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自分と遺伝的に近い相手に似た人の写真に対して、より性的な魅力を感じる

被験者に対して、異性の親の写真や、本人の顔写真からモーフィングした合成写真などを見せた一連の実験によって、ヒトは、自分と遺伝的に近い相手に似た人の写真に対して、より性的な魅力を感じるということが明らかになった。
「ヒトは、自分の親族や自分自身に似た人に惹き付けられるようだ」と、イリノイ大学のR. Chris Fraley准教授(心理学)は語る。Fraley准教授が主執筆者となった今回の研究は、『Personality and Social Psychology Bulletin』誌の7月20日号に掲載されている。
第1の実験では、被験者に他人の顔写真のセットを見せ、性的に魅力を感じた度合いでランク付けさせた。
それぞれの写真を表示する前に、被験者の半数に対しては、その人の異性の親の写真をサブリミナル的に提示している。その画像はほんの一瞬見せるだけなので、被験者は無意識のうちにその情報を処理してしまう。残りの半数の被験者には、血縁関係のない後見人の写真を見せている。
結果は、自分の異性の親の画像をサブリミナル的に見せられた人々は、次に見せられた顔を、(ランダムに提示された顔よりも、)より魅力的に感じるというものだった。
第2の実験では、被験者にまた別の顔写真のセットを見せて、性的に魅力を感じた度合いでランク付けさせた。今回の顔写真は、すべて2人分の顔写真からモーフィング処理によって合成されたものだ。
被験者の半数には、モーフィングにその人自身の顔写真を用いた合成写真を、それと知らせずに提示した。これらの合成写真には、被験者本人の顔が最高で45%まで使われており、人工的に作られたきょうだい、と言って良い。残りの半数の被験者にもモーフィングによる合成写真を見せたが、本人の顔は含まれていない。
自分の顔を使ってモーフィングされた顔写真を見せられた被験者らは、これらの画像を、より性的に魅力があると回答した。
第3の実験では、被験者全員に、本人の顔を含まないモーフィングによる合成写真を見せたが、そのうち半数の被験者に対しては、これらの合成写真が本人の顔からモーフィングされたものだと思い込むようしむけた。
この場合、モーフィングによる合成写真が自分の顔を使ったものだと思い込まされた被験者は、それらの写真を、より魅力がないものとしてランク付けした。
これら3つの実験はすべて、フロイトの学説を補強するものだ。フロイトによると、われわれは自分自身の身体的特徴を思い起こさせる外見に魅力を感じるという無意識のメカニズムを備えており、近親相姦に対する文化的タブー(インセスト・タブー)が存在するのは、このような原始的衝動に打ち勝つためだという。
一方、インセスト・タブー問題については、[幼少期から一緒の生活環境で育った相手に対しては、長じてから性的興味を持つ事は少なくなるという]『ウェスターマーク効果』説もあり、[文化人類学的にも]根拠があるとされてきた。Bradley大学のDavid Schmitt氏は、「今回の研究は、フロイト説のほうにも根拠がある[両方が作用する可能性がある]ことを示している」と述べている。
なお、今回の研究結果に関しては、たとえば単純に、ヒトの脳は馴染み深い画像をより容易に処理できる傾向があるから、と説明することも可能だろう。Fraley准教授は、この説明が当てはまるかどうか検証するために、この次の実験では、顔写真を馴染み深さの程度と、その顔を人生のどの時期(幼児期、小学生時代など)に知っていたかによってランク付けしてもらう必要がある、と語った。
[野生動物がインセストを避ける例も多く知られている。]



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