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患者さんの「本当の利益」-2

患者さんの「本当の利益」を考え出すとなかなか微妙である

本当の利益などは分からないし
何が幸福かは分からない
と前提するまでは特に異論はない

しかしその先で
人生の選択について患者さんが自由になることが治療の目的だと言ったりするが
それも怪しい
自由・不自由は意識・無意識のようなもので
いくらでも概念的な操作ができるし
主観の変更もいくらでもできると考えられる

真に自由であることを確認するには
不幸な道をあえて選択するしか方法はない
不適切を承知で言えば
死ぬことも自由だと思うまでは不自由だと言える

無意識の側からの束縛から自由になると言われたりするのだが
いつでも自由の外側があり意識の外側があるのだ
束縛から自由になるなどと考えるのは循環論法を含んでいて
粗雑さの点で円周率を3だと言っているのに似ている

また患者さんの成長や成熟を待つのだと言ったりするが
それも怪しい
成長も成熟も価値観を含んだ言葉である
価値に対して判断しない立場で言えば変化と言うべきだろう
しかし患者さんが変化をしてそれで治療なのか
はなはだ怪しい

いつ、どの方向に変化するのが幸せなのか、考えると途方にくれる

無邪気に患者さんの幸せは「自分の本当の問題に気付いて、自分を成熟させることだ」と
信じている人が羨ましい

自分の売るマンションは良いマンションで
買えばみんなが幸せになると信じている不動産販売会社のようなものである
知らないうちは続けられる
知ってしまえば耐えられなくなる


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