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過ぐせど 過ぎず なほ恋にけり

忘るやと 物語りして 心遣り 過ぐせど 過ぎず なほ恋にけり

これも凡歌の類、しかし、近世歌謡にも似たつぶやきの味がある。

忘れたいのに忘れられない

***
ねえオグ
いい加減忘れたくってさ
江里ちゃんと飲んでたけどね
あの子の話聞いてるうちに
こっちもつらくなっちゃうし
そしたらまた
なんでわたしは諦めようとしてるんだろうって
思い始めて
振り出しなのよ
そんなに好きなのかって言われると
へんだよね
あんたも知ってるでしょう
あんなやつね
悔しいだけなんだ
意地になってるだけだって
エリは言ってたけど
わたしもそうだって言っておいたけど
ほんとはそうでもないんだ
寂しいんだろうな
たぶんね
わたしって
さみしいも
やさしいも
恋しいも
区別できない体質なんだ
みんなこう、
胸がグーッとしちゃって、
あとはもう分かんないんだもん
エリはさ
みんな違うんだって
違うのが分かるんだって
あいつ大人だなあ
ねえオグ、あんたはどうよ
エリはさ
ぐさっと言うの
あいつはあんたに優しいだけだ
恋なんかじゃないって
だってわたし
優しくされたのあいつだけだよ
それだけだっていいんよ
わたしとしては
でもね、違うってさ
エーン

分かった分かったシオちゃん
また今度にしようよ
ここ新橋だよ
帰れる?

*****
こんな風で、深夜の新橋駅は焼鳥屋の延長戦だ。



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