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四方田犬彦「ソウルの風景」

岩波新書の一冊である。
そのうち読みたいと思って本棚に積んでいた。
「オールイン」を見た後、本棚で見つけて、読み始めた。

著者は、朴大統領時代の韓国に滞在したことがあり、
時を経だてて、現在の成熟した大衆消費社会の中に滞在し、
その変化を読み解いている。

70年代の韓国には民衆がいた。
北には「人民」がいた。
現在韓国に存在するのは、個人主義的で平板で区別の付かない「大衆」である。

高層マンションは平板である。
高級住宅街は区別の付かない個人主義者たちの街である。
商店街は、ハングルをはずしてしまえば、世界のどこの街とも変わりがない。

ノスタルジアを商品化するということは、
高度な資本主義の実現ということだ。
それは時間を商品化しているんだよ、という。

映画JSAにまつわり、南北のこと、映画のことが語られる。

経済崩壊の後、財力や能力のある人々は海外移住を
積極的に実行していると紹介があった。
そういえば、先日銃によって大学の学友を射殺した学生も、
そのような人たちのなかの一人なのだろうか。



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