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全然効かない薬の効用

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たとえば 「全然効かない薬」があったとして、こういう薬は、効かないという制約を受け入れることで、 「気軽に誰にでも勧められる」という、得難いメリットを得ることができる。

「本当に効く」薬というのは、作用してしまう以上、その作用が他の人に好ましくない可能性は、常にある。 「効く薬」はだから、医師でもなければ勧められないし、銭勘定だけを考えると、「効くこと」は、必ずしもすばらしいことだとは限らない。

それが砂糖玉だとか、小麦粉を丸めただけの、どう見ても「効かない」薬であれば、今度はそれを購入したお店の不思議な雰囲気だとか、 あるいはそれを使ってみて、「ちょっとだけまし」な気分になったりだとか、そういう個人的な体験を、留保なしに他の人に勧めることができる。

薬という競争社会においては、だから「効かない」こともまた、決定的な不利益とは言えなくて、ホメオパシーなんかはだからこそ、広まったんだと思う。 あれを「カウンセリングのおまけ」と考えていいなら、カウンセリングという体験に抵抗を持っている人がいたとして、 「薬の購入」という理由を得ることもできたのだろうし。



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