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あいた口がふさがらない【朝日、社説】

小沢氏出馬へ—あいた口がふさがらない【朝日、社説】

 どうしてここまで民意とかけはなれたことができるのか。多くの国民が、あぜんとしているに違いない。

 民主党の小沢一郎前幹事長が、党代表選に立候補する意向を表明した。

 政治とカネの問題で「責任を痛感した」と、幹事長を辞して3カ月もたっていない。この間、小沢氏は問題にけじめをつけたのか。答えは否である。

 いまだ国会で説明もせず、検察審査会で起訴相当の議決を受け、2度目の議決を待つ立場にある。

 鳩山由紀夫前首相にも、あきれる。小沢氏率いる自由党との合併の経緯から、この代表選で小沢氏を支持することが「大義だ」と語った。「互いに責めを果たす」とダブル辞任したことを、もう忘れたのか。

 二人のこのありさまは非常識を通り越して、こっけいですらある。

 民主党代表はすなわち首相である。党内の多数派工作に成功し、「小沢政権」が誕生しても、世論の支持のない政権運営は困難を極めるだろう。

 党内でさえ視線は厳しい。憲法の規定で、国務大臣は在任中、首相が同意しない限り訴追されない。このため「起訴逃れ」を狙った立候補ではないかという批判が出るほどだ。政治とカネの問題をあいまいにしたままでは、国会運営も行き詰まるに違いない。

 より重大な問題も指摘しなければならない。

 自民党は小泉政権後、総選挙を経ずに1年交代で首相を3人も取りかえた。それを厳しく批判して政権交代に結びつけたのは、民主党である。

 今回、もし小沢首相が誕生すれば、わずか約1年で3人目の首相となる。「政権たらい回し」批判はいよいよ民主党に跳ね返ってくるだろう。より悪質なのはどちらか。有権者にどう申し開きをするのか。

 それとも小沢氏は代表選に勝っても負けても、党分裂といった荒業もいとわずに大がかりな政界再編を仕掛けようとしているのだろうか。

 金権腐敗政治と決別し、2大政党による政権交代のある政治、有権者が直接政権を選ぶ政治を実現する——。そんな政治改革の動きの中心に、小沢、鳩山両氏はいた。20年余の歳月を費やし、ようやく目標を達成したと思ったら、同じ二人がそれを台無しにしかねないことをしようとしている。

 ほぼ1年前、新しい政治が始まることを期待して有権者は一票を投じた。その思いを踏みにじるにもほどがあるのではないか。しょせん民主党も同じ穴のむじな、古い政治の体現者だったか——。政党政治自体への冷笑がさらに深まっては取り返しがつかない。

 代表選をそんな場にしてはならない。有権者は政権交代に何を託したのか、根本から論じ直し、古い政治を乗り越える機会にしなければならない。



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