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覚せい剤弁護士、転落の軌跡

覚せい剤弁護士、転落の軌跡…交際相手の一言が
 クスリを使うと気持ちいいらしいよ――。今月8日、覚せい剤取締法違反(所持)で札幌地検に起訴され、同容疑(使用)で北海道警に再逮捕された、札幌弁護士会元副会長の弁護士加藤恭嗣(やすし)被告(51)。覚せい剤に手を出したのは、交際女性のひと言がきっかけだったことが捜査関係者への取材で浮かび上がった。

 弁護士会内には当初、副会長の激務から覚せい剤に手を出したのではと同情論も根強かったが、複数の女性との交際の果てに、薬物に手を染めていた実情に、同僚弁護士の間にも落胆の声が広がっている。

 ◆複数女性と使用◆

 捜査関係者によると、加藤被告が女性と知り合ったのは約2年前。インターネットの出会い系サイトで知り合い、その後も交際を続けてきたという。

 女性から覚せい剤を勧められた加藤被告は、今年1~2月、インターネットの掲示板を通じて、鈴木正敏被告(45)(覚せい剤取締法違反で起訴)と知り合い、覚せい剤を入手。使用のための注射器なども手配した。

 加藤被告はその後、別のサイトを通じて、覚せい剤を使用する仲間を探していた女(29)(覚せい剤取締法違反で公判中)と交際。女とは週に数回、会うたびに、一緒に覚せい剤を使用していたという。

 ◆「警察には行くな」◆

 「幻覚が見えるようになった」。捜査関係者によると、女は今年夏頃から、覚せい剤使用の影響による体調不良に苦しむようになり、加藤被告に相談を持ちかけるようになったという。加藤被告は、女に対して「警察には行くな」と指示。覚せい剤の使用が発覚することを恐れていたという。

 女は結局、今年8月に道警に自首した後に逮捕されたが、加藤被告はその後も覚せい剤の使用をやめられなかった。逮捕される2日前にも、札幌市内のホテルで覚せい剤を使用しており、この時には、別の女が同室していたという。加藤被告は「女と一緒に使用した」と供述しており、道警では同被告の交友関係を中心に捜査を進めている。

 ◆腕に残る注射痕◆

 加藤被告は、「人当たりが良く、明るい」などと、同僚弁護士など周囲の評判はよかった。テレビの情報番組に出演したり、新聞の相談コーナーを任されていたこともあった。

 9月18日、高級住宅が並ぶ札幌市中央区の自宅前で逮捕された加藤被告。捜査関係者によると、同被告は「すべてを悟ったように静かな態度」で、左ひじには、注射痕が複数残っていた。

 札幌弁護士会は、加藤被告の懲戒を求めて綱紀委員会に調査を請求。今後、同被告に「懲戒相当」の議決が出ると、除名処分となり、最終的には弁護士資格を失う可能性もある。

 接見した加藤被告の弁護士などによると、同被告は起訴事実などを認め、取り調べに対しても、「特に憔悴(しょうすい)することもなく、淡々としている」という。(広瀬誠、伊佐治真樹史)

(2009年10月15日17時04分  読売新聞)


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