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「ぼくの翻訳人生」工藤幸雄 Eric Clapton CHANGE THE WORLD

この年末から正月は
鼻水
波状の熱発と悪寒
胸焼け・吐き気
全身消耗
関節痛
発汗
末梢の異常感覚(これだけはすこし変な症状)
ただし下痢はなし
と、まるで、
踏まれたり蹴られたり水に落とされたり溺れたり殴られたり髪を引っ張られたりと形容していい状態であった。
(「踏んだり蹴ったり」とはおかしな表現ですね。そう思い使えなかった。)
まあ、初めてのことでもなく、こんなことも数年に一度はあるのだから、特に驚きもしない。
仕事が始まればすぐに治るのだと分かってはいる。
仕事が始まらないとぐずぐずと風邪をひきなおしている感じなのだろう。
そんな状態で食事も喉を通らず睡眠はとぎれとぎれで
汗をかくたびに着替えをして水分を補給し
そんな有様でやっと過ごしていたが
その間、本を読みつつ、ラジオを聴きつつ、何とか時間を過ごしていた。
ラジオからはイーグルスだったか、昔の歌が流れて、
ある状況が強烈に再生された。音楽の記憶喚起力を感じた。
またラジオで、 Eric Clapton の CHANGE THE WORLD を聴いた。翻訳を作ってみたことがある。

この手が星に届いたら
ひとつだけ てのひらにつつんで
あなたにあげる

わたしのこころをてらしてみて
なにが見えるか おしえて

満ちているもののすべてを
愛と呼んでもいいの?

もしかしたらただの夢かもって
醒めてしまうのが怖くて

世界が終わるとき
わたしあなたのひだまりでいたい

そのあたたかみに あなたはまどろんでくれるかな
愛しい人 もしも世界が終わる日に

一日でもいいの
望みが叶うなら
あなたと一緒に暮らすの
ほかは何もいらない
わたしたちには愛しかなくて
そんな二人の世界になるの

ばかって言ってね
そんな日を夢見たりしてね

世界が終わる日に
わたしあなたと一緒にいたい
寄り添うぬくもりに身をゆだねてくれたら
ね、もしも世界が終わる日に
もしも世界が終わる日に

世界が終わる日に
わたしあなたを包み込みたい
あなたの重荷を溶かすことができたなら
愛しい人 もしも世界が終わる日に
もしも世界が終わる日に
もしも世界が終わるなら 

そして当時の情景が生々しい感情と共に蘇る。
病気で全身が衰弱していて、精神が防衛的態勢を作れていないのだろう。

そんな中で「ぼくの翻訳人生」工藤幸雄を読んだ。
昔話である。昔はこんなこともあったのかと思う。

海外から帰国して共同通信社に復帰しようか、すまいかと著者が悩んでいた時、井上光晴が一喝した。「宮仕えはするな。おれたちは、死に向かって突進しているんだ」。冷厳な真実に裏打ちされたこの説得力のある言葉に励まされて、著者は復帰を諦めた。

「宮仕えはするな。おれたちは、死に向かって突進しているんだ」
それはわかっている。
でも、そうしないでいて、もっと惨めになったらどうするのか。
最低保障ラインは確保しておくのがいいのではないか。
そう思う。さらに、
そんなことを言っても、一度だけの人生だ、賭をするチャンスがあるなら賭けてみた方がいい。賭をするチャンスもなく過ごす人が大半なのだから。

私は個人的には、破滅と大成功と半々の賭けに身をゆだねてみたい。
どうせ手に入るに決まっているぬるい幸せなどいらない。
いままで誰も経験したことのないような人生を送りたい。
そのようにさえ思う。

まあ、実際は、破滅というわけでもないけれど。

普段の生活で、たとえば車の費用を経費で処理できるかとか、そんな程度の違いだな。

「ぼくの翻訳人生」で書かれていることのひとつの柱は、
「日本語に熟達せよ」とのメッセージである。
世間では英語教育とか言っているが、
日本語をきちんと使えない日本人を作ってどうするのか、と語る。
これに私は大いに賛成。

また主張のもうひとつの柱は、言葉に精通するには人生はあまりに短い、
終わりがない、分からないことばかりだというもので、
それもまたその通りである。
知的誠実さがある限り、そのように思わざるを得ない。

浮気調査とうつともうひとつの障害

浮気調査の会社があって、いろいろとアドバイスがあります。

何かと理由をつけて帰宅が遅くなる。
休日なのに急な仕事で外出する事が多くなった。
せっかくの休みもなかなか会ってくれない。
自宅での食事が少なくなった。
ファッションや香水などに気を使うようになった。
趣味や食事の好みが変わってきた。
メールのやり取りが多く内容を隠すようになった。
携帯の料金が以前より高くなった。
お風呂の回数が変わった。
会話が少なくなってきた。

こういったことがあったら、浮気に注意しましょうといわれています。
逆に、こんなことをしていたら、浮気を疑われる可能性があるということです。
でも、これって、半分くらいはうつの項目ですよ。

仕事がたまってしまうので、残業休日出勤が増える、食欲も減少する、
会話が少なくなり、頭が回転しないので、電話も長くくどくなり、電話料金も上がる。
趣味や食事の好みも、うつにあわせて、変わる。
メールの内容を隠すのは、自信がないから。確認したくなって何度もメールを送る。
うつになると強迫性が強くなって、手洗いを繰り返したり、風呂に繰り返し入ったりします。

ですから、パートナーが浮気しているのかなと思う一方で、
パートナーはうつじゃないかなと一度は考えてください。

盗聴器をつける人もいます。

年間で数十万個の盗聴器が販売されています。また、CCDカメラも容易に購入できます。
どちらもつけるのは簡単ですが、発見はなかなか素人では難しいもの。
貴方のまわりで自分の情報が漏れていると感じたことはありませんか?
『昨日電話で友人と話していた内容を彼が知っていた』このような事例は実際よくあります。
結局彼氏が盗聴器をつけ、24時間彼女を監視していたことが判明。
時代はもはや、「自分の身は自分で守る」という形へと変化してきています。
あなたにできることは「確認してみる」ということ。
不安のない日々を送るためにも、お早めにご連絡ください!

で、連絡すれば、盗聴器などを見つけ出してくれるそうです。
パソコン、携帯、電話、部屋の会話、これらは全部筒抜けだと思ったほうがいいです。
むしろ、汚い字のメモのほうが、判別不能で、便利かもしれません。

浮気するならまず離婚した方がいいです。
それじゃ、浮気とは言えない?
結婚を継続したままで浮気をしたいなら、
どんな結末がありうるか、よく考えて、その上で行動してください。
最悪、離婚と慰謝料です。
それでいいなら、何も怖いものはありません。

たとえばの話、
離婚が成立していなくても、
「婚姻が破綻していて、離婚の意志がある」と明示しただけで、
あとの恋愛は自由です。
たとえば、内容証明郵便でもいいし、
離婚調停申し立て手続きでもかまいません。
医者に相談して、公的な記録が残っていれば、
あとで証明することもできます。
破綻主義ですから、破綻していることを日付つきで明示すればいいのです。
破綻したから恋愛したのであって、
恋愛が婚姻を破綻させたのではないと
明確に証明すればよいのです。

でも今の時代、盗聴器をつけなくても、電話会社で教えてくれる、
通話相手番号と時間の記録だけで、大抵のことが分かります。
盗聴器をつけるまでもないでしょう。
携帯には盗聴器をつけられないし、
会社の電話につけるには、内通者がいないと無理、それに、
別な方法もいろいろありますから。

また別の会社で。

・ふと気付くと会話が減ったり、一緒に出掛けなくなったりしていませんか
・帰宅時間が変わった。
・車の中にいつもと違う銘柄のタバコがあった。
・夜中に携帯電話で話しをしている。
・助手席のシートの位置が違う。
・ガソリンの減り方が異常。
・クレジットカードの請求が増えた。
・夫婦関係を拒むようになった。

やはり半分以上はうつで説明できます。
うつでセックスができなくなり、自信喪失して、
まずお店で試してみようという人も一定数いるものです。
ポケットにEDのお薬を見つけても、とがめないで下さい。
自信を回復したくて必死なのです。

クレジットカードの請求書は、店の名前まで出ますから、
浮気も分かりますし、むしろ、浮気ではないことが分かったりします。
明らかに三人分だったり。
土台、喫茶店やレストランで料金を払ったとして、
浮気とは全然いえないわけです。

極端に言えば、セックス中の写真を撮影される可能性のある場所でのセックスを回避すること、
これでいいそうです。
日本の法律でいう、「不倫」とはそういうことです。
精神的なことではないのです。
逆に、精神的に全くつながりがなくても、
セックスの現場を撮影されたら、法律的には、アウトです。

いつものように自己診断テスト。
浮気診断項目

1 家に帰る時間がまちまちである。
2 休日出勤が増えた
3 自宅では携帯電話の電源を切っている
4 自宅では携帯電話を手放さない
5 携帯電話にロックをかけている
6 携帯電話の着信音を消している
7 携帯電話を2つ持っている
8 携帯電話にかけるとでないが折り返しかかる
9 携帯電話の請求書が自宅に来ない
10 メモリーにメルアドだけ登録している人がいる
11 発着信履歴を消した形跡がある
12 深夜に電話を持って買い物や散歩に出かける
13 友人・同僚、上司との付き合いを強調する
14 聞いてもないことを自分から話す様になった
15 服やネクタイなどを自分で買ってくる様になった
16 「疲れた」をよく言うようになった
17 車の洗車をまめにしている
18 カーナビの履歴がリセットされている
19 車内のタバコの吸殻をまめに捨てているようだ
20 食べ物の趣味が以前と変わった
21 身だしなみを気にするようになった
22 気に入っている下着ばかりをはいている
23 クレジットカードの請求書、明細書が届かない
24 サラ金などからお金を借りているようだ
25 見知らぬ会社名から請求書が届く
26 帰宅後、すぐに入浴するときがある
27 帰宅後、目を合わせないときがある
28 一日の出来事を聞くと怒り出すときがある
29 疲れを理由にSEXを拒むようになった
30 財布などに避妊具を隠し持っている
31 自分の一日のスケジュールを聞きたがる
32 アクセサリーをつけるようになった・数が増えた
33 手帳に意味深なマークやしるしがついている
34 見たことのないカギを持つようになった
35 自分専用のパソコンを持つようになった
36 パソコンを触られると怒る事がある
37 みえみえの嘘をつくようになった
38 子供に関心がなくなってきた
39 家族での外出が減ってきた
40 何か考え事をしているようなそぶりをする

1コ~10コ 浮気をしている可能性 20% (浮気をしているとは言い切れません。もう少し様子を見ることが賢明です。
11コ~20コ 浮気をしている可能性 40% (浮気に発展するような行動をしている可能性はあります。事前に食い止めるのであれば今のうちに釘をさしておきましょう。
21コ~30コ 浮気をしている可能性 60% (浮気をしているといってもいいでしょう。ただし、推測だけで相手に事実を問いただすには時期早々です。決定的な情報をつかむのが先決です。
31コ~40コ 浮気をしている可能性 80% (かなり深刻な状態です。浮気につながる情報を集め事実の確認をする必要があります。

くどいのでやめますが、やっぱり、うつが関係あるような項目が目立ちます。

携帯とクレジットカードが主な小道具ですね。
携帯履歴とカード履歴でだいたい分かるらしい。
映画「ノエル」で異常に嫉妬深い男性が出てきますが、
その人は、フィアンセについて、上のような項目をチェックして疑いを深めています。

自分が病的に嫉妬深いのはある意味で勝手ですが、
そのことで他人を苦しめているとしたら、社会的な責任を取らなければなりません。

クリニックに来るのは、うつで、浮気の元気もない人。
パートナーに浮気を疑われ、うつになってしまった人。

一方、過剰にパートナーを疑って人に迷惑をかけた人をどうしたらいいか、
クリニックでは本人がいない場所で間接的に相談を受けているのですが、
最近では判例も積みあがっていますので、
裁判所で民事または刑事で罪を償うことになります。

こういったケースの場合、周囲が迷惑をかけている本人に
治療を勧めても無駄ですし、
人格に深く根ざした傾向であり、よい治療法もありませんし、
根本的に社会生活に向きません。
昔なら出家隠棲したところですが、もちろん、孤独な出家です。
他人に迷惑をかけてはいけないこと、
そのくらいは両親が人の親として、責任を持って教育すべきでしょう。

世の中が変われば、ストーカーという犯罪が認定されたりするのですから、
今後はこうした種類の「犯罪」も、認証が進むのではないかと期待しています。
「ごみ収集癖のおじさん」とか「奇声を発するおばさん」とか、子供を虐待する母親とか。
それなりに名前がつけられて認知される方向です。
大体は親がいれば、何とかなります。


庶民の抱く高貴な感情 山本周五郎「季節のない街」

堀田善衞「ミシェル 城館の人」を読んでいるのだが、頭が疲れる。
中に、労働する最下層の人々の中に、
最も高貴な哲学者の達成や、最も深遠な宗教的達成と、
同等のものを見るといった意味のことが書かれていた。
最上級のものと最下級のものが、深い目で見れば一致する、
むしろ、思想も古典語も知らない庶民の生活と労働の中に、
自然が用意した最も豊かな実りがあり、人生があるのだと説いている。
例えば、死をいかにして受け入れるかということについて、
古来多くの哲学者や文学者が説いてきたのだけれども、
結局、安らかに死んでゆくのは、学のない庶民である。
平和な篤い信仰のうちに、静かに死を受容している。
それは真に尊い姿である。
みたいなことを言っているらしい。

目を転じて、手元にあった山本周五郎「季節のない街」をめくってみる。
中の短編「枯れた木」を読んで、庶民に中に生きている真実の感情や思想というものが感じられた。
さすがである。

してみれば、堀田善衞の作品なども、山本周五郎の一短編に及ばないとも思えてしまう。
易しく言えることを、モンテーニュは難しく表現し、堀田は難しく解釈し、それを読んで私は疲れた。
疲れを癒してくれたのは山本周五郎であり、ごく短い文章であり、
その中に、モンテーニュのたどり着いたすべても、含まれていると感じるのだ。

NHK 7時半の超人 「クローズアップ現代」 国谷裕子

最近は7時に食事をして、歯を磨きながら7時半の番組を見ることが
週に何度かある。「クローズアップ現代」。
してみると、7時半からレギュラーでキャスターを担当している女性は
超人に違いない。国谷裕子。
テーマに沿って30分ですぱっとまとめる。
これはすごい。
次の総理大臣にしたい。
いやぜひなってもらいたい。
そしてまずNHKを改革して欲しい。

それはそうと、今日の7時半は、犯罪被疑者の海外逃亡についてであった。
海外出身労働者が増えると、必然的にこんな問題が起こる。
社会として、どのような選択をするか、決めなければならない。
「だから」そのような人達は要らないのか。
「にもかかわらず」是非必要なのか。
「実は」日本社会として改善点があるのか。
適正な選択が必要である。難しいが、これが政治的課題というものだ。

もうひとつニュースであるが、
拉致事件解決に向けての交渉のこと。
堀田善衞「ミッシェル 城館の人」の中で、
パリやフランス国内での殺戮や疫病についてさんざん繰り返し書かれている。
拉致監禁なども出てくるのであるが、
現代日本で隣国によって拉致監禁事件が起こされるなんて、
私が育つ過程では注意されたこともなかった。
しかしあり得ることで、これもまた被疑者海外逃亡と似て、
日本の刑法では裁ききれない部分である。

もう一言言うとして、
最近は判決が出るたびに、
ニュースで裁判官の顔を写し、名前を提示する。
良い面も悪い面もあると思うが、実際、気の毒である。
第一、他人に「判決」を下し、運命を左右するなんて、
簡単な気持ちでできるものではない。
どんなにかストレスだろうかと心配になる。

ショッカーとウルトラマン

少しだけショッカーのことを書いたが、
ついでなのでウルトラマンとの対決のメモを。

当時、ウルトラマンが仮面ライダーに先行して
地位を築いていた。
ウルトラマンは組織を相手にせず、単発の企画で
興行を継続した。それでも対戦相手に窮することはなかった。
いまなら大晦日のK1みたいに、一年に一回くらいがせいぜいだろう。
しかし当時は世相が違った。

実は、東京タワーの補修費の一部が、ウルトラマンおよび悪役怪獣に流れていたらしい。
ウルトラマンは原則として週に一回、東京タワーを壊してしまう。
当時は破壊したものが補修する制度はなく、国と東京都で費用を分担した。
当時の美濃部都知事の名前の入った領収書が大手ゼネコンに残っている。

その領収書の金額を算定してみると、
ウルトラマン発足の当時からすれば、
中盤に向かって、補修費は増大して高止まりしたことが分かっている。

ゼネコンで仕事を割っていた。
週に一度、建て替えが必要といっても、いつも同じものを作るのだから、
だんだん要領が分かってくる。
どうせ来週壊れるものを入念に造るはずもない。
工事はなあなあで進められ、
安全面で問題になりかけたが、それは表面化しないで済んだ。
そのかわり、工事費も、予算のちょうど100%で済ませていた。

東京タワーのすぐ近くで営業している老舗、野田岩のある店員は、
当時、近所の人は、東京タワーは危ないとうわさになっていたが、
地方から来る人は知りようもないので、かわいそうなことだとうわさしあっていたと語る。
東京タワーのエレベーター事故も、ウルトラマン戦の巻き添えとして報告された。

美濃部都政は対策を考えた。
大手ゼネコンよりは一段格下の某工務店が参入を希望していたので、許可し、
工事にあたり、被害の状況を詳細に報告させた。
すると、ウルトラマンと怪獣の仕業ではない、工事の手抜きの現状が明らかになった。

これには大手ゼネコンもあわて、抜きの改善に着手した。
腹立ち紛れに、某工務店の仕事の問題点を詳細に報告し、
自分たちの技術力を誇示したこともあった。
当時、技術力の差は歴然としていたらしい。

当然、ここで工事費は跳ね上がり、高止まりになった。
しかし、依然として、設計作業もいらず、図面も同じものを使えばいいので、
少し金が余った。

ウルトラマンはそこに目をつけ、ゼネコンに金をせびった。
その金のおかげで、ウルトラマンは興行の人気をあまり気にしないで済むようになった。

新規土木事業によって道路や観光拠点を作り、周辺地価を押し上げ、
地元住民を豊かにし、政治家、役人、土木業者、農民のすべてが儲かる仕組みが
中心だった時代に、
ウルトラマンは、「開発が終わってしまった時代に、どのようにして税金を持ってくるか」の
ノウハウを蓄積していった。
これから日本でも盛んになるだろう、「建て替え型」の土木事業である。
アメリカで起こった橋の崩落事件は記憶に新しい。
あれと同じことを、ウルトラマンは実行し、間接的に公共事業費を受け取っていたわけだ。

そんな中で、後発の仮面ライダーは、というより、主にショッカーが、
東京タワー利権に食い込もうと策略した。

仮面ライダーは他人を巻き込まない場所での対戦が多かった。
ライダーキックの都合もあって、切り立った岩壁があったりすれば、よかった。
砂浜で対戦した結果、漁業に支障が出て、休業補償を求められたこともあった。
残念なことに、公共事業費に食い込む余地はないと思われた。

仮面ライダーに、安価に、腕力だけで、東京タワーを壊してもらえないか、
野田岩でうなぎを食べながら検討を重ねたが、無理だと分かり、
野田岩の請求書を踏み倒したことも記録に残っている。

しかし当時考案された、「着ぐるみ作戦」は、後になって役立った。
これは、仮面ライダーが大きくなることはできないので、
大きな相手が来たときには、操縦席に座り、大きなロボット兵器を動かすというものだ。
ウルトラマンが地球に招いた怪獣の連絡先や
最近の興行成績までチェックは終了していたらしい。
後の、ガンダムなどの流れにつながる。


ウルトラマン側は、ここでは東京タワー利権を死守したものの、
その後は、破壊者再建責任法の施行にともない、衰退してゆく。


ダルビッシュとショッカー

日ハムのダルビッシュが期待以上の投球をして
日ハムが日本シリーズの初戦をとった

ダルビッシュの長い腕がよく撓り
ボールは激しく回転し
ホームベースのあたりで急激に変化する
ダルビッシュの投げる球はまるで
卓球のボールみたいにスピンがかかっている
そのようすが テレビ画面からわかる
空振りをする様子で伝わってくる

52型フルハイビジョン液晶の最適コンテンツのひとつだと思う

*****
一方で、放送の合間には、
新しいパチンコ台
ショッカーと戦う仮面ライダーたち という趣向らしい

ショッカーという軍団くらい、
戦略に欠けた集団も珍しい
長期ビジョンを発表したこともないし
派閥も内紛も聞いたことがない
フラットで場当たり的な素朴な集団なのかと
一瞬思うが、そうではない
そんなはずはない

目的は世界支配ではなく、
世界に現在のまま寄生し続けることである

仮面ライダーを
実質支えているのはショッカーである
ショッカーがいなければ
仮面ライダーは無用の長物なのだ

発生原理から説明すると、
仮面ライダーよりも先にショッカーが成立している

ショッカーが人体改造しようとしたものの、
ある種の失敗が生じ、そこで仮面ライダーが誕生したと説明される

当然、それは失敗ではなく、シナリオどおりなのであって、
ショッカーという組織を維持するために、
仮面ライダーが必要だったのだ

仮面ライダーの立場に立って考えてみよう
そのように道徳科で教えられるのだから
容易に分かるように、ショッカーがいなくなってしまったら、
仮面ライダーは生活できない
仮面ライダーが怪我をして2年くらい休養しても、
ショッカーとしては、マスコミ対策で別のことを考えればいいだけで、
たいして打撃にはならない
代わりの仮面ライダーを作るとしても、
簡単な技だけでいいのだから、とりあえず人選も難しくない

社会人としての仮面ライダーは不安定なのだ
資格もないし、技といっても、
「子供が容易にまねができて、誰も怪我をしない」
ものに限定されるのであるから、
技で差別化することもできない。

いずれにしても、ショッカーを本気で撲滅するために
仮面ライダーがいるのではない
本気なら、仮面ライダーは、ボスを相手にして、必殺技を繰り出すはずだ
しかしそれはしない
ただ週に一度、負け役の怪人を相手にして、
安全にライダーキックをしてみせる

ショッカーが消滅すれば仮面ライダーも過去の人となる
むしろショッカーを維持するための装置が仮面ライダーとの
週に一度の興行である

ここは最大の注意を要する
隣国が悪い奴だから、防衛費を削ることはできない
という理屈で説明することが多いものだ。
つまり、ショッカーが悪いから、仮面ライダーはますます重要だ!
なんて日テレで宣伝している

でも、
隣国を援助するために、隣国には悪役になってもらい、
こちらは正義の味方を演じる、
そのようにすれば、援助をする代わりに、
正義の味方というポジションが得られるという、
Win-Winが成立するのだ。

仮面ライダーは、個人営業で経済基盤が圧倒的に弱い。
ショッカーとの興行を組んでもらい、胴元から興行代をもらい、それを申告し納税している。バイク屋で生活しているのではない。これは国税が把握しているとおりである。一方のショッカーは、自分たちが悪役を演じて興行代をもらい、それをやっつける正義の味方とほぼ同額の興行代をもらっている。胴元は仮面ライダーの多分二倍程度の収入になっている。
こういう仕組みの中で、ショッカーは、仮面ライダーに、キックバックを要求するのである。仮面ライダーはそれを拒めない。悪役と正義の味方で役を分けた場合、金を払ってでも、マスコミ用に、正義の味方のポジションがほしいものなのだ。
そこを見越して、ショッカーはぎりぎりまでのキックバックを要求する。その契約が成立しさえすれば、後は、悪役を引き受けながら、財産保全と次世代の育成だけが仕事になる。ショッカーの場合、次世代に血縁を当てることはしないらしいが。

経済格差拡大の結果、
ショッカーになりたいと志願する人を確保することはできていて、
当面は困らないそうだ

グローバリゼーションの中で、
ショッカーの国際化も容易なのかと思うのだが、
各国にショッカーに相当する組織はあり、
さらに税制の問題があり、難しい。

ショッカーに必要な言葉は非常に限られていて、
その点では実にグローバルであるが、
日本の特殊性を反映して、高機能携帯を使えないと、
現場に朝集合することが難しいらしい。
そのことを他国人に強制できないし、
他国で活動するとして、携帯のインフラが弱い。
携帯がないと寂しいし、仕事の連絡にも困るし、ゲームもできないし、
目覚まし代わりにしているので、朝も起きられないし、
結局、組織としては現状維持を選択したようだ。
仮面ライダーの側も、海外興行は利益率が悪いので渋ったらしい。

ショッカーは一時、ユーザーとしてではなく、
携帯会社として国際進出を検討したこともあるが、
隊員は極端にIQが低く、
一方、有能な人間を入れると、今のままの組織では運営できないと考え、
無理だと結論した。

失業対策の側面で言えば、
自衛隊に入れば、軍事行為ではない行動という名目の、
しかし自衛隊でなければならないらしい、
ガソリンスタンドの任務に当たらなければならない。
そんなものにかり出される危険をおかすよりは、
ショッカーの方が安全でいいという若者も増えているようで、
ライダーキックで倒された後に、泡になって消滅するのはやりきれないが、
それは単に映像処理であることが、放送が面を見ていても明白で、
ショッカーに入るときの心理的妨げには全くなっていないらしい。
自衛隊なら自動車整備士になる道もあるが、
ショッカーはそのように仕組みはなく、
自分で自己啓発しなければならない。
組織がある程度大きいので、
最近ではメンタルケアの必要が法的に要請され、
EAPなどの導入が決定している。
しかしショッカーはその経費も削減したいので、
組織は別にするが、実際は一体の組織としてのEAPを
組織するということだ。
実際、ストレスの大きい、気の毒な職場である。
それを外部の人間が詳細に知り、
一種のマインドコントロールを解除してしまうと、
組織の側も困るのだが、隊員の側も、
長期にわたるPTSDと喪失感による
精神的不全を経験しなければならない。

隊員確保のためにも、
ショッカーは、新自由主義に賛成なのだという
ホリエモン、オリグチの成功と、ショッカーの勢力維持は
表裏一体なのだ
ショッカーから総理大臣を出したいとは思っていない
(ここであることを書いたが、自己検閲した)

いずれにしても、ショッカーは法人としても税を払っていないし、
メンバーは低所得だから税をほとんど払っていない
正式の雇用契約もない
だから消費税にはどちらかといえば反対である
しかしそれ以上の給付が約束されるなら、賛成するとも言い

組織の類型としては限りなくフラットで、
階層構造はなく、
直接ボスからプライベートメールが飛び込む

思想の根拠としては
アナルコ・キャピタリズムを基礎にしている
アナーキーなキャピタリズムということだが、
相続税を100パーセントにして、
みんなが同じスタート台に立つということ、
そしてその後の競争は、フリーマーケット方式ということ、
これが原則である。
だから、世の中ではびこっている、二代目、三代目は、成立しようがない。
ショッカーのメンバーは、だいたいが財産に乏しく
むしろ負債を抱えていることが多い。
アナルコ・キャピタリズムの原則に従い、
最初の資産はなし、全く平等にショッカー生活をスタートする
ここで、自分の借金をゼロにしてもらえるのだ
これは現実にとても大きな魅力だ
そしてその後は全く自分の努力だけで生き抜く
コネなんか一切なし
といっても、努力の内容としては、ライダーキックを受けるときに、
急所をはずして、かつ、派手に吹っ飛ぶという、技で、
ライダーキックが単純な技であるように、
ショッカーに要求されている技能も、単純なものである。
トヨタなどの一般社会では、
「蹴られる技」の技能大会を開こうということになるが、
ショッカーではそのようなことはしない
そんなことは学校時代だけで勘弁してくれと反感をもたれるらしい。
一方、偉くなる人、儲ける人は、制限がない
税金は安いし、ポストならばいくらでも新設すればいい
たとえば、社会保険庁の解体が決まると、
厚労省は新しい組織と権力の新設を画策している。
ショッカーは日本国の中にできたもう一つの国のようなところがある

誰でも考えることだが、
ショッカーはなぜ同時多発テロ攻撃を発想しないのか、
そこにショッカーの正体を知る糸口がある
週に一回、仮面ライダーと一騎打ちをして、いつも負ける
それはマスコミ興行というもので、プロレスと同じだ

仮面ライダーというネーミングも、
まさにプロレス方式である
第一、仮面ライダーは「仮面」とは全く関係がない
変身ライダーなのだ

必殺技も、ほぼ原始的な、プロレス技を踏襲している
ロマンはあるが実効性はない
ライダーキックというネーミングとその実態は
力道山の空手チョップとか
ジャイアント馬場の16文キックとか
そのあたりのテイストがくっきりしていて
文化人類学的に
縦にくっきりと一筋、素敵なラインが刻まれているのだ

ショッカーの今週予定の怪人が東京で仮面ライダーを足止めしている間に、
同時多発的に
福岡、愛媛、広島、神戸、大阪を制圧して、地方マスコミを独占、
ゴルバチョフとショッカーの歴史的相互理解などを演出する。
雪の降る地域は貧しいので放置しておいても、
ショッカー入隊者は維持できる。
料理が好きなので利尻昆布の北海道ははずせなくて、
京都から金沢をおさえ、
大館などの小京都で宴会の場所を確保、
おおむね北前舟のルートを占拠する。

*****
そんなことを思っている間に日ハムは勝ち、
勝利監督インタビューは、
最後に言った事を大胆に膨らませるという
大胆な技を「通訳」が展開している間に
途中でコマーシャルが入って終り
全く誰も興味がないのだということが分かり
私たちも別の話題に移っていった


Panalion

もともとは
panarion をタイトルにしようと思った
古い言葉で 薬箱 のこと
薬籠中のもの なんていうときの 薬籠 という訳語が使われる

*****
必要のない注釈であるが気が向いたので書き留めておく

昔々、キリスト教世界では異端派との抗争が盛んであった。
聖書にもいろいろと難癖をつけられる点はあるので
それをあれこれと言い立てて騒ぐ異端派の弾圧には
かなりの力をさいていたようだ。

正統派に対して、主に納得できない点は、
善なる神が善なる世界を創造したのに
どうしてこの世にはこんなにも不幸や悪が多いのかという点である。

たいていは、そのうち報われる、神様はすべてを見ている、と言い、
それで足りなければ、あの世で報われると言うわけだ。

不治の病で死んでゆくのも神のお考えであり
生まれたばかりの無垢の子どもがむごい死を与えられるのも
神の摂理だなどと言うに至っては
やはり今ひとつ説得力がなくなる。

そこでグノーシス派などの異端派が
いろいろな説を展開する。
極端なものは、この世界は、悪の神が作った悪の世界で、
善なる神は、この世界とは全く関係なく存在している、などと主張したりする。

また、世界の不幸は肉体と物質の不幸であって、魂は善であるとする。
すると、肉体と物質は徹底的に抑圧すべきだという禁欲派も発生し、
一方で、魂の善と物質や肉体は関係ないのだから、
物質と肉体は自由に快楽を求めてもいいのだという派閥も出現した。

よい子にそんな説を聞かせて、
この世界はどんなことでも許されているんだと誤解したり、
快楽にふけってもいいんだと勘違いしたりするといけないので、弾圧する。
主張者を殺し、著作は燃やし尽くす。
だから、正確なところ、異端者がどんな主張をしたのか、
現在では正確な全体像を知ることはできない。

しかしながら、キリスト教正統派は、異端を攻撃するための文書を大量に残しており、
攻撃して否定する際には、異端者が何を主張していたかを述べる必要があった。
そこで、異端攻撃文書を研究すれば、異端派の教義の内容が分かることになる。
正統派はそのようにして異端派を文献の中に保存してしまったのである。

そのような、異端から魂を守るための正統派の本のひとつが、
panarion 「薬籠」である。
異端という毒蛇に噛まれたときに、
素早くつける常備薬といった意味である。

そんな背景があって、
panarionとは、私の場合、間違った教えに対して、それを訂正する正しい考えを
用意した薬箱という意味である。

*****
しかしそれでは何とも大げさな名前をつけたようで申し訳がないし
私は日本耳だからrとlの区別なんかつかないわけで
スペルミスをしてpanalionとすることに決めた

そうすると、pana+lionみたいになり、

この子はライオンじゃないけれど、ちょっと喜ぶかと思った

この子はso-netを使っていることでも分かるように
sonyの方が好きなので、
sonalion のほうがいいと駄々をこねたが、
一応納得した

本名はpanalionで ペンネームを sonalion ソナリオン にするそうだ。
そういえば、命名というものは、自分では名前を選べない、
親の独占的権力であり、それはおかしな制度であると、
うすうす気付いているらしい。
自分の名前を親が決めるなんてなあ。

そういえば、panasonic はpan+sonicで「至る所に音」の意味になる
ドラエモンなら「どこでも音楽」である。

*****
また、panasonic を少し無理にpan+a+sonic で解釈すれば、汎+欠如+音ということになる
広汎性静寂で、これは禅みたいだ

本当はpan+electron で 造語すればよかったのにね
panele なら パネーレ で エレガントでいいなあ

*****
薬の名前は紛らわしいのが多くてみんな困っている
新薬はまだしも、ジェネリックを含めると、電子カルテで検索してもややこしいこと限りない


ーーーーー
カトリックの異端排撃を観察すると
排除や隠蔽が結局は問題そのものの永久保存になっている皮肉を感じる
それは見事なもので
グノーシス派の完全勝利だと私は思う

カトリックが永続する限りグノーシスは保存され続け
グノーシスの勝利の音は鳴り続ける

主体はそれを排除するのに
排除のゆえに浮き彫りになる

誰が見ても明白なくらい
自分は隠蔽しているつもりなのだろうか
それとも見て欲しいのだろうか
非常に疑わしいとも思われる不思議な光景である

なぜそのような隠蔽をするのかも分からない
完全無視を続けて
自己の完全性だけを言い続ければカトリックとしてはそれで良かったはず

なぜ躍起になって批判しそんなものを記録していたのか
グノーシスを記録しておきたかったからという
隠蔽された欲望があったとしか思えないのだ

ここでは隠蔽が二重に適用されていて
大変に微妙である


私有コミュニティについて

フリードマンは国家は私有コミュニティで代用できるとする
*****

完全な自由社会に対する反論でよく見られるものの一つは、道路・歩道といった公共設備の供給や、夜間大音響で音楽を楽しみたい私とベッドで眠りたい隣人との利害衝突といった外部性問題の解決には政府の介入が必要であるというものである。そしてそれに対するリバタリアンの反論で時折見られるものの一つは、このような問題の大部分は私有コミュニティによって解決されるというものである。集合住宅を供給する住宅開発会社は道路や歩道も作る。家を購入する人は公共設備を使用する権利とそれを保全してもらう権利を得る。購入者はあらかじめ設定された算出方式に従って公共設備の維持費用を分担することに同意する。

そのような私的な解決は実際によく見られるものであるが、それは外部性についてもうまく対処している。私の同僚がよく言っていたものである。自分の住む(私有)コミュニティでは近所の許可なしにドアの色も変えられないんだよと。それは契約条項の一つだったのだ。マンションというのは一つの建物に全住人が入るというだけで本質的に私有コミュニティと同じだが、その契約には隣の部屋に不当なコストを負わせる行為に関連したトラブル解決ルールが含まれているだろう。またどのような私有コミュニティにおいても、新しい状況に対処するために契約の当事者たちがそれを修正できるということは多いはずだ。

こういう私的な制度は興味深い問題を提起する。どういう意味でそれらは政府でないのか?知人のイギリス人はマンションの共同管理組合と地方自治体は本質的に同じだと言っていた。それらはいずれにしても彼がある特定の場所、つまり地方自治体の中のマンションの一室に住むという行為に対して何かしらの権威をもつ。どちらの団体も彼にルールを課す。またどちらも彼に「課税」する。(マンションがその管理費を税金と呼ぶことはないが。)どちらもルールと税金を民主主義的方法で課す。(一方は市民の投票で、もう一方はマンション住民の投票で。)ではマンションの共同管理組合が一連の問題のよい解決法だとして、いったいそれはどういう意味で私的な解決と言うのか?別の言い方をすると、そのような制度がマンション共同管理組合あるいは私有コミュニティと呼ばれるときはリバタリアンは是認するのに、なぜそれが政府と呼ばれるときは認めないのか?

この問題に対する一つの答えはリバタリアンの自然権の議論から出てくる。つまり私有コミュニティは政府と違って他人の権利を侵害することなしに存在している。住宅開発会社はまず土地をそれらの所有者から買い、政府的な制限が契約に含まれていることに同意した購入者だけに売る。一方、地方政府が存在するのは、過去のある時点において住民の多数派(場合によってはその場所が立地する国の多数派)がそれを作ることを決めたからである。同意していようといまいと、それら多数派がそこへ住んでいるすべての人間に自分たちのルールを課す。

この答えは妥当なものである。だがそれは多くの非リバタリアンを納得させるものとは思えないし、私にとってもおもしろい答えではない。この小論の目的は別の答えを提供するものであり、それは権利に対する特定の見方に依存しない。「政府的な」制度があったとして、なぜその存在の仕方が問題になるかということについてはもっと実用的なよい理由がある。そしてこれはその過程で誰かの権利が侵害されるかどうかといった話とはまったく関係がない。

地方政府を作ったり改革したりする政治も似たようなものだと思うかもしれない。有権者も結局のところ魅力的な制度のもとで暮らしたいし、したがって新しい地方政府を作ったり古い地方政府を改革したりする政治的企業家も魅力的な制度を作ろうというインセンティブがある。これはある程度まで真実である。だがそのインセンティブは私有コミュニティの場合に比べればずっと小さい。民主主義がその機能性で資本主義にとうてい及ばないのには理由がある。

一つは有権者個人に、提案された政治的変化が実際彼の利益になるかどうかということを知ろうとするインセンティブがほとんどないことである。実際に起こることについて彼の一票は小さい影響力しかもたないからだ。一方、コミュニティの購入者個人は家を買うか買わないかということで「投票」する。彼が反対票を投じるなら、ある特定の制度のセットのもとで彼が暮らすことはない。彼が賛成票を投じるなら、家を買う前にその制度を調べてみる強いインセンティブがある。少なくともその住宅開発会社が以前に販売したコミュニティについて、現在における資産価値と公共設備のコンディションをきちんと調べようとするだろう。

政府の最も重要な特徴の一つはそのサイズである。平均的なアメリカ人は、少なくとも何万人おそらくは何十万人もの市民が暮らす自治体に住んでいる。一方、マンションあるいは私有コミュニティの平均的な住人はだいたい100人程度の「私的政府」のもとで暮らしている。このことはけっして偶然ではないだろう。


もの思へばはかなき筆のすさびにも心に似たることぞ書かるる

平安朝の貴族は、
男女二人でいる時に、
無論いろいろなことをして退屈はなかったのだが、
紙に言葉を書き付けて遊ぶことがあった。
絵であることもあり、
詩文の一部であることもあり、
自作の言葉であることもある。
それは現代の男女も同じで、
たとえばはやり歌を口ずさみ、
自らの心を託したりもする。
あるいはお互い知っている歌の歌詞の一部を口にする、
あるいはメールで送る、メモに書く、
ことにより、思いがけない心を伝え合ったりしている。
たとえば、深く思ってはいけないはずの人なのに、
いつしか思ってしまったことだと二人は知ってしまったりする。
松任谷由実などなら多少の年の差も飛び越えることができるし、
今井美樹でも、まあ、チャゲアスでも用は足りる。

共通の文化的背景がないと通じないけれど、
ふと書いた断片的な言葉で、
いままで潜在的だった心が顕在化することは、
大いにあることで、
死にたいなんて思っていなかったのに、
ふと「死にたい」と書いたことで、
決心が固まったりする。
関係に踏み込もうなどとは思っていなかったのに、
ふと「今日の予定キャンセルになりました」と
秘書が部長に伝えると、
そのあとはもう、シナリオをずっと考えていたみたいに、
事柄が罪深く進んでしまい、
世の中の定まり通り、
妻に知られ、男は曖昧に逃げ、
女はメンタルクリニックで安定剤をもらうのだ。
それはもう、秘書として配属されて、
部長の香りを嗅いだ時に決まったようなものだった。

シュールリアリズムの時代に
自動筆記という楽しみがあった。
精神分析の影響で、意識は検閲の結果であると考えられ、
検閲以前の無意識の層の記述をするために、
意識作用を排除して、無意識層をそのまま自動的に記述する。
男女が何かしながら、口から出る言葉、
男女が筆を遊びながら、ふと書き付ける言葉、
それは自動筆記だ。

そこに書かれた言葉は、
自分の心の意外な一面を教えてくれるという和歌で、
とても現代的な、上智大学心理学科卒業の真央ちゃん的歌である。

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