SSブログ

悲しみの分かち合い

採録

スウェーデンは職種別組合です。職種別組合が日本経済団体連合会(経団連)に当たるところとやり合って賃金を決める。その賃金はパートだろうが何だろうが、すべてに適用される。しかも、その賃金は仕事が同じである限り、伸びません。だから、再訓練を受けて能力を高めようとする。能力を高めなければ、賃金は増えない仕組みになっているんですよ。だから、国や社会で教育に取り組んでいる。

重化学工業の時代には筋肉労働する男性だけが働きに行って、女性が家庭内でアンペイドワークをしていた。でも、今後サービス産業が増えれば、女性も働きに出て行くようになるから家庭にいなくなる。日本のように、セーフティーネットを外してしまうと、家族が成立しなくなる。つまり、日本は企業頼み、家族頼みで生活保障をしていたけど、それが両方とも崩れるんだよ。

この世界恐慌は1つの時代の終わり。米国を中心とした世界経済は最終的に崩壊する。これは、米国を中心とした世界経済秩序を支えていた重化学工業という産業構造が崩壊していくということでもある。1929年の世界恐慌を見ても、次の世界経済秩序が出来上がるまでに10年以上の歳月がかかるんです。

第2次大戦後、重化学工業によって大量生産、大量消費を可能にした。そして、その果実を再分配しながら福祉国家を築いて、貧困を解消し、経済成長を手にしていった。

 ところが、新しい経済構造があまりにも資源浪費型だったので行き詰まった。それが、1973年の石油危機とその後のスタグフレーションでした。資源を浪費すれば資源価格は上昇しますよ。その代わり、行き詰まった経済は成長しません。ケインズ経済学では想定できなかったような、不況とインフレが同時併存する事態が起きてしまったんです。

 スタグフレーションが発生したということは、国際的な過剰資金が形成されるということです。オイルマネーを考えてみればいいでしょう。片方で資源価格が上がっているんだから過剰資金が生まれる。しかし、経済が行き詰まっているから、投資先がない。マネーがだぶつきます。これが、よせばいいのに、あちこちでバブルを起こした。

 まず、マネーは中南米に行って、1980年代に“失われた10年”が訪れた。その次にマネーは日本に来た。産業構造を変える投資をすればよかったものを、ストックを買って不動産バブルを引き起こした。そして、日本の1990年代が失われた10年になった。マネーは今度はどこに行ったか。中国とインドです。

 ここでは、ストック買いではなかったけど、あろうことか第2次大戦後に世界の国々がやった重化学工業と大量生産、大量消費の産業に走らせたわけでしょう。自然資源をなるべく使わないような産業構造を起こせばいいのに。確かに、経済は伸びるけど、行き詰まることは見えているわけですよ。

福祉や医療、教育のことをソーシャルサービスと言いますが、スウェーデン語では「オムソーリ」と言うんですね。これは、「悲しみの分かち合い」という意味です。スウェーデン人が税を納めるのは悲しみを分かち合うため。悲しみを分かち合うことがウェルフェア(幸福)につながると考えている。

 

 



共通テーマ:日記・雑感

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。