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10代の少年が暴力的なコンテンツを見過ぎると暴力への感受性が鈍る、米研究

【10月20日 AFP】暴力的なテレビ番組や映画、ビデオゲームを繰り返し視聴した10代の少年は、暴力に対して鈍感になる傾向があるとの研究が19日、英学会誌「Social Cognitive and Affective Neuroscience」(電子版)に掲載された。

 研究者たちは長年、感情や外部への反応をつかさどり、「間違った行動」に対するブレーキとして働く脳の部分が、思春期にはまだ発達段階でぜい弱な状態なのではないかと懸念し、暴力的な映像は10代の子どもたちの心をより残忍にするのではないかと考えてきた。

 しかし、暴力的なシーンを眺めることが、10代の子どもたちの眼窩(か)前頭皮質(OFC)の外側部を中心とする脳にどのような作用を与えるかということについては、具体的な証拠が乏しかったため研究が進んでいなかった。

■長時間の暴力的ビデオ試聴で暴力に鈍感に

 論文を発表したのは米国立神経疾患・脳卒中研究所(National Institute of Neurological Disorders and Stroke)のジョーダン・グラフマン(Jordan Grafman)氏の研究チーム。グラフマン氏らは14~17歳の少年22人を対象に研究を実施した。

 ビデオ60本から集めた各4秒の短いビデオクリップを、前もって10代の少年たちに暴力の度合いで「低い」から「軽度」、「中程度」に区分させた。これをランダムな順番で機能的磁気共鳴断層撮影(fMRI)を装着した被験者の少年たちに1人ずつ眺めさせ、脳の活動を記録した。

 また、少年たちの指には、発汗量によって変化する皮膚の電気伝導度を測定するセンサーを取り付けた。このセンサーは、刺激に対する感情的な反応を確認するために有効だと考えられている。

 少年たちが暴力の度合いの強い映像を眺める時間が増えれば増えるほど、OFC外側部の活動は低下し、皮膚反応も低下した。一方、暴力の度合いの低い映像を眺め続けた場合には、この傾向は見られなかったという。

 グラフマン氏は「長時間にわたって暴力的な映像にさらされた少年たちの脳は、感情的な反応に関連する部分の活動が低下した。そしてそれはfMRIと皮膚伝導の両方のデータに反映された」と結果をまとめた。

■攻撃性を正当化

 また被験者との面接による判定では、暴力に対する感受性の低下が最も顕著にみられたのは、日常生活の中で暴力的なメディアにさらされる程度が最も高い少年たちだった。

 グラフマン氏は、人びとが攻撃的になっているときに活発になる脳のメカニズムに暴力的な映像が刺激を与えるのだと説明する。感情の抑制を実践的に教える人がいなければ、攻撃的になることは社会的に容認されると考えるようになるという。

「このことの意味合いは非常に大きい」とグラフマン氏は語る。「たとえば暴力的な映像にさらされ続けることで若者が暴力に鈍感になり、暴力を受け入れるようになり、攻撃的な行動をとる可能性が高まるということにもなる」

 今回の調査は少年のみだったため、暴力的な映像に繰り返しさらされることが少女たちにどのような影響を及ぼすかは調査されていない。

 しかし、これまでの研究で、暴力的な映像に対しては、女性は男性よりもはるかに反応が少ないことが知られており、これは男女の脳の違いによる可能性もあると考えられている。(c)AFP


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