SSブログ

バンクーバーオリンピック

精神医学にとってバンクーバーはちっょと特別な街であるし
このオリンピックの時期は私にとっても特別な時期で
オリンピックの内容についてはよく知らないとしても
バンクーバーオリンピックの頃とフラグを立てて私はこの時期を強く記憶することになるだろうと思う
しかも浅田とキムだ

昔長野のジャンプで日本チームが勝ったときの放送を地元の新しい美容院で
髪をいじられながら聞いていた覚えがある
あのころも人生の中で印象に残る時期だった


共通テーマ:日記・雑感

弾丸ダウンヒル

スキーを履いてダウンヒルを滑り降りる
回転もあり直滑降もありジャンプもあり
時速160キロでジャンプして滑り降りる

こんなに危険知らずの人間がいるのかと思うと
実に人間も様々だと思う

大けがをしたりするけれど
大けがで終わるところが超人である
あれで生きているなんて信じられない

野球のボールで160キロは極限的にすごいと思うけれど
自分が160キロで滑り降りるというのだから
もう極限を超えている

ボブスレーなども極限を超えている

カーリングはどの辺がスポーツなのかよく分からない
何の能力なのかもよく分からない


共通テーマ:日記・雑感

適性

たとえば野球のピッチャーとして優れた人材を集めるとする
全国の中学校で投球のテストをして
適性のある人材を集めるとする

そのようにして集まった人たちの中にも2種類いると考えられる

たとえば
突然のルール改正があって
ストライクゾーンが変更されたりしたとする
それでもうまく適応できる一群と
それでは適応できない一群である

適応できる一群は適応できる能力が優れている
適応できない一群はもともとそのようにプログラムされた一群である

汎用パソコンと
専用ワープロのようなものだ

できることは同じだけれど
ルールを変えると
動きの違いとか能力の違いが分かる

オリンピックでもときどきルールの改正があって
それまでの上位選手が適応できなくなったりしている

そう考えると
あるルールでいい成績を上げることの意味はなんだろうかと思ってしまう
ルールなんかに大して意味はないのに


共通テーマ:日記・雑感

バンクーバーのライバル物語

バンクーバーのライバル物語で
女子フィギュアの
浅田とキムが取り上げられている

このような特別な二人が存在することは
実に奇跡のような話で
涙なしには効くことも語ることもできないけれど
たぶん理由がある

野球だと桑田・清原のような例がある

特別なチャンピオンはライバルの努力を誘発するのだと思う
そしてふたりだけが別の次元に進む

大相撲では東西の横綱があって
ライバルが同等の地位で対決する
これはチャンピオンをひとりと決定する仕組みと違って
もっと上の次元での努力を誘発する仕組みのようである

大相撲はそのようなうまいシステムを考えた点で
実に偉大だと思う

2代目の貴乃花が
いた時代に曙も武蔵丸もいたのだから
あきれる

それぞれが別の時代にいたら
最強の横綱と言われただろう
しかしたぶん別々の時代に活躍していたら
凡庸な横綱で終わったかもしれない

同じ時代に活躍して否応なしに超えなければならない壁だったから
強くなっていったのだろうと思う

女子フィギュアのチャンピオンと二位が
ロシア人ではなくて
アジアの人でしかも充分に美しい女性である
ジャンプももちろん世界の一級品
こんな奇跡があるだろうか

個人的には
カタリーナ・ビットとか柳沼とかが印象に残っていて
ジャンプよりも優美さが大切と思っていたが
こんなに美しいジャンプがあると見せられてみるとこれには魅了されないわけにはいかない

浅田とキムはライバル物語の典型として実に興味深い

一位、二位と順位を付けることが残酷なような気もするが
そんなことを思ってしまうのは
わたしがゆとり教育に毒されているからだろうか

ーー
昔は
お化けのような化粧をした女が
ペラペラの衣装で
作り笑顔をして
足を大きく広げる競技だったものだ


共通テーマ:日記・雑感

バラの花

バラの花写真でおもしろがっているのは人間くらいで
たいていの生き物にとっては匂いの方が大事なのだと思う

バラは美しいだけではなく
香りも素晴らしいので
虫も好んで
バラはすぐに食べられてしまう

自分が美しいバラだと自覚したら
悪い虫がつかないように注意するくらいは当たり前だと思うのだが
ほぼ例外なしに
美しいバラには悪い虫がついていた

どうしようもないものだ


共通テーマ:日記・雑感

君をのみ 思ひねに寝し 夢なれば 我が心から 見つるなりけり

君をのみ  思ひねに寝し  夢なれば  我が心から  見つるなりけり  凡河内躬恒

あなたのことだけを思いながら寝た時の夢だから、あれは自分の心によって見たものなのだ

夢にその人が出てくるのは、その人が思っていてくれるからだというのが当時の解釈だと思うが、凡河内躬恒は変な解釈をして見せていて、それが現代的で、いまなら当然そうだと思える内容なので、面白い。

あなたを夢に見るのはわたしがこんなにも思っているからだ

*****
この人は他の歌でも現代的な感覚を見せている。

*****
思ひつつ  寝ればや人の  見えつらむ  夢と知りせば  覚めざらましを 小野小町

これも自分が思っているから夢に見たという発想

若い頃の話なのだろうね

年をとると、こんなのは夢だとすぐに分かっているものだ

ーーーーー
君をのみ  思ひねに寝し
の出だしの部分で
mi no mi ne ni ne などの音があり
特に
思ひねに寝し
という調べが
ヒットなんだと思う

ね が効いている


共通テーマ:日記・雑感

リハビリの感覚

正確ではないけれど
精神科のリハビリの感覚をいうと

重い荷物を持ち上げるのではなくて
重い荷物を下に下ろす感覚だ

持ち上げるときはとにかく力を入れるだけでいいのだが
上から下に下げるとなると

力を入れつつ
力を抜かなければならないので
大変難しい

ドパミンを増やしつつ
ドパミンレセプタを減らすのは
そんな感じなのではないかと思う


共通テーマ:日記・雑感

多くを与えられた人

多くを与えられた人は
多くを与えなければならない

とオリンピックに出た人が言っていた


共通テーマ:日記・雑感

鶯と花 家持を一首

鶯と花の話題が出たので。

鶯の鳴き散らすらむ春の花何時しか君と手折りかざさむ

万葉集巻17-3966 大伴家持

意味は、
Now the Uguisu must be warbling
And scattering the flowers of spring;
O when can I together with you,
Pick them to adorn our head ?
だそうです。

いつしかきみとたおりかざさん という響きがいいですね


共通テーマ:日記・雑感

価値観は異なるもの、相手思いやり夫婦円満

価値観は異なるもの、相手思いやり夫婦円満
KEYWORD夫婦|メンタルヘルス

長年一緒に暮らしているうちに、会話がない、お互いに無関心という夫婦も増えてくる。

意識しないままに、互いが嫌だと感じる言動をしていることも実は多いという。自分の行動がパートナーを思いやったものか常に意識しながら、コミュニケーションを取ることが大切だ。

兵庫県姫路市男女共同参画推進センターは先月、「熟年夫婦のための再出発セミナー」と題した計3回の連続講座を開いた。約30人が参加し、講師の「夫婦といえども違う価値観を持っている」といった話に耳を傾けた。

「子どもが巣立ち、夫婦二人きりなのに会話がない、口を開けば文句ばかりという夫婦も多い。夫婦のコミュニケーションについて見つめ直したいという人も増えています」と同センター。

電通とリクルートは昨年、シニア世代の夫婦関係について調査(50~64歳の男女1800人が回答)を行った。配偶者に対する感情を聞いたところ、「友情」が最多の42%だったが、続いて「無関心」が30%、「恋愛」は17%にとどまり、「嫌悪・不愉快」が11%もあった。50歳代前半は「恋愛」が多いが、60歳代になると「無関心」「嫌悪・不愉快」が増える傾向もあった。

家族問題などのカウンセリングを続け、「なぜか夫婦がうまくいく3つの習慣」(コスモトゥーワン)などの著書のある吉岡愛和さんは「パートナーについて『この人は、こんなもの』とあきらめがち。長年一緒だからといって、互いを十分理解しているわけではなく、関係がうまくいかない原因になっている」と指摘する。嫌だと感じる言動=別表=も、意外に知られていないという。自分の行動が相手を思いやったものか、常に意識することがコミュニケーションの第一歩。

「パートナーがしてくれてうれしかったこと」「パートナーの性格の良い点」などを書き出してみることも効果的。「あと1年しか生きられないなら夫婦で何をするか」「あと1日なら」などを書くのも、夫婦の老いと死を考え、相手を尊重することにつながる。「老いるほど支え合いが重要。それには日々の努力が必要です」と吉岡さん。

財団法人「シニアルネサンス財団」(東京)事務局長の河合和(やまと)さんは「会話がないのは、特に夫の側に情報、話題がないから。熟年夫婦は、地域の話題で会話が弾むことが多いようです」と話す。

地域の情報を得るのにお勧めなのが散歩。夫婦で歩いてもいいし、ひとりで歩いて気づいたことを話してもいい。新しい店を見つけたり、顔見知りができたりと、話題の情報源になる。地元の公民館などで開かれている文化講座やボランティアに参加するのもよい。

「男性は定年後も、家事や地域の活動で、自分の役割を見つけることが重要。程よい距離感を持つことが円満のカギです」と河合さんは話している。

◆妻が嫌だと感じること

・「いただきます」も言わず、料理に関心を示さない

・妻が重い荷物を持っても気づかない

・妻の話をうるさがる

・自分が悪かったと謝らない

・帰りが遅くても電話がない

・仕事のストレスを家に持ち込む

・よその妻と比較する

・家事を全く手伝わない

・家でだらだらしていることが多い

・自分の部屋に閉じこもってパソコンばかりしている

・妻の誕生日を忘れている

◆夫が嫌だと感じること

・夫に命令する

・帰宅するや否や不満をぶつけられる

・よその夫と比較する

・夫の知らないところで大切なことを決める

・仕事の苦労を知らなすぎる

・給料が少ないと不満を言う

・身だしなみをきちんとしていない

・子どもの前で夫の悪口

・家の中が汚い

・優先順位が子どもの次

・家の中に決まった席がない

(記事提供:読売新聞)



共通テーマ:日記・雑感

虫歯にしない競争

兄弟がいて、
「先に虫歯が出来た方が負け」と
母親に言われて、
食事や歯磨きに注意したとのこと。
うまい母親である。

共通テーマ:日記・雑感

われわれは知性の売春婦なのだ

『ニューヨークタイムズ』の記者だったジョン・スウィントンは次のような名演説をした。

 「今日のアメリカにおいて、報道の自由などというものは存在しない。わたしは正直な意見を新聞に書かないことで給料をもらっている。われわれは金持ちたちの舞台裏の道具であり、召し使いだ。われわれは知性の売春婦なのだ」

マスコミをめぐっては、記者クラブ制や再販制度、広告、電波の許認可制などさまざまな制約があるから、記者が無意識でも権力の手先として働くことになるのだろう。ただし、わが国の場合、マスコミを支配する「金持ち」は外国の資本家であり、わが国の政府は彼らが牛耳る米国に操縦されている。わが国におけるジャーナリズムの目的とは、真実を隠し、外国による支配を円滑にすることではないか。

竹中平蔵氏らのインサイダー疑惑を指摘していた植草一秀元教授の痴漢容疑は、裁判で無実を決定づける証言が出てきた。起訴状で犯行があったとされる時間帯に植草氏が何もしてなかったことを、7月4日の公判で目撃者が明かした。しかし、どのマスコミもこのことに触れず、「大した証言は出てこなかった」と片付けている。

 このことは現在のわが国についても言えるのではないか。全国で商店街の衰退が続いているが、NHKや新聞各紙は商店主の頑張りや行政のてこ入れで客を取り戻したわずかな成功事例を紹介するばかり。原因である大店法の廃止に触れることはない。

 地方の医師不足が深刻だが、この原因は医局制の廃止と診療報酬のマイナス改定にある。しかし、マスコミはこのことに触れず、医師の増員を説く専門家の話と、創意工夫で乗り切る地域を紹介するだけである。

 農水省の統計によれば、前回の調査から全国で500の集落が消失し、全国の過疎地比率は50パーセントを超えた。2000年の農地法改正が離農に拍車を掛けた形だが、食管法廃止に始まる農業自由化と関係づける報道を見たことがない。ある新聞は農水省の後援も得て、大規模化と法人化による成功事例を紹介するばかりである。

 5月に会社法が施行された。外国株対価の合併を認め、外資による国内企業の買収を円滑にする三角合併の解禁が盛り込まれている。しかしマスコミは、「一円から会社が設立できるようになった」「企業の社会的責任を重視する世論に応えた」と礼賛してきた。

 余剰弁護士を抱える米国は、わが国をリーガルマーケットにするため司法制度改革を要求した。しかし、マスコミは「日本は弁護士が足りない」「裁判を身近に」と宣伝。改革が持つ本当の意味に触れず、新試験の合格率が目標を下回ったことや不合格者の進路などを問題にしている。

 郵政民営化で10月以降、わが国は国債売却による金融システム崩壊の危機を抱える。しかし、マスコミは「郵政選挙」で国益擁護派議員を「抵抗勢力」とたたき、“刺客”を「小泉チルドレン」と持ち上げた。公社職員の給与に一切税金は使われていないのに、「公務員10万人を減らせる」との小泉前首相のデマを宣伝した。

 道路公団の赤字体質を宣伝し、民営化に追いやった。しかし、公団は一貫した黒字経営で、償還準備金を12兆円も積み立て無料化寸前だった。

 社会保険庁の解体を招いたのは年金納付率の低下が非難されてのことだったが、2002年に徴収業務を市町村から引き上げたことをどのマスコミも伝えない。米国は、公的年金を運用受託する米国の金融機関が運用先の日本企業で株主権限を行使(委任投票)できるよう求めてきた。年金記録のずさん管理が大報道された末に出てきたのは、ICチップを使って個人情報を一元管理する「社会保障カード」の導入である。米国はこの数年、無線ICチップの導入も求めている。

 これらの改革はすべて、毎年米国から出される『年次改革要望書』に明記されているが、どの新聞もこの文書をまともに取り上げていない。

共通テーマ:日記・雑感

絶望から真空は作られそこに恩寵が宿る

恩寵が入り込む真空を作るには絶望が必要である。
真空、すなわち暗い夜がなければならない。
(シモーヌ・ベイユ)

絶望から真空は作られ、
そこに恩寵が宿る。

美しい。
そうであって欲しい。

ただ絶望のみでとどまることの何と多いことだろう。
http://special.security.yahoo.co.jp/stpchpor/1/index.html
このページで、
少女が性的被害を受けた後の現状がレポートされている。

真空も恩寵も、出現していないのである。
これで世界の帳尻は合っているのだろうか?
神の不在を、なお、神の摂理ととらえ、待てばいいのか。

結局、絶望だけがあり、
この湿った風土で、真空も恩寵も腐っている。
夏の腐った生ごみのように臭う。

共通テーマ:日記・雑感

コンピュータのもたらす全能感

コンピュータは全能の幻想をもたらす。

幼児期に母親に抱かれて
全能の幻想を抱き、そこから醒めきらないうちに
コンピュータの全能感に移行すると、
幼児的全能感を保存したままで成長することになる。
コンピュータの全能感でなくても、
何か操作して、ほぼ思い通りになる対象物があれば、全能感は保存できる。

その場合に、次の段階に移行できない。
現実を受け容れて妥協する段階に行くことができない。

共通テーマ:日記・雑感

DRD4「新奇性追求」

DRD4という「新奇性追求」の遺伝子がある
(という言い方そのものが粗雑だろうとわたしは思うが)

この遺伝子がD4ドーパミンレセプターの頻度を決めているといわれている


によれば配偶者選択で遺伝的に似ていない相手を選ぶ傾向とDRD4が関係している

(ほとんど新奇性追求という言葉の言い換えでしかないと思うが、それを実証しているらしい)

ーー
昔の論文で、白血球のタイプわけで、HLAによってマウスを分類しておいて、配偶行動を見ると、
なるべく自分とは異なった遺伝子の相手を選ぶようだとの報告があった
いつも同じことをしている
だいたい弟子筋

ーー
DRD4と移民、政治的リベラルまで関係づけられていて、なかなか興味深い。

ーー

personalityについてかなり割り切った論文

まさかと思うが論文掲載されていることでもあるし、一応記録

the framework of evolutionary psychology には賛成

ーー
「北海道の人はアメリカ人的で、幸福も当惑も周りの人間よりも自分自身を中心にしている」

という論文もあり、これは開拓時代から続く、文化の永続化したものなのだという。

北海道民の遺伝子を調べてみれば、間違いなくDRD4がlongなはずで、

北海道はアメリカと同じく、自発的に移民した人々が住んでいるが、

彼らは独立心が旺盛で、人との関係よりも自分の目標を自分で設定する人々であって、

傍証としては北海道は離婚も多いし、独居老人も多い、ということになるらしい。

いや、寒いからじゃないかとか、人口密度が低いからだとか、いろいろ。

そんな人たちならば北海道に定住するということ自体がおかしいだろうとも言えるし。

ーー
学者が仕事をするということはこの程度のもので、その中から、本当に価値のあるものが生まれる。

大目に見ておこう。


共通テーマ:日記・雑感

お試し同棲

結婚の話をしていたら
半年くらい同棲して人間を確かめてから
結婚するくらいでないと危なくてできるはずがない
と言われた

結婚はそんなものなのか?
同棲して確認するというくらいなら
そんなのは愛でもなんでもないだろう

そんな人たちは
同棲して確認してもだめだろうし
さきに婚姻届を出してもどうせだめだろう
どっち道だめな結婚だと思う

共通テーマ:日記・雑感

ロナセン

セレネースとリスパダールの中間のイメージ

陽性症状に対してはセレネースやリスパダールと同程度の効果。
陰性症状に対してはセレネースより優位。
体重増加、高プロラクチン血症、起立性底血圧は先行両剤よりも少ない。

SDA全般の中では、ドーパミン遮断がセロトニン遮断よりもまさっている。

1.中脳辺縁系のドーパミン(D2)を遮断して陽性症状を改善する。こちらはセロトニンが関係ないらしい。
2.中脳皮質系のセロトニンを遮断して、中脳皮質系のドーパミン(D2)が出やすくなって、陰性症状が改善される。

複雑である。
使用量と投与時間によっても、作用に「味」が出てくるだろう。

セレネースやコントミンは場所によらずD2を遮断するので、陽性症状は抑えられるが、
陰性症状は悪化する。

陰性症状は中脳皮質系のドーパミン減少が原因とすれば、
元気がないからといって、SSRIをうっかり加えても、効果がないし、逆向きに効くことだって考えられる。
だから、SSRIではなく、SDAでまずみてみようといとう発想にもなる。

SSRIで基本的にうつ病に対処して、その上で、SDAの反応を見て見ることも方法である。

パキシルとリスパダールを併用すると、リスパダールの血中濃度が上がってしまう。パキシルがCYP2D6を阻害するからである。そのあたりを考慮して、パキシルに何か加えて処方したい場合、リスパダール以外のSDAが適していて、たとえばロナセンは大丈夫。ロナセンはCYP3A4が関係している。

MeltzerのいうSDA仮説では、ドーパミンD2よりもセロトニンHT2Aに強く親和性を持つことがいわれている。
これまでのSDAではそうだった。ロナセンは逆で、セロトニンHT2Aよりも、ドーパミンD2に親和性が高い。
この点では、SDAよりもセレネースに近いわけで、
しかしEPSなどの副作用は強くない。

最近問題になる体重増加や耐糖能異常についても、結果はいいようだ。



共通テーマ:日記・雑感

心は君に寄りにしものを

あづさ弓引けど引かねどむかしより 心は君に寄りにしものを

あづさ弓ってよくわかんないけど
もうまえから
心はあなたのものなのよ

あづさは呪力のある植物
武具や神事に用いられた

寄り添う心
いたわしや



共通テーマ:日記・雑感

中野雄著『丸山眞男 音楽の対話』 第九の歌詞と音楽

ベートーベン(a.k.a.ベートーヴェン)第九の歌詞と音楽
と題して、興味深いページがある。
内容と言い、体裁と言い、センスがある。
将来はこんなページをつくりたいものだと希望している。

また、友人との話で、中野雄著『丸山眞男 音楽の対話』
が話題になった。かすかに思い出した。
また
丸山眞男&吉田秀和 みすず書房「逆説としての現代」収録の両者の対談「芸術と政治」
のことを教えられた。これは初耳。

この忙しいときに、
どうしてそんなことを教えるのだ!
また、寝不足。



共通テーマ:日記・雑感

はな

201001281.JPG201001311.JPG201001312.JPG201001313.JPG201001314.JPG201001315.JPG201001316.JPG201001291.JPG

共通テーマ:日記・雑感

強い意志

強い意志がある人は
人にも要求する面があり
難しい
自分が、意志が弱い人は
人にも多くは要求しない面もあり
結局こちらも緊張しないということもある
それがいいとも言えないが


共通テーマ:日記・雑感

はな

botan1.jpgfh000040.thumbnail.jpg

共通テーマ:日記・雑感

はな

hana019.jpghana021.jpghana025.jpg

共通テーマ:日記・雑感

バリ島


head_01.jpg
head_02.jpg
head_03.jpg


共通テーマ:日記・雑感

杜甫

天才なら杜甫
日本なら西行
現代なら加賀乙彦

大変な秀才で世評も高いのに
残念なことだ



共通テーマ:日記・雑感

処方せん記載方法の標準化を公表 厚労省

厚生労働省は1月29日、内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会の報告書を公表した。同検討会は09年5月から11月にかけて5回行われ、処方せん記載方法の標準化などについて幅広く検討した。内服薬処方せん記載の在るべき姿として、
(1)「薬名」は薬価基準に記載されている製剤名を記載する
(2)「分量」は最小基本単位の1回量を記載する
(3)散剤および液剤の「分量」は製剤量を記載する
(4)「用法・用量」における服用回数・服用のタイミングについては標準化を行い、「×3」など情報伝達エラーの生じやすい表現を排除し、「1日3回朝昼夕食後」など日本語で明確に記載する
(5)「用法・用量」における服用日数は、実際の投与日数を記載する
―が基準とされた。

この基準をもとに、処方オーダリングシステムや電子カルテシステムなどの入力方法について、短期的に着手すべき方策と長期的視点で取り組む方策が示された。移行期間については厚労省が同報告書を周知するとともに、内服薬処方せんの記載のあるべき姿の移行状況について、2~3年で中間評価を行い、再検討しつつ進める。



共通テーマ:日記・雑感

だまされる自己愛

子どもは親に愛されて、自己愛にくるまれて暮らしています。
生活範囲が広がると、自分が一番だといってくれていたのは親馬鹿だからで、
世間というものはそうではないのだと気がつきます。
そして社会化が始まります。
これが小学校からの学童、思春期になるわけですが、
ここで、母親の愛情にくるまれた状態から、
ネットにくるまれた状態に移行してしまうと、自己愛の健全な発達が止まってしまいます。
それが俺様型自己愛人間です。

人を容易に信用しない子供達が、ネットやテレビの情報はすんなり信用してしまう。
それはとても不思議でしょう。

それはネットやテレビの情報は自己愛を肯定してくれるからなんです。

基本的にネットもテレビも最終的にスイッチを切る権利は子ども側にあります

その上で、ネットやテレビは子どもを惹きつけようとします

それはひたすら甘い言葉でもいいし、きつそうに見えて実は魔術的な甘い言葉でもいいわけです、

これまではダメだった、このままではこれからもダメだ、でも、素晴らしい方法がある、君だけに教えよう

みたいな感じだと自己愛はすごく満足できるわけです

特別感がうれしいのだと思います


共通テーマ:日記・雑感

fu

201001281.JPG

201001311.JPG

201001312.JPG

201001314.JPG

201001315.JPG

201001316.JPG


共通テーマ:日記・雑感

統合失調症とうつ-6

Ⅰ既知の事項のまとめ

1.統合失調症ではうつ状態が認められる例は多く、古くから指摘されてきた。しかもあらゆる病相で認められる。また統合失調症の場合に約10%は自殺するといわれ、一般人口に比較して9~30倍といわれている。統合失調症に際しては、うつ状態と自殺が直結するものもあり、統合失調症そのものが自殺と直結するものもあり治療も異なるのであるが、すべての病期を通じて、自殺を防止することが重要である。
 一方、うつ状態は、不眠、食欲不振、不安、意欲低下などと共に、一般に何かの不調の始まりのサインであることが多く、疾患特異性は少ないと考えられる。

2.統合失調症患者がうつ状態を呈するとき、鑑別診断が重要である。

1)統合失調症前駆期のうつ状態。つまり、幻聴、させられ体験、被害妄想などが発現する前に見られるうつ状態である。これを統合失調症を基礎とするものと診断することは容易ではないが、相談時の年齢が30歳以下であること、遺伝歴があること、社会適応が悪いことなどが発見の手がかりとなることもある。うつ状態の形をとることもあれば、うつ状態類似の統合失調症性陰性症状の形をとることもある。児童思春期の場合には疾患の鑑別も難しいし、薬剤に対する反応が予測しにくいので治療も難しい。
 治療としては少量のSulpirideが有効であることが多い。女性の場合には高プロラクチン血症による副作用が出ることが多いので、クロチアゼパムなどのベンゾジアゼピンを用いる。遺伝歴など明白な場合にはSDAで開始する。統合失調症前駆期のうつ状態を考えたときにはSSRIなどの抗うつ剤は、自殺の危険を高める可能性を考えて、使用しない場合もあり、むしろバルブロ酸などで経過を見ることもある。精神療法としては、症状と距離をとり対象化することを目標とする認知療法がよい。

2)統合失調症急性期におけるうつ状態。つまり、幻聴、させられ体験、被害妄想とともに見られるうつ状態である。統合失調感情障害の可能性も考える。この場合には充分量のドパミン遮断薬が有効である。病識が残存する場合、二次的に抑うつ状態を呈することもあるが、その場合も、抗精神病薬で対処する。精神療法としては、寄り添うこととなる。

3)統合失調症急性期後のうつ状態。精神病後抑うつ(postpsychotic depression)と呼ばれているものである。これは疲弊性うつ状態と陰性症状、さらには薬物性のうつ状態とに鑑別できるはずのものである。実際には容易ではないが、疲弊性うつ状態の場合には疲弊に加えて病識の部分的回復も見られ、悲観的、憂うつ、自責的であり、陰性症状の場合にはむしろ、意欲減退、興味喪失、無為、自閉などが目立つ。
 統合失調症急性期後疲弊性うつ状態の場合には、抗うつ剤は有効、無効、有害の各説があるが、私見ではSDAと併用する形でSSRIやアモキサピンなどを使用してよいと思われる。ただし自殺には充分注意をする。SDAとSSRIの併用に際しては、酵素の代謝の関係で、お互いに作用を強め合うと言われている点にも注意を要する。
 陰性症状の場合には、SDAを調節・変薬しながら経過を見る。アリピプラゾールやブロナセリンを使うことが多い。
 薬物性うつ状態の場合には高力価の第一世代ドパミン遮断薬を大量に使っている場合が多く、不快気分と活動性低下が主症状となる。SDAの方が薬原性うつを起こしにくいと考えられている。SDAが使用され始めた当初はawakening(めざめ現象)に注意すべきと言われた。認知が急速に改善し、病識が回復すると、抑うつと自殺の危険が高まることが理由である。現在は第一選択薬がSDAであるから、昔ほどの危険はないと思われる。
 気分安定剤としてバルプロ酸やカルバマゼピンが使用される事もあり、これは自殺の危険を考えてのことである。しかしFDAは2008年に抗てんかん薬自体が自殺をリスクを高めると注意喚起し、それに対してはアメリカてんかん学会でメタ解析の方法などについて異議が提出された。私見としては、FDAの注意喚起とは次元の違う問題であるが、量によっては意識覚醒状態に影響を与えることがまず大きな要因かと思う。
 以上のように、抗精神病薬が全般に自殺のリスクを高めるとの報告があり、うつ状態に抗うつ剤を使えば自殺の行動化の危険があり、抗てんかん薬も上記のような警告もあり、自殺については、どの薬の場合にも、慎重に対処したい。
 薬剤によって引き起こされる症状として、アキネジア性抑うつと呼ばれるものがあり、活動量減少、無気力、無関心を主徴とする。主剤を減量または変更するか抗パーキンソン薬を加えるかする。この場合に主剤を増量すると悪化すると理論の本には書かれているが、実際には増量してうまく行く場合もあり、明確な指針とはしにくい。先輩に指導してもらうのがよい。ブロマゼパムを加えるとよいというのも先輩からの豆知識である。焦燥感を主とするアカシジアもうつ状態の焦燥感と似るが、これも同様の対処でよい。また、薬剤性パーキンソン症状が優位になるとアパシー(無欲動)、アンヘドニア(失快楽)などが見られる。これも同様の対処でよい。アカシジアに対しては抗パーキンソン剤を推奨しないガイドラインもあり、別の本ではベンゾジアゼピンとβブロッカーを推奨している。
 精神療法としては、病識回復にあたっての絶望と不安を受容支持する事である。自殺について積極的に話題にし、些細なきっかけも見逃さない。必要があれば入院を勧める。デイケア、通所作業所などの精神科リハビリテーションでは、患者の回復に合った課題を提案し、役割と居場所を提供し、自尊心を回復させることができる。また、家族と一時的に距離をとることができる。治療者の方が早足になってはならない。
 認知行動療法としては、認知の暗黙の否定的構え(スキーマ)があれば、それに対して働きかける。教育的観点からは、医学の発展もあり、社会の進歩もあり、決して悲観する必要のないことを伝える。また、自分が今回急性期に至ったきっかけを分析することで、再発のパターンを知り、次回の増悪に備えることができる。また、統合失調症の長期経過を示すことによって、次の急性増悪の予防が大切であること、そのために継続的服薬が大切であることを理解していただく。
 また、一定のレベルダウンのあった患者さんには、SSTのテクニックを用いて、日常生活に支障の少ないよう工夫を施していく。焦らずに着実に治療を進め社会に関わるためには、家族の理解と協力が不可欠である。早い時期に家族を治療協力者として役割を与え、位置づける。各種の社会福祉制度の利用も大切で、年金や施設の利用、また自助グループ(たとえばベテルの会)などで患者同士が啓発し合うことで深刻な抑うつから免れることができた例も多い。
 薬剤のアドヒランスを高めるためには漢方薬を併用することも方法である。精神安定のために柴胡剤(柴胡加竜骨牡蛎湯や柴胡桂枝乾姜湯)を中心にして、気を補う補剤(補中益気湯や十全大補湯)を用いたり、また不安に対して半夏厚朴湯、また女性の場合の生理周期と関係した不調に当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、桃核承気湯、などを病期に応じて最適なものを調整する。

4)疲弊期から回復しても統合失調性のレベルダウンが残り、うつ状態に類した病像を呈する場合。残遺期と呼んでいるが、環境刺激に弱いので、疎外体験や孤立体験のあった場合や自殺念慮のある場合は入院治療が勧められる。SDAを調整して不足のある場合にはSSRIを加えることがある。

5)総じて、統合失調症の再発と自殺を防ぐことが第一目標となるが、QOLを改善することも大きな目標である。どのようにすれば統合失調症が根治するのか、分かっていない。

Ⅱ背景となる仮説
 診察をするとき、どのようなイメージを持って判断しているか、自由連想風に書いてみようと思う。

 初診でうつ状態を呈している場合、うつ状態は統合失調症を否定しないし、甲状腺機能異常や副腎皮質ホルモン異常などの身体病であることもあり、認知症の始まりであることもあり、脳梗塞の症状であることもある。諸検査で身体病が除外されたら、年齢を目安にして、15から30歳ならば統合失調症と躁うつ病の可能性、30-50歳ならばうつ病と躁うつ病の可能性、50歳以上ならばうつ病と認知症の可能性を考える。

 遺伝歴は重要である。家族の雰囲気も重要である。病前性格についてチェックする。また、病前の社会適応についてチェックする。対人距離の取り方は、その人の生来のドパミンレセプターの敏感さを反映しているだろう。敏感ならば対人距離を大きくとる。

 幻聴もない、被害妄想もない、しかし、憂うつで興味減退があり、不眠で、食欲は増減があり、自責感があり、周囲の人たちとうまくなじめない、そんな20歳の大学生女性が初診で話をしているとする。積極的に統合失調症と診断するエピソードはないとしても、過剰な敏感さは感じられる。

 たとえばひとつの可能性はこうである。その人は生まれたときからドパミンレセプターが過剰で過敏な性質であった。人と同じ体験をしても過剰にドパミンを伝達してしまい、苦しいので、引きこもりがちになる。家にいると自然に読書に親しむようになる。成績は悪くない。肯定される。このようにしてドパミンレセプター過敏のままで、成長し、過敏さを保ちながら、何とか破綻しないで生活する方法を身につけている。しかし思春期になり、引きこもりがちではいけないと思い、異性に出会い、社会での自分を生きるので、「金、色、面子、健康」などを主題にして過剰なドパミンにさらされ、耐え難い違和感に直面する。性的場面や社会的序列を意識する場面でドパミンは放出され、そこを出発点にして自分の過敏さに傷つくようになる。非常に軽いとしても、自我障害の側面はないか、疑う。

 ドパミンD2受容体仮説は1960年代からのもので、中脳辺縁系のドパミン神経過活動が陽性症状と関係し、中脳皮質系でのドパミン神経の抑制が陰性症状や認知機能低下と関係するとする説である。黒質線条体でのドパミン神経抑制はEPSの出現に関係している。第一世代のドパミン遮断薬は中脳辺縁系をブロックして陽性症状を沈静化するが、同時に中脳皮質系をブロックするので陰性症状は悪化し、黒質線条体系のドパミンブロックでパーキンソン症状が現れる。最近のSDAの例で言えば、ブロナセリンは中脳辺縁系ドパミン伝達を抑制し、中脳皮質系ドパミン伝達を促進するとの説がある。これは理想的なプロフィールなのであるが実際にはさらにいろいろな要因があるのか、期待通りには行かない場合もある。アリピプラゾールはドパミン遮断と言うよりもドパミンスタビライザーと言われているが、これもまだ臨床的評価の途中である。両剤とも、従来薬剤に比較すれば、うつに対してはよい対策であるように思う。クエチアピンやオランザピンはMARTAと呼ばれることがあるように、ドパミン、セロトニンだけではなく、さらに多種類のレセプター部分に作用して効果を発揮するので、患者の特性に応じたものが見つかれば有効である。ドパミンについてはD2だけではなくD3やD4の関与も議論されている。症状の消長だけではなくQOLを改善する観点に立てばMARTAやSDAを活用し、錠剤数と服薬回数を減らす方針もよい。

 自我障害について考えてみる。動物の神経系は「感覚器で刺激受容」→脳の処理「自動機械」(無意識に反応している部分)→筋肉の反応→現実の結果→「感覚器で刺激受容」というように現実と脳を両側においてループを形成している。これだけならば自意識は発生しない。「自動機械」だけが存在していると形容してもいいだろう。猫などは多分これだけだろう。
 人間の場合、刺激を受容し、その出力としての筋肉の反応の間に、脳内の「世界モデル」を発生させ、行動の結果をシミュレーションする。そして、脳内の「世界モデル」から出力された信号と、「自動機械」が出した実際の行動の結果の信号を、比較検討する。違いがあれば脳内「世界モデル」を訂正することによって、さらに正確な予測ができるようにする。
 たとえばこのくらいの力で地面を蹴ったら体はどのように進むか、そのようなことをシミュレーションしながら、同時に結果を修正しながら、生きている。ある程度安定した世界に生きていれば、予測は次第に正確になり、「世界モデル」と「自動機械」は必要な部分でほぼ一致するようになる。「自動機械」は世界の必要部分のよい転写である。それをさらに転写して内部に蓄えるのが「世界モデル」である。年をとって筋肉が弱くなったとき、「昔のままの世界モデル」では通用しないのだと悟り、「世界モデル」を修正する。「世界モデル」そのものが現実とずれているとき、認知障害や行動障害となり、一部は性格障害となる。
 「世界モデル」が現実を転写する機能は、運動における小脳の機能と似ている。また受動意識仮説の「リベットの実験」については多くの論文がある。

  「世界モデル」からの出力と「自動機械」からの出力は、時間差があり、常に「世界モデル」からの出力が、比較照合部分に一瞬早く届くように調整されている。このことから、能動感や行為の自己所属感が生じる。(私の理論である「時間遅延理論」)。つまり、人間は「自動機械」部分だけで生きて行くには充分であるが、「世界モデル」部分があることによって自意識が発生する。この自意識が発生したおかげで時間が発生し、未来と目的が発生した。これは人間を強く特徴づけるものであるが、進化の最後に発生した部分であり、壊れやすい。
 「時間遅延理論」でいうと、自由意志は錯覚であり、自我障害は錯覚が失われる苦しみということになる。自由意志の錯覚は人間が当たり前に人間らしく生きるために必要な錯覚といっていいだろう。だからこそまた、このような説明には、納得しない人も多いだろう。長い時間をかけて納得されてゆくだろうし、そのうちには自由意志という言葉の意味も変化するだろう。

 そもそも考えてみれば、各感覚器から脳の処理部位に信号が伝達されるのは同時ではない。しかしそれを同時であると見なして現実を構成している。同時と見せるように時間調整をしている部位があると考えられる。

 「世界モデル」からの出力が「自動機械」からの出力に遅れると、自我障害となり、遅れの程度によって、させられ体験、強迫性体験、幻聴、自生思考などになる。これが統合失調症の急性期の事態である。例えば、幻聴は、自分で話そうと思ったことの出力が「自動機械」側が先になり「世界モデル」側からがあとになるので、他人が話している、聞きたくもないことを聞かされていると知覚することになる。

 ドパミン遮断薬はその特性によって、「世界モデル」からの出力と「自動機械」からの出力のそれぞれを違う程度に遅延させる。もっとも強力な薬剤は、両方とも大きく遅延させる。この場合は、「自動機械」も停止してしまうくらいで、これが薬剤過量による不快気分と活動性低下である。ある程度マイルドな処方にすると、「自動機械」からの出力はやや遅延させ、「世界モデル」からの出力は遅延させない。こうなると、自我障害は改善する。逆に、薬剤の特性によっては「自動機械」からの出力を遅延させず、「世界モデル」からの出力を遅延させるものだと、自我障害は改善しない。ブロナセリンのプロフィールはこの理論によく一致していて、中脳辺縁系と中脳皮質系への効果の差と考えても、さらに前頭前野などへの効果の差もあるのかと考えてもよさそうである。アリピプラゾールも同様に中脳辺縁系でドパミンを抑え、中脳皮質系でドパミンを増やすと言われていて、これも時間遅延モデルをよく補強する。

 一方、SDAの効果として、セロトニン系への関与が重要だと言われており、セロトニン5-HT2A受容体が遮断され、黒質線条体ではドパミン分泌促進につながり、前頭前野でドパミン分泌促進して陰性症状を改善すると言われている。統合失調症のうつの場合にSSRIを加えるのが有効であり、逆に、うつ病の場合に、SSRIだけで対処できない場合にはSDAを少量使って有効なことがある。このあたりからも、ドパミン系とセロトニン系はかなり影響し合っているのが分かる。さらに抗てんかん薬はグルタミン酸系やGABA系に作用して神経を保護している。グルタミン酸系をアクセル、GABA系をブレーキと考えて、アクセルを抑制し、ブレーキを促進すると説明されている。抗精神病薬も抗うつ薬も飲めば最初は眠くなり、そのことは脳神経を保護するのだろうと思う。

 自我障害が続くとうつ状態になるが、疲弊性以外にうつ状態の説明があるかといえば、難しい。例えば、精神病極期にはドパミンなどのモノアミン系が使い果たされて、モノアミン系枯渇状態にあるのだと説明することはできる。そのことを疲弊の実体だと考えてもいいだろう。そうであれば、ドパミン遮断剤はマイルドに使い、セロトニン系抗うつ剤を重ねて使用しても意味がある。時間遅延性の症状にはドパミン系を、疲弊性にはセロトニン系をと考える。

 自我障害が発生した場合の心理的外傷は大きく、充分に抑うつの原因となりうる。また、自分の現在と未来を考えて、悲観的になることも理解できる。こうした事情を含んで精神病後疲弊性抑うつと呼んでいる。この場合には、心因反応として、悲哀のエピソードのあとの抑うつともメカニズムは似ているし、躁うつ病において、躁状態のあとの疲弊性のうつ状態ともメカニズムは似ている。しかし躁うつ病の場合には、疲弊性うつが終わったあとに、本質的なうつ病が進行することが分かっている。自我障害のあとには疲弊性うつが前景に立つ時期があり、そのあとは陰性症状が主となる。このあたりを微細に診察することで症候学としての稔りがあるかもしれない。治療としては、セロトニン系の調整を眼目とする薬剤を用いてよい。自殺には充分注意し、面接の感覚を1週間程度に短めに設定する。場合によってはさらに短くし、家族と連携し、必要に応じて入院治療も考慮する。

 薬剤を用いる場合に、脳血液関門のことも気になる。犬のコリーは脳血液関門が弱くなる突然変異を維持しているので、普通犬に使う薬も使えない場合があるという。おそらく、脳血液関門が弱いので、気まぐれに何かを食べたりするとつらい思いをするのだろう。そこから食行動について気まぐれを排除する性格が発達し、それが食行動以外の行動全般に広がり、人間にとって信頼性の高い犬になったのかもしれない。人間の場合、性格の違いや認知の違いの原因として神経伝達物質の他に、たとえば脳血液関門が考えられないだろうか。薬剤を組み合わせて使用するとき、脳血液関門の通りやすさに違いが出てくることも考えられる。一緒なら通りやすいとかの可能性もあるし逆もあるだろう。

 認知療法で働きかけているのは「自動機械」に対してなのか「世界モデル」に対してなのか、治療者が意識するといいかもしれない。

Ⅲ統合失調症のリハビリについて
 統合失調症のリハビリにおいては、残遺期のうつ状態に類したレベルダウンした状態に対して行うことが多い。その場合に治療者の恐れることは再発・再燃と自殺である。そこで薬剤はなるべく維持しようとする。ドパミン遮断剤を維持すると、ドパミンレセプターにおけるアップレギュレーションが起こる。つまり、薬剤で蓋をしているけれども、実際のレセプター量は増えてしまい、潜在的な過敏さを作り出す。デイケアなどの場面においては、コントロールしつつといえども、少しずつドパミンを放出する活動をするのであって、そこにアドヒランスの悪さがあったりすると、潜在的な過敏さが形成されているので、再発再燃に至る。治療者はそれが怖いのでやはり薬剤を増量する。するとまた潜在的過敏性が用意されるという悪循環が形成される。
 この矛盾を回避するには、まず薬剤を少し減らして、かつ、デイケアでの活動量を増やして、ドパミンレセプターのダウンレギュレーションを目標にしなければならない。しかしながら、薬剤を減量することも、活動量を増やすことも、再発再燃につながるので、慎重かつ細心のプログラムが必要である。うつ病に類した状態からの脱出はなかなか容易ではない。







共通テーマ:日記・雑感

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。