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国境

これは受売りなんですが、

ある本で、
川端康成の小説「雪国」の、冒頭部分を「声に出して読んでみよう」とのことで、
国境の長いトンネルを越えると雪国だった。
の部分を、
「こっきょう」と読み仮名を振ってあった、
でもそれだと国と国との境ということになって、トンネルの先は日本国外になってしまう。
その本の著者は注意されたあとで「くにざかい」と訂正したという。

「僕の翻訳人生」といった感じの本にも、
翻訳をやるには言葉という物に敏感でなければならない、
雪国冒頭を「こっきょう」と読んで平気でいるようなら、
翻訳家になれる見込みはまずないので、
別の道を探した方がいい、
などと書いてあった。

私の感想としては、
まあ、いいじゃないか、大雑把に生きている人が多いのは結構な社会だし、
川端康成は自分の作品がラジオで朗読されるのもいやがった人であって、
「わたしの小説は目で見て読むようにできている」
みたいなことを言ったらしい。
そのひとが読み仮名を振っていないのだから、
好きに読めということなのだろうと思う。
極端に言ったら、読む人が、自分の口調から言えば、
「くにきょう」だ、なんて言っても、わたしなら許しちゃう。
どうでもいいことなんだもの。

いずれにしても、意味の取り違えはない。
汽車に乗っていたらトンネルに入って、出たら雪が見えたということだ。
でしょう?

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