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しろたへの袖のわかれに露おちて身にしむ色の秋風ぞふく 

定家先生

平たくいえば、

二人の袖が別れるとき、秋の露は落ちて、
秋風が身にしみる

でも、これでは足りないらしい。
まず
「風の音にけふより秋のたつたひめ身にしむ色をいかで染むらん」
を見て、
身にしむ色は紅葉色だと考える。
そして
「吹く風は色も見えねど冬くればひとりぬる夜の身にぞしみける」
を見て、吹く風は無色だが身にしむ色は紅葉色と考える。
さらに
「秋ふくはいかなる色の風なれば身にしむばかりあはれなるらん」
を読んで、秋風はどんな色なのか、と問い、
風は無色、身にしむ色は紅葉色と確認する。
ここまでお勉強して、
「身にしむ色の秋風ぞふく」を理解する。
つまり、無色の風が吹いて、身は紅葉色に染まるのだというのである。

まとめると、
清潔で神聖な白い衣を着て床を共にしたその朝、
二人の袖は重なっていたのにいま別れる。
別れに涙は落ちて、身を紅葉色に染める秋風が吹く。
こんなに紅葉色に染めるのは何色の風なのか、何色の風なのか。

ドナルド・キーン氏はこんなのが分かってしまうのだから、
舌を巻く。

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