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レダと白鳥

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おんなと白鳥の絵はたくさんあって
レダと白鳥とタイトルがついている
3つめの絵はダビンチのもので
子どもたちが4人、卵が割れて産まれている。

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物語はこうである。

 絶世の美女として知られるスパルタの王妃レダ。この美貌は当然、好色のゼウス神の眼にとまる。
 ゼウスは美しい白鳥に化けて、鷹に追われるふりをして、泉で水浴しているレダの懐へと逃れる。
 レダは白鳥を抱いているうちに、優しく愛撫され、夢見心地に白鳥と交わってしまう。
 
 その夜、レダは夫であるスパルタ王テュンダレオスとも交わる。やがて二つの卵を産む。
 その一つから、カストルとポリュデウケス(ポリュクス、ポルックス)の兄弟、
 もう一つから、クリュタイムネストラ(長い名前!)とヘレネの姉妹が産まれる。

 カストルとポリュデウケスの双子は、ディオスクロイ(ゼウスの息子たち)とも呼ばれ、常に共に行動し、数々の冒険を成し遂げる。
 ヘレネは、トロイア戦争の原因となった、母をもはるかに凌ぐ絶世の美女。クリュタイムネストラは、トロイア戦争におけるギリシア軍の総大将アガメムノンの妻となり、後に情夫と共謀して夫を暗殺する悪女とされる。
 この二組の双子のうち、ポリュデウケスとヘレネは、ゼウスの子で、神の血を引く。つまり不死。他方、カストルとクリュタイムネストラは、夫テュンダレオスの子で、人間の血を引き、死の運命にあったという。

 白鳥座は、ゼウスが姿を変えた白鳥。

4つ子だけれど父親は二人という
人工授精みたいな話がギリシャの昔からとは。
源氏物語も勿論そうだし、
平家物語も、清盛の血、崇徳の血が問題になる。

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白鳥座が分かったので、次は双子座。

 ギリシャ神話には双子が数多く登場する。カストルとポルックスは、そのなかで一番有名。

 カストルとポリュデウケス(ポリュクス、ポルックス)は、スパルタの王妃レダが白鳥に化けたゼウス神と交わって産んだ卵から産まれた、双子の兄弟。ディオスクロイ(ゼウスの息子たち)とも呼ばれる。
 が、厳密には彼ら二人は双子ではない(カストルはクリュタイムネストラとの双子で、スパルタ王ティンダリオスの血を引き、ポリュデウケスはヘレネとの双子で、ゼウスの血を引く)。

 スパルタで敵なしの強さを誇り、カストルは馬術と格闘に優れる一方、ポリュデウケスは剣術と拳闘に優れる。特にポリュデウケスは、わざわざ手首を切り落として、鍛冶神ヘファイストスに特注した鉄の拳に付け替え、その鉄拳は軍隊にも匹敵したという。
 彼らはいつも仲好く連れ立ち、数々の冒険を手がけた。妹ヘレネがテセウスにさらわれた際には、軍を率いてアテナイに攻め入り、ヘレネを奪還。このときヘレネは12歳というから、同年齢の彼らには物凄い偉勲。
 カリュドンの猪狩りや、イアソン率いるアルゴー船の遠征にも参加。アルゴー遠征では、ポリュデウケスは、負け知らずのベブリュクス人の王を相手に、拳闘で打ち勝った武勲がある。さすが鉄拳。

 そんな彼らがあるとき、イダスとリュンケウスという双子の英雄と争った。
 イダスは怪力、リュンケウスは千里眼を持ち、二人もまた、カリュドンの猪狩りやアルゴー遠征(視力の優れたリュンケウスは見張り役)に参加した。

 さて、カストルとポリュデウケスは、叔父レウキッポスの娘であるヒラエイラとポイベを見初めて、力ずくでスパルタまで連れ去り、妻とする。が、彼女らにはすでに婚約者たちがいて、それがイダスとリュンケウス。二人は激怒して、復讐を果たさんとスパルタまで追いかける(別伝では、イダスはアポロン神と争って、マルペッサを妻とした)。
 別伝では、二組の双子が牛を強奪したが、その分配の際、イダスとリュンケウスが牛を独占しようと画策し(牛の早食いだか大食いだかで競い、イダスが圧勝したとか)、カストルとポリュデウケスがこれに抵抗する。

 とにかく彼らは喧嘩になった。千里眼のリュンケウスが狙いを定め、怪力イダスが石を投げる、という連携攻撃で、不死ではないカストルは、イダスの石に当たって死んでしまう。
 不死であるポリュデウケスは、傷だらけになりながらもリュンケウスを倒し、さらに、逃げるイダスを追跡。イダスの投げた石で気絶してしまうが、父ゼウスが雷を放ってイダスを倒し、助けてくれたという。

 ポリュデウケスはカストルの死を大いに嘆き悲しみ、自分の不死の命を半分分け与えたい、とゼウスに願う。で、彼らは隔日で、天上と地上で暮らすようになる。

 後に二人は双子座となった。

 彼らは航海の守護神でもあり、暗夜や嵐の際には聖エルモの火となって、船の舳先に立ち、船乗りたちを導くという。

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セント・エルモス・ファイアー のこと

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ポリュデウケスはポリュクス、またポルックスともいう。SSRIのルボックスとぎりぎり紛らわしい。

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4つ子が生まれるけれど男女はスパルタ王の子で別の男女はゼウス神の子で
しかしそれぞれの男の子は仲良く協力して戦い双子座になったといういい話で、
そうなると絶世の美女レダさんの行いもまあまあとも言えるのだろう
相手がゼウスなら仕方がないのだし
美しい白鳥を助けてついついというのも人間らしい。(いや、人間らしくないのか?)

一方、4つ子のうちの二人の女性はどちらも美しく、どちらも戦争の原因となった。

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もっと続きがあるので読んでみると、トロイア戦争からギリシャ悲劇の極致「オレステス」に至る。

■レダと白鳥

 絶世の美女レダは、双子の美女クリュタイムネストラとヘレネを生んだ。
 テュンダレオスは、テスティオスの娘レダを娶った。レダが余りにも美しかったため、ゼウスは、白鳥の姿となってレダと交わり、2つの卵から2組の双子が生まれた。カストールとポリュデウケースの兄弟とクリュタイムネストラとヘレネの姉妹である。カストールは戰爭の術に通暁し、ポリュデウケースは拳闘の技に熟達、ディオスクーロイ(ゼウスの子)と呼ばれた。姉妹は、スパルタの兄弟と結婚した。ヘレネは、スパルタ王メネラオスと結婚し、クリュタイムネストラは、メネラオスの兄ミュケナイ王アガメムノンと結婚した。(cf.アポロドーロス『ビブリオテーケー』)アガメムノンとメネラオスは、ともにアトレウスの子である。アガメムノンとクリュタイムネストラの間に生まれた子が、エレクトラ、オレステス、イピゲネイアである。2人の美女は運命の子である。クリュタイムネストラは夫である王アガメムノンを殺害し、ヘレネはトロイ戰爭の原因となった。絶世の美女は不幸の原因であった。クリュタイムネストラとヘレネは、美貌ゆえに、人を惑わし破滅させた。

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エレクトラは父王アガメムノンを殺害した母に復讐する。
ここでエレクトラ・コンプレックスの話になる。

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■トロイア戰爭の始まり 美の爭い

 神々の饗宴
 ゼウスは、美しい海の女神テティスと交わろうとしたが、生れてくる子は父より優れた者であるという予言のため、断念し、ペレウスが交わるように手配した。アイギナ島の英雄ペレウスは、海の女神テティスを捕まえ格闘し、テティスを妻にすることにした。ペレウスとテティスの間に生まれた子がアキレウスである。(オウィディウス『変身物語』)ペレウスと女神テティスの婚礼に、神々の宴会が開かれ、オリュンポスの神々が集まった。爭いの女神(エリス)は、この宴に招かれなかった。エリスはこれを恨み、「最も美しい女に」と書かれた黄金の林檎を、投げ込んだ。エリスは西の涯ヘスペリデスの園から黄金の林檎を持ってきたのである。女神たちはこの林檎を奪い合った。最後まで、ヘラ、アテナ、アプロディテの三人の女神が、爭い合った。トロイア戰爭の原因はこの三人の女神の爭いであった。(cf.『キュプリア』)

 三人の女神、美の爭い
 ゼウスは、冥界の道案内人ヘルメスに、三人の女神をイデ山の羊飼いパリス(アレクサンドロス)の所に導くように命じた。女神たちは、自分を選んでくれた時には、パリスに見返りとして贈物を与える約束をした。ヘラは全人類の王となることを、アテナは戰いにおける勝利を、アプロディテは絶世の美女ヘレネを、与えることを約束した。女神たちは、権力と武力(名誉)と恋愛とを、パリスの前に提示して、選択をせまったのである。パリスは、美女を選び、アプロディテに黄金の林檎をわたした。これがパリスの「美の審判」である。
 美女ヘレネはすでに結婚していてスパルタ王メネラオスの妻であった。パリスは、スパルタへと出帆した。九日間メネラオスの宮殿で歓待され、十日目にメネラオスが母の父の葬儀のためクレタ島に旅立ったとき、美の女神アプロディテはヘレネがパリスを熱愛するように魔力をかけた。ヘレネは、九歳の娘ヘルミオネを後に残し、財宝を船に積み込み、海に出た。だがヘラは暴風を起こし、地中海の東の涯、シドンの港に辿りついた。(cf.アポロドーロス『エピトメー』)

 トロイア戰爭の始まり
 メネラオスは、妻ヘレネを奪われて怒り、ミュケナイの兄アガメムノンの所に行き、全ギリシアから英雄を集め、トロイアに遠征することに決めた。
 ゼウスがトロイア戰爭を起こした目的は人類を滅亡すろことにあった。「神々はヘレネの美を道具にして、ギリシア人とプリュギア人を互いに戰わせ、満ち溢れる人間の暴虐を、大地から一掃するために、屍の山を築いただけである。」(エウリピデス『オレステス』)「ヘレネの淫らな血の一滴と引き換えにギリシア人の生命が枯れ、その汚染された腐肉一グラムと引き換えに一人のトロイア人が殺された。」(シェイクスピア『トロイラスとクリセダ』) ヘレネは、ギリシア人にとってもトロイア人にとっても多くの死者をもたらした不幸の原因であり、忌まわしき女であった。(cf.アポロドーロス『エピトメー』)

■エウリピデス『オレステス』 

     ギリシア悲劇の極致

 死の窮地に立たされたオレステスに救いの手を差し伸べる友ピュラデス。追いつめられた者が企てる陰謀。逆境に立つ友に、痛みをともに受け、救い出そうとする友情の美しさが、利己心に覆われた世界に光をもたらす。エウリピデスが、マケドニアに死の旅に旅立つ前、BC408年、アテナイで最後に書いた傑作である。
 オレステスは、父アガメムノンを殺された復讐に、情夫アイギストス、母クリュタイメストラを殺害した。母親殺しをし、復讐を遂げたオレステスは、苦悩し狂気に陥り、病に臥してしまう。娘を殺されたテュンダレオスがオレステスを告発し、アルゴス人たちは、民衆裁判にかけようとする。その時、メネラオスが漂白の旅から帰郷して、ヘレネを館に送り届け、夜が明けてから帰館した。オレステスは、叔父メネラオスに救いを求めたが、メネラオスはテュンダレオスに従い、協力しない。「小さな力で大きなものに立ち向かう見込みはない」と言う。ヘレネ奪還のためトロイ戰爭の総大将であった亡き義兄アガメムノンの仇討ちをしたオレステスを見殺しにするのである。この時、オレステスの友ピュラデスが現れ、民会に弁明するためにオレステスを抱き抱えて行く。民衆の間で議論が湧き起こり、エレクトラとオレステスの姉弟を石打により死刑に処するという結論が出された。しかしオレステスは、自ら命を絶つことを申し出る。民会から帰ったオレステス、ピュラデスとエレクトラの三人の間で、追いつめられた人間たちの謀議が為される。
 ピュラデスは、「どうせ死なねばならぬなら、いっそのこと、メネラオスを道連れにしよう。」「ヘレネを殺し、メネラオスに罰を下そう」と提案する。オレステスは、「どうせ命を吐き出す身。敵に一泡ふかせてから死にたい。裏切者どもを逆に討ち果たしたい。」と言う。エレクトラは、「ヘレネが殺されて、もしメネラオスがオレステスやピュラデスや私に、何かしようとしたら、ヘルミオネを殺すと言ってやればよい。剣を抜いて、娘の喉元に突きつけておくのです。」「お前を殺そうとするなら、お前も娘の喉を切り裂いてやればよい。」二人はヘレネを殺害しようとするが、神慮によって消えてしまう。そこに現れたヘルミオネをエレクトラが館の中に入れ、二人は彼女を殺害しようとする。そこにメネラオスが現れ、三人から娘を助けようとする。オレステスはメネラオスに「アルゴス人たちに、死刑を止めるように説得せよ。」という。だがオレステスはピュラデスに館に火を放つようにいう。メネラオスは、アルゴス人たちに武器を執り助けに來るように求める。すべては窮地に陥り、行き詰まる。ここでアポロンがヘレネを従えて天空から現れる。クレーンで宙吊りになり籠に乗って現れる、機械仕掛けの神(デウス・エクス・マーキナー)である。アポロンは、オレステスにはアテナイで裁判を受け、ヘルミオネと結婚すると予言する。そしてピュラデスにエレクトラを娶るように命じる。アポロンは「二人のこれからの人生は幸せが続く」と予言する。
 エウリピデス『オレステス』は、ギリシア悲劇の極限であり、到達点である。『オレステス』は悲劇であるが、苦悩するオレステスは、苦難の後、アポロンによって救済され、幸福の予感のうちに、劇は終わる。エウリピデス劇は、波瀾にみちた複雑な展開、激情的な人物、窮地に陥った人々を、神が現れて救う機械仕掛けの神(デウス・エクス・マーキナー)が用いられる、メロドラマ的大衆性を帯びている。
 『オレステス』は、エウリピデスがマケドニアに旅立つ前、紀元前408年、アテナイで最後に書いた悲劇である。エウリピデスは2年後に異郷の地で死に、再びアテナイに帰ることはなかった。

エウリピデスの生涯


 葛藤する激情のドラマ、陰謀劇を書いたエウリピデス。エウリピデスの名聲は、シケリアからマケドニアまで響き、死後、地中海世界にとどろき渡った。
 エウリピデス(BC480-406)は、第75オリュンピア紀、サラミスの海戰の年、サラミス島で生まれた。父ムネサルキデスは商人、母クレイトーは野菜売り女であった。
 ムネシコロスの娘コイリレを娶ったが、結婚した妻が不貞を働いたため、女の情欲を曝露する劇『ヒッポリュトス』を書き、淫蕩な女であったため離婚した。再婚したが、前の妻以上に淫乱な女であったため、さらに熱心に女の悪口を書くようになった。
 エウリピデス劇の女は、報われぬ愛に生きる女の悲劇でもあった。『ヒッポリュトス』は、ミノス王の娘アリアドネの妹、王妃パイドラーが先妻の子ヒッポリュトスに恋し、思いを遂げられぬため、自ら死を遂げ、遺書を残してヒッポリュトスを疑惑に陥れ死に至らしめ、復讐を遂げるという物語である。
 初期の傑作『王女メデイア』は、コルキスの王女メデイアの物語である。魔術に通暁したメデイアは、愛するイアソンのために国宝「黄金の羊皮」を盗み出して、実弟を惨殺し、イオルコスにイアソンとともに行く。だがペリアスは王位返還に応じない。王位を簒奪したイアソンの伯父ペリアスを殺し、復讐者に追われた彼らはコリントスに亡命する。コリントス王クレオンの求めに応じて、イアソンはコリントス王女グラウケと結婚するため妻を棄てようとした。メデイアはイアソンに怨みを晴らすため、毒藥を施した衣を贈りコロントス王女を焼き殺しその父親もろとも殺害、イアソンとの間に生れた我が子をも殺し、復讐を遂げる。メデイアは、我が子を殺した後、太陽の神から贈られた有翼の龍車にのり、アテナイに逃亡、その地でパンディーオーンの子アイゲウスの妻となる。
 エウリピデスは、世の中から隠遁して、サラミス島の海に臨む洞窟に閉じ籠もって海を眺めながら、執筆活動に耽った。洞窟で俗衆を避けて日々を送った。エウリピデスの作品に海の比喩が多いのはこのためである。
 エウリピデスは、紀元前408年、『オレステス』上演後、アテナイを去って、マケドニア王国の首都アイガイに行き、アルケラオス王の宮廷に客となり、『アウリスのイピゲネイア』『コリントスのアルクマイオン』『バッカイ』を書き、紀元前406年、75歳の時、異郷マケドニアの地で、客死した。
 『メデイア』からマケドニアで執筆した『バッカイ』『アウリスのイピゲネイア』まで、25年間創作活動に携り、生涯に92篇の悲劇を書いたが、優勝したのは5回であった。1回は死後甥のエウリピデスによって上演された。ギリシア悲劇全盛期、優勝することは少なかったが、彼の死後、ヘレニズム時代エウリピデス作品は圧倒的な支持を受け、最も多くの作品が残った。彼の人柄は狷介であったが、作品は民衆の人気を博した。  ローマ帝国時代、地中海各地に建築された、大理石の劇場で、エウリピデスの悲劇は、最も愛された。苦悩する魂に、絢爛と燦めく狂言綺語の言語空間を構築し、藝術によって愛をもたらすエウリピデス劇は、二千年の星霜に耐えて、今も、比類なく美しい。

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ヘラは全人類の王となることを、アテナは戰いにおける勝利を、アプロディテは絶世の美女ヘレネを、与えることを約束した。
そして美女ヘレナが選ばれた。

まあ、そうだろう。ヘレナが欲しいから王になりたいのであって、戦いに勝利したいのだ。逆ではない。




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