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「オルセー美術館展」都美

東京都美術館において「オルセー美術館展」。
午後2時に到着したら、沢山の人。入場口で入館制限をしていて、20分待ちと表示されている。
係員がつきっきりで誘導している。大変な人気。
実際に20分、満員電車に揺られる感じで待っていた。
まわりを見渡してみると、私と同じように暇人が多いようだ。
退職後の男性。その配偶者。
女性同士なら主婦のような人たち。
学生さんのような連れ合いも多い。
いずれにしても、社会の中核をになう人たちではない。
多分、いまここで大量殺人があったとしても、日本国や東南アジアは何の支障もなく動き続けるだろう。
地下鉄霞ヶ関駅で朝の満員電車を破壊すれば、かなりの社会的支障が出るだろう。
そんなことを思いつつ、やっと入場。

最近はテレビがやたらに鮮明映像を提供してくれるので、
実物といってもたいして感激もしないのだが、
今日は別の意味での臨場感を味わった。

まず人だかりで、後ろにいたのではよく見えない。
仕方がないので前にいくと、今度は身動きがとれない。
従って、一分間に10㎝ほどののろのろ観覧となった。
そばにいる人たちの話し声が聞こえる。

モネ
モネ!
モネ
モネ?
モネ
モネ
きれい
すごい
きれい
見たことある
きれい
すごい
解説を朗読する人あり
解説をさらに解説する人あり

とにかく、うるさいのだ

私にとって絵画の楽しみは
もちろん瞬間の超越である
一瞬の覚醒を味わえるかどうかそれが私の欲求である
しかしこんな喧噪の中では覚醒などあり得ない

これでは人民公社の農民工作隊ではないか
私は自分のインテリ臭さを自己反省しなくてはいけないのかもしれない

ルノアール
ルノアール!
ルノアール
ルノアール?
友達にね、ルノアール好きな子がいてね、こんな感じの絵を描いてるよ、
そうそう、こんな感じ、よく似てる!
キラキラしているね
きれい
すごい
すごい
うまい
きれい

私はこんな人達の中で何をしているのだろう
変なところに迷い込んだものだ
ここは幼稚園のようなところなのか
知能指数が100くらい低くなる感じだ
(感じだを変換したらしつこくカンジダと出続ける こんなことも不如意だ)
老夫婦は語る
疲れたな
座りたい
もうひとがんばり
まわりを見渡すと杖をついている人も多い
おむつを当てているようなおしりの形の人も多い

セザンヌだ
セザンヌ
山だ!
ああ、山
また同じ言葉のくり返し
あ、これ、見たことある
ゴッホとゴーギャンは最初……
ゴッホのこの絵黄色いでしょ
精神分析でこの黄色が解説されているんだ エーと……
ゴーギャンの自画像
ゴーギャン
すごい
きれい
ああ、これこれ
……

まずまずお行儀はいい
絵画を見てみようという向上心がある
お金を払って絵を見に来ている

無限に暇
何度見ても感動なんかしないと分かっているのに来てしまう蒙昧さ

そして私もそうなのだ
私こそそうなのだ

女同士が話している
アメリカでね、個人の美術館なのかな、入り口で、ハイヒールはだめって書いてあるの。
へえ、それでどうした?
多分、ハイヒールを脱いで、スリッパなんか履くんじゃない?
どうして?うるさいからかな?
分かんない

あ、モネ
モネ
これはモネよ
モネ、モネ、モネ



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