるのです。

 皆さんの中にわき上がる陰性感情をコントロールするためには、まず、この「退行」のメカニズムを「知識として理解して、冷静に論理的に」対応してください。

 つまり、上司である皆さんが一緒になってキレてしまうと、一般の社員以上に、かえって問題はこじれるのです。ですからワガママちゃんの行動に説教は無用、むしろ逆効果であることを認識してください。


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身勝手な主張には、 甘やかさず、受容的な態度で向き合う

「新人ワガママちゃん」の身勝手な主張は、 甘やかさず、受容的な態度で向き合う

 連載初回は、「ワガママちゃんチェックリスト」、第2回は、「新人ワガママちゃんの事例」を取り上げました。3回目となる今回は、「ワガママちゃん」への具体的な対処法について解説します。

 自分にとって理不尽なことに耐えられず、失敗をしても内省することがないワガママちゃんは、「会社が悪い」「クライアントが悪い」と常に他罰的です。しかし、自分では、上司や先輩に対して「理不尽な主張」を、それを当然のこととして行います。

 もし、「新人は少なくとも1年間は、当初の配属先で経験を積む」という原則がある会社で、入社1年目のワガママちゃん部下が、半年くらい経って、「この部署はそもそも希望の部署ではありませんでした。この部署で長く働くつもりはありません。1日でも早く希望の部署に異動させてください」と直訴してきたとしたら、あなたはどう対処しますか?

 あまりにも理不尽なワガママぶりに私たちはついイラッとしてしまいます。しかし、このときに彼らに対して感情的になってはいけません。感情的な言動は他罰的な彼らの「攻撃性」に点火することになりますから、ワガママはさらにエスカレートして、ターゲットを上司や先輩社員だけでなく、パワハラだ、労災だ、民事訴訟だ、と事態が混乱拡大することも、決してまれではありません。

【ワガママちゃん対処法1】

組織に適応できるように、規範を教える

 ワガママちゃんへの対処の原則は、彼らの成長を支援しようとする姿勢を崩さないことです。そのためには、彼らを受容しつつも、毅然とした対応を行うことも大切です。

 上記のような原則を無視した、「1日も早く異動させてほしい」という主張に対しては、組織のルールに照らして、「それは無理」「それは通らない」とはっきり伝え、彼らが組織の中でちゃんとやっていけるようになるための規範意識が身につくように対応することが重要になります。

大人として未成熟なだけで、人格が歪んでいるわけではない彼らは、規範に対する理解力はあるので、しぶしぶかもしれませんが、上司であるあなたの毅然とした真っ当な対応に従うでしょう。

【ワガママちゃん対処法2】

受容・傾聴・共感の3ステップを実践する

 もう1つの対処は、「カウンセリングマインド」の3ステップを活用することです。彼らを甘やかすような安易な同意を与える必要ありませんが、まず彼らを情緒的に受け止めることで、ワガママちゃんの葛藤からくる攻撃性にワンクッション差し挟み、気持ちのいらつきを低減することが重要なのです。

1 受容

 これは本人のワガママを全部容認しろなどということではなく、ただ単に物理的に「聴く耳を持て」ということです。彼らのワガママな言動や要求に対して、初めから門前払いしてはいけません。5分でも10分でも構いません。まず自分のスケジュール帳を開いてください、そして彼らに

 「今日の会議後、5時から15分だけだが君の話をじっくり聞く時間を取るよ」

 「今日は忙しいので無理だけど明日朝8時半から9時まで話を聞こう」

と、彼らに自分の時間枠を明確に与えることです。こうすることで実は彼らは安心感を覚えるのです。

2 傾聴

 時間を30分程度に限定して、ひたすら彼らの言い分をまず聴いてください。コメントすることなく、批判することなく、アドバイスすることなく、ひたすら聴くことが重要です。そのためには「聴く技術」が必要になります。皆さんもリスナー訓練などを受けているかもしれませんが、聴くための「相の手」として次の言葉を使ってください。

「なるほどなるほど」

「そうかそうか」

「そういう風に考えていたんだな」

  もし yesかno で答えを求められても決して判断を示してはいけません。

 このようにひたすら聴くことに努めてください、そして最後はオウム返しのテクニックです。本人の疑問型をそのままオウム返ししてください。

「新人ワガママちゃん」の身勝手な主張は、 甘やかさず、受容的な態度で向き合う

 逃げのように感じるかもしれませんが、違います。このときに彼らの感情の中に起きている現象は

「課長が一緒になって考えてくれている」

「共感してくれている」

というポジティブな心の動きなのです。実際は決して論理的に彼らに同調しているのではありません。まず情緒的に対応することで、彼らの中に上司に対する「陽性の感情」を形成しておくこと、そのような下地を作ってから、徐々に論理的に話していくこと、この流れを忘れないようにしてください。

3 共感の気持ちを表現すること

 そして、最後の締めに、

「君の言いたいこと、君がいらいらしてる気持ちは良くわかったよ」

と言葉に出してください。このようなやりとりをする時間を繰り返し持ってください。そうすることで、彼らは上司に対して信頼感を持つようになります。繰り返しますが、彼らは人格が歪んでいるのではありません、ただ単に未成熟なのです。ですから、まず、自分を受け入れ理解してくれる存在を求めているのです。このような共感的理解が成り立っている関係を、私の恩師であり、日本で「いのちの電話」の創設に尽力された稲村博先生(元筑波大学教授、故人)は、「心の絆」と呼びました。

 彼らの適応力を高める視点から組織のルールにかかわることに対しては毅然と対応し、また、彼らの話を受容的態度で聴き、共感的理解を示すことで、ワガママちゃんのソーシャルスキルも向上していきます。

 ワガママちゃんの成長には時間がかかるものです。彼らを大人にするためには、根気よく彼らとつきあっていく必要があります。その役割をあなたが担っていると自覚すれば、次第にワガママちゃんに向き合えるようになっていくでしょう。


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挫折を知らない「新人ワガママちゃん」

挫折を知らない「新人ワガママちゃん」は、 配慮を欠いた“困った言動”を繰り返す

 性格が未熟でわがままな若い社員「ワガママちゃん」が職場に増えている背景(ワガママちゃんができあがるメカニズム)と、彼らに顕著にみられる特徴的な5つの考え方と行動傾向については説明しました。

 新人ワガママちゃんの事例を紹介し、職場における具体的な言動を捉えていきたいと思います。

【事例】新人ワガママちゃん

商社総合職・入社1年目・女性23歳

 都内で会社を経営する父のもと裕福に何不自由なく育ち、女子校に通いながら進学塾にも通い、第二志望であった都内私立B大学入学。在学中の成績は平均以下。ただし学園祭実行委員やクラブ活動では中心的な役割を果たし、入社面接では、ハキハキと自分の考えを述べ、型どおりではない回答をするところに採用担当者は好感が持てたという。

 新人研修では、「今にしてみれば、嫌みな校風で入らなくてよかった」と、第一志望だった大学出身の同期を避けるように行動していた。

 入社後、本人は「海外とのやりとりをしたい」と、国際関係の部署への配属を望んでいたが、むしろ語学の成績は悪かったこともあり、国内食品関連部署の営業に配属された。本人は、「こんな地味なところは私向きじゃない、なんで私がスーパー廻りをしないとならないの?理解不能!!」と同期に不満を述べていた。

 メンター役となった先輩は、熱血漢の営業マンで、後輩の面倒見も良かった。本人に対するOJTは、営業同行から始め、次第に複数の担当を任せるに至ったが、本人は、納品価格の交渉や新商品の案内といった業務に興味を持てない様子で、仕事への熱心さに欠けるのは明らかだった。

 周囲には、「こんなくだらない仕事をいつまでやればいいのか不安。このままでは私は成長できない。やる気がでない」ともらしていた。

 交渉がうまくいかないときは、先輩が自身の業務終了後に、夕食を一緒にとるなどして悩みを聞きつつサポートをしてきたが、本人は、先輩から親身にサポートしてもらっても、「なるべく指導は昼間にお願いします」「夕食とかお酒とかを先輩に付き合うのは迷惑」と感謝の気持ちはなく、課の先輩たちも次第に「自分の仕事だってたいへんなのに、尻ぬぐいしながらサポートするのがむなしい」「これなら自分が直接担当した方がよっぽどまし」と本人をもてあますようになってきた。

ついに、クライアントから担当替えを要求される

 同年の秋、取引先との大口の契約を更新できず、ライバル他社に契約を持っていかれた。先輩は日頃から「クライアントにはこまめに足を運んで、要望にはできるだけすぐに対応するくらいのことをしないと上手くいかないよ」と当たり前のアドバイスをしていたが、本人はどうしても納得せず、訪問頻度を増やさずに、連絡はなるべくメールで済ませるなどの対応のまま、行動を改めようとはしなかった。今回の契約打ち切りの件も、直前まで上司に報告相談をしていなかった。

 そこで、上司は、本人と1対1で話し合う場を設けて、「ホウレンソウをきちんと行うこと。多少とも営業は理不尽なこともあるので、柔軟に対応すること。今回の件を反省して、他のクライアントには、もう少し気配りを行うこと」といった指導したところ、本人は「まだ仕事のこともよくわからないのに、一人で営業に行かされたからです。もっときちんと仕事を教えていただければこんなことにならなかったのに」と反論した。

 先輩は、「このクライアントは対応が困難なわけでもない、むしろやりやすい安定した顧客であり」「新人でも十分に対応できるはずと思い任せていた」「そのうえ当人の悩みにも十分に対応してきたつもりですが……」と、納得できない様子であった。

 その後、年末商戦で、課員は担当する小売店への応援に駆り出されることとなり、12月は課全体が多忙を極めた。しかし本人は、小売店での応援業務を嫌い、なにかと都合をつけて断ることもしばしばだったため、クライアントからは「熱心さがない」とクレームを受けるに至った。

 新年明け、クライアントから、担当者を代えて欲しいとの要求を受けて、担当を外したところ、本人は「小売店のご機嫌をとるためにこの会社に入ったんじゃありません! 相手が理不尽なことを言うから悪いんです」「そんなことを言われるとは納得できない」と泣きながら訴え、翌日から出社しなくなった。

若い社員のワガママな言動は、人格が未成熟であることの表れ

 このようなタイプは、失敗してもそれは自分自身の能力や努力が不足していたとは考えず、親も「おまえは悪くない」と過剰に保護して養育してきたので、「大きく挫折し傷ついた経験」がないのです。また実際の能力に比して自己評価は過大で自信過剰、現実が見えていない、そんな若い社員が増えています。ここに前回解説した特徴の「1 他罰性と内省の欠如」と、「3 自己イメージの肥大」さらに「4 高いプライド」が見えます。

 また「助けられるのが当たり前」という環境で成長してきたので、先輩が自身の業務に加えて遅くまで対応してくれているのに、感謝の気持ちはありません。挫折したことがないので本当の「人の心の痛み」を知りません。ここに前回解説の、「5 情緒的共感能力の欠如」が見えますね。先輩の苦労や気配りを知りながら無視しているのではなく、先輩の思いやりの気持ちそのものが、わからないのです。人の感情が読めないのです。

 ストレス理論に「努力-報酬モデル」という考え方があります。自分で一生懸命努力しても、その分報われればストレスは案外たまりにくいものです。しかしモデルが崩れ、努力した分の成功が得られないと、ストレスは過大になって跳ね返ってきます。最近の若い人たちのなかで、進学塾などで純粋培養され、順調に受験戦争と就職戦線を勝ち抜いてきた人々は、努力報酬モデルが崩れていません。勉強すれば、ほぼ必ず成績に反映された論理的な構造で成長してきました。

 しかし実社会は違います、ましてや人とのコミュニケーションが重視される営業の世界は、努力報酬モデルでは解決できないことだらけです。自分本位で、相手の役に立つという視点が欠如しているため、仕事の意義を見出せず、彼らはここで大きく戸惑います。初めての挫折です、親は助けてくれません。一人で乗り越えていくだけの気力はありません。つまり、もまれた経験のない彼らは、今まで経験したことがない、自分にとって説明がつかない世間の理不尽さに耐えられないのです。

今、求められているのは、彼らを育てる視点を持つこと

 そういう彼らは、単に「未成熟」なのです。昨今、問題になっている「人格障害」とは異なり、彼らはまだ成熟の途上にあるということなのです。ですから、今、企業に求められているのは、このようなタイプの人材を「育てる」という視点を持つことです。

 私がこのように言うと、多くの人事担当者は一様にこう言います。

 「会社は家庭でも親でもないですよ、そこまで会社が面倒みないといけないんでしょうかね?」
 お気持ちはよくわかります。しかしいくつかのコツをつかみ、彼らのこのような「困った言動」の背景を理解すれば、彼らの成熟を促すことは可能なのです。


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傲慢なのに打たれ弱い未熟でワガママな若手社員はなぜ増えたのか?

傲慢なのに打たれ弱い未熟でワガママな若手社員はなぜ増えたのか?

 現代社会の未成熟化に伴い、職場でも性格が未熟でわがままな若い社員が増えています。彼らは、能力がないわけでもなく、むしろ積極的で活動的、華やかな場面が好きで、花見の席取りや宴会幹事などをさせると「デキル社員」です。しかし、いったんストレスのかかる場面に遭遇するととても弱く、強く叱責すると翌日から出社しなくなってしまったり、時には親身の指導を「パワハラである」と言い出します。最近は、こんな「会社のワガママちゃん」に振り回される管理職のグチをよく耳にします。

 第1回目は、この連載で取り上げる「会社のワガママちゃん」が増えた背景とその人物像について解説をしましょう。 

あなたの部下はワガママちゃん?「チェックリスト」で確認しよう

 以下のチェックリストのうち3項目が該当すれば、それは「ワガママちゃん」の可能性があります。

◇「会社のワガママちゃん」チェックリスト

1 「仕事がうまくいかないのは上司・先輩の指導が悪いからで、自分は十分にがんばっている」と考えている

2 「この部署の仕事は自分に向いていないから、やる気が起きない。○○課なら必ずうまくやれるのに」と周囲にもらす

3 業務に対して勇んで前向きな提案をするけれど、内容は稚拙、しかし本人は全くその認識がなく自信にあふれている

4 自身への適切な指導に対して表面的には聞くふりをするが、決して従おうとせず、強く指導するとふてくされる

5 「サポートしてもらってあたりまえ」的態度で、感謝の気持ちが薄い

 いかがでしょうか? それではまず、「ワガママちゃん」のできあがるメカニズムを説明しましょう。

過保護に育った「ワガママちゃん」は人にもまれた体験が足りない

 「ワガママちゃん」は人格の成熟が遅れています。

 では私たち精神科医が捉える、人格の成熟の「指標」とはなんでしょうか? 精神科医の斎藤環先生(※1961年生まれ。筑波大学医学研究科博士課程修了、医学博士。専門は思春期・青年期の精神病理学、病跡学)は次の2点をあげています。

・ストレスに耐えて葛藤を克服できる能力

・相手の感情を感じて自分の感情を適切にコントロールできる能力

 これらは、小学生時代から高校生くらいまでの思春期前後に、親子関係や友人関係における精神的葛藤体験の克服から獲得されてきます。

 ところが最近では、母親の溺愛と過保護、同年齢同士の交友関係の希薄化により、いわゆるギャングエイジと呼ばれる精神的な成長の時代に「人にもまれる」という経験をせずに、進学塾などで優秀に純粋培養されて成長した若者が増えています。

 このようなこどもたちは、友人とのケンカや争い、つまり葛藤状況に慣れていませんから、自分の辛さを乗り越えて、落としどころを見つけ折り合いをつけるスキルを持っていません。また、このことで相手がどの程度傷つくかなど理解できませんから、自分の気がすむまで、ひたすら主張を通します。もしどうしても上手くいかない場合は、お母さんが助けて保護してくれました。
 このように育った彼らは、現代の厳しい労働環境で人と協調して社会生活を営むには、あまりに未熟なのです。会社で困ったことがあっても、泣きつくお母さんがいない、腹を割って話す同僚がいない彼らは、どうしたらいいかわからなくなるのです。

職場で発揮される “自覚なきワガママぶり”

 「ワガママちゃん」の考え方と行動特性は以下の5つです。

1 他罰性と内省の欠如
 「仕事がうまくいかないのは上司・先輩の指導が悪いからで、自分は十分にがんばっている」と考えます。物事がうまく運ばなかったのは自分のせいではなく自分のことを理解しない周囲が悪い、俺のことを理解しない奴は頭が悪い、と考えがちです。決して反省しませんから成長しないのです。

2 現実検討能力の欠如(青い鳥症候群)
 「この部署の仕事は自分に向いていないから、やる気が起きない。◯◯課なら必ずうまくやれるのに」と常々もらします。本当に自己実現できる職場ならやる気が起きるけど、ここでは無理と考えます。上手くいかないと直ぐに異動願いを出そうとします。自分が会社に適応しようと努力するのではなく、会社は自分の能力を生かすために適正配置をするべきだ! と信じて疑いません。

3 自己イメージの肥大
 自己愛が強くナルシストのため、現実を冷静にみることができなくなっています。思いつきやテレビで見た浅い知識をもとに、勇んで胸を張り、業務について前向きな提案をしますが、内容はあきれるほど稚拙。しかし本人は全くその認識がなく自信にあふれています。むしろ自分の提案を取り入れない上司は理解力が足りない仕事のできない奴だと思っています。

4 高いプライド
 自己愛が強いので自分の非を認めず、助言や指導を受け入れません。自身への適切な指導に対して表面的には聞きますが、決して従おうとせず、強く指導するとふてくされます。もともとの能力が高い人ほどこの傾向が強く表れます。彼らの多くは、受験戦争で失敗してこなかったのです。もし失敗したとしても「それはあなたのせいではない、評価しなかった学校が悪い」と、お母さんが言ってくれました。プライドが傷つかないまま、すくすく育ったのです。

5 情緒的共感能力の欠如
 他人の心の痛みがわかりません。自分の痛みは、本当に痛む前に母親がかばってくれましたから、深く傷ついた経験がないのです。友人と取っ組み合いのケンカをした経験もないので、自分の痛みも人の痛みもわからず、限度を知りません。支援されてあたりまえだと考えていますから、先輩や上司が親身の指導をしてくれても、自分の仕事が片付けば先にさっさと帰宅してしまいます。感謝の気持ちが薄いのでやがて支援が少なくなります。

追い詰められたら「うつ病」を発症

 いかがでしょうか? 次第に嫌な人間に見えてきましたね。「会社のワガママちゃん」は、やがて課のお荷物になり、同僚上司からは嫌われ孤立していきます。仕事も当然上手くいきません。追い詰められ困った彼らは、ある日突然、うつ病になります。

 クリニックを受診して診断書を持参し、病気休職となり、その原因は会社にあると主張します。根本にあるものは、先にあげた5つの特性です。

 うつ病になった彼らはどうなるでしょう? このようなワガママちゃんの鬱の多くは、仕事を休んで自宅療養に入ると元気になります。

 「仕事は無理だけど好きなサーフィンはできる」「鬱になったから好きなパチスロで気分転換」と、従来の皆さんのよく知る、典型的な暗く陰鬱な「うつ病」からは、まるでかけ離れた病状を呈しながら、療養生活を送ることになります。

 このような経験をお持ちの皆さんの心中では、今、彼らに対する負の感情がわき上がってきましたね。怒りや憎しみの感情を陰性感情と呼びますが、皆さんの陰性感情、これが「ワガママちゃん」へ対処するうえで、最も良くないものです。

 彼らに対して陰性の感情を持ち、それをついつい表面に出してしまうと、たいへんこじれた状況に陥ってきます。


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自分の愛する相手の生を生きること

愛するということは、
自分の愛する相手の生を生きることである

トルストイらしい

*****
愛するということは、そうなんだろうな、たぶん
でもそうなるとほとんど誰にもできないことだけれど
極限を言葉で表現すればこういうことになる
だから心がけとしてはなるべくその方向でという程度でいいのだろう

最近のように衣食が足りてますます生きていけると思うようになると
自己愛が多少は肥大してくるはずだ
みんな自分の都合が一番で生きている
最近の子どもなどは特にそうだ
人の都合を優先して生きる人など見たこともないし聞いたこともないくらいだ
そうなるとこの文章のように利他的になることはできない

本質的に助け合うことがなくなっているのだろう
一人で生きていけると思うから

一人では生物学的に生きて行けなくて
助け合うのがいいのか
助け合わなくても生きていけるくらいの裕福な環境が結局はいいのか
難しいところだ

豊かな環境にあってなおかつ助け合って生きてゆけたら一番いいに違いないが
そういう人は人の都合の下敷きになってしまう

*****
人は一人では生きてゆけないことを
深く解釈すれば
いつも人間は助け合うしかないし助け合っているのだけれども
意識としてはそのようには思っていない
分業制をとっているからには
他人に依存しているはずだけれど
私だって他人に依存させてあげているのだから
と言い始めたら
なかなか結論に行き着かない

愛するということは、
自分の愛する相手の生を生きることである
といってしまえば
自己愛をゼロにするということで
そんなことはあり得ないのだろう

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氷だにとまらぬ春の谷風にまだうちとけぬ鶯の声

源順 みなもとのしたがふ 作

自然と恋愛の照応が示されている。

春の風
それは氷さえじっとしていないで溶け始めるくらいだ
氷も溶けるというのに、まだうち解けずいい声で啼いてくれない
鶯である

別訳
私の得意な 春の谷風 をもってすれば、
氷でさえも溶け始めじっとしていられずに声をあげるというに、
私の可愛い鶯よ
まだ喜びの声を聞かせてはくれないものか

源順の得意技「春の谷風」とは何か、文献にもないので分からない。
しかし山風ではなく谷風なので、「くぼんだ場所」に対する術であったろう。
風とあるので、空気の移動を含むものであったかもしれない。
いずれにしても、源順の得意技「春の谷風」は、
氷を溶かして水浸しにし、
鶯をいい声で啼かせたのである。

水浸しとなりいい声が出ているなら、
効果はよかったはずなのだ。
再訪を期待されたものであろう。

古来、「まだうちとけぬ鶯」こそは、
もっとも興趣をそそる対象である。
また逆に、うち解けぬ間のみ寵愛されるのもまた習いである。



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