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キャリア・アンカー

 キャリア・アンカーとは、米国の組織心理学者のエドガー・H・シャイン(米マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院名誉教授)が、同経営大学院の同窓生を対象とした長期にわたる調査の中から見いだした概念で、一言で表せば、「自分に合った仕事」ということになる。

 それは、(1)実際に仕事を経験していく中で次第に明確になる欲求、(2)その過程で見えてくる自分の能力、(3)自分を取り巻く環境、の3つの関係の中から明らかになる。ちなみに、ここでいうキャリアとは、単なる仕事ではなく、働くことを含めた人生の価値観を指す。

 日本語で「錨」を意味するアンカーという言葉の通り、キャリア・アンカーを見いだすと、強い風が吹こうとも、豪雨に見舞われようとも、どんな事態に遭遇しても、自分を見失うことなく踏ん張り続けることができる。

 キャリア・アンカーは他人の評価ではなく、あくまでも自分の価値に基づくものなので、それを見つけ出すには時間がかかる。自己のイメージや能力とのマッチングも必要なので、30代後半になってようやく見つかるケースが多いともいわれる。中には、キャリア・アンカーを見つけられないまま、キャリア人生を終える人も少なくない。

 キャリア・アンカーは次の5つのパターンに大きく分類できる。

(1)専門能力追求型
 組織の中で、自分の技術や能力を追求していきたい
(2)管理業務追求型
 組織の中で部下を持つなど、管理責任のある仕事をしていきたい
(3)安心重視型
 自分の雇用と生活の安定が保障される仕事に就きたい
(4)自己追求型
 自分の名前のついた製品を作り出したり、会社を起こして後世に残したい
(5)ライフスタイル重視型
 自分のスタイルを壊されないような仕事に就きたい

 実際にはきれいに5つのパターンのどれかに当てはまるものではなく、複数のパターンを含んでいるケースが多い。

 シャインは、「キャリア・アンカーを見つけ出すことができれば、納得のいくより良い人生を送ることができる」と説き、キャリア・アンカーを探して開拓することを提唱した。





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