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優秀な学業成績が警告する双極性障害リスク

優秀な学業成績が警告する双極性障害リスク
Br J Psychiatry 2010; 196: 109–115
英語版 配信日 2010-02-04
MedWire News:研究所見が示唆するところによれば、学校の成績が平均以上の生徒は双極性障害の発症リスクが高い。

この結果は「並はずれた知的能力と双極性障害の間には関連がある」という仮説を裏づけるものであると、キングズカレッジロンドン(英国)のJames MacCabeらは言う。

報告によれば、学業成績が優秀な(平均よりも2標準偏差以上高い成績と定義)15~16歳の生徒は、平均的な成績の生徒に比べて17~31歳の間に双極性障害を発症する確率が4倍近く高かった。

最も成績の低い(平均よりも2標準偏差以上低い成績)生徒も、平均的な成績の生徒に比べて双極性障害のリスクが高かったが、リスクはほぼ2倍という中程度のリスク上昇にとどまっていた。

研究では、1988~1997年にスウェーデンの義務教育を終了した713,596例を対象に、生徒の学業成績と双極性障害による入院について調べた。

親の学歴や社会経済的地位などの要因を考慮しても、双極性障害リスク上昇と学業成績の間には関連性が認められたと、MacCabeらはBritish Journal of Psychiatry誌の中で述べている。

興味深いことに、双極性障害リスク上昇の関連性が特に顕著なのは、人文科学系の科目や国語や音楽などの成績が優秀なAの生徒であることも明らかになった。

「このことは、伝記文学に示されている言語や音楽の分野の創造性と双極性障害の一貫した関連性を裏づけるものである」とMacCabeらは述べている。

優秀な学業成績と双極性障害の間に関連性がみられる理由について、MacCabeらは軽躁病がひとつの要因ではないかと推測している。なぜなら、軽躁病は語彙や記憶など、個人の中に蓄積された認知的資源の利用を促し、観念の連続に全く新たな結びつきをもたらすのに役立つと考えられているからである。さらに軽躁病は驚異的なスタミナをもたらし、集中力を大いに高める効果もある。また双極性障害をもつ人々は誇張された情緒的反応を示すことが多く、そのことが絵画や音楽や文学などの才能を発揮するのに役立っていると考えられる。

反対に、学業成績不良の生徒にも高い双極性障害リスクが認められることがあるのは、抑うつ症状が支配的なためではないかと研究チームは示唆している。

研究では、優秀な成績と将来の双極性障害発症リスクの関連性は女性よりも男性の方が強いことが示されたが、この関連性は統計的有意差を示すまでには至らなかった。この点については今後も研究が必要である。

ただしMacCabeらが重要な点として指摘するように、「学業成績が優秀であると将来的に双極性障害を発症する確率は高くなるが、成績優秀者の大半は精神的に健康な状態を保っていることを忘れてはならない」。



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