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自我障害と時間遅延理論-2

時間遅延理論を簡単に説明する

脳神経系は単純化すれば
刺激に対してある処理をして反応を返すシステムである
自意識が発生する以前の動物では
その処理系はおおむね直線的である

人間に至ると自意識が発生する
脳の中に世界のモデルが作られ
実際に出力してみる前にシミュレーションしてみることが可能になる
それを元に微調整することができる

たとえばこの程度で川の片方の端から踏み切ればもう片方の端に届くだろうとか
それを反復すると小脳がその運動の全体を引き受けるようになり
ある程度自動的に反応するようになる

またたとえば
手元にある水筒を持ち上げるとき
水がどの程度残っているかが推定できているので
最初にどの程度の力で持ち上げたらいいか推定できる
そしてその力で持ち上げて予測が大きくはずれると軽すぎて拍子抜けしたりする

予測と結果、そして次の正確な予測に修正する、というようにループが成立している。

このループを反復すると、予測と結果の間には「世界」のモデルが成立する。

例えば、ここでこの言葉を話そうとする。
すると口を動かしてこんな声が出てという一連の予測が成立する。
その予測と、実際の結果との照合がなされる。

ーー
感覚刺激から入力した信号は、二つに分かれる。
一つは、動物が共通に持つ回路で、自動機械回路である。
自意識によって考えることなく、ほぼ自動的に世界に反応している。

一つは自意識の経路である。
これは人間にしかない。

シミュレーションの結果を出力する。

さて、脳は、自動機械としての出力と、シミュレーションによる出力を比較検討する。
この両者の時間差が問題である。

人間に自由意志の感覚が生じているのは、
シミュレーションからの信号到達が一瞬早く、自動機械側からの信号到達が一瞬遅いから、
自由意志の錯覚が生じているのである。

人間の場合、自由意志はなくなっても生きていける。
また日常生活では自動反応機械となって自由意志を働かせないままで生きている時間も少なくない。

シミュレーションからの出力が遅れて
自動機械側からの出力が早くなってしまうと
させられ体験が成立する。
自由意志はなくなってしまう。
そのことは人間にとっては耐えられない被動感・させられ体験を生む。

つまり、シミュレーションからの出力が自動機械からの出力よりも一瞬早いので、
自由意志の錯誤は守られているし、能動感や行為の自己所属感が維持されている。

それが時間が逆転するだけで、自由意志の錯誤は錯誤であったことが曝され、
被動感に悩み、行為の自己所属感も失われることになる。

これが私の言う時間遅延理論であり、
自由意志の錯誤がいかにして成立しているかを説明し、
その錯誤が破れたときに、いかにしてさせられ体験スペクトラムの精神病理が発生するかを説明する。




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