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恋愛行動の科学

進化心理学によりますと、ヒトは数万年前の狩猟採集の時代より遺伝子がほとんど変わっていません。限られた食糧を元に、生き延びるための行動パターンができあがったと考えられています。そこで種の保存を主な目的とし、男女がお互いに求める要素は以下のように認められています (Buss D. Behabioural and Brain Science. 1989)。
男性→女性:年齢・容姿
女性→男性:地位・財産

身も蓋もない話ですが、いずれも子孫を繁殖するために有利となる事柄に相当します。女性の妊娠率は20代前半:93%、30代前半:85%、40代前半:71% と加齢変化します(Menken et al. Science. 1986)。男性が女性の容姿で本能的に注目するのは「腰のくびれ」だそうです。ウエスト:ヒップ=7:10に最も惹かれ、この比率はエストロゲンの活性を示し、内分泌・循環器疾患なども少ないのだそうです。

一方、女性が男性に地位・財産を求めるのは、生活・養育費の保証を意味します。妊娠・育児期は、労働が困難となりますから男性の扶養に頼らざるをえません。この際、重要になるのは過去の記憶です。男性がどれだけ献身的に関わってくれたかが、配偶者選択を左右します。現代で言えば、女性を素敵なレストランへ連れて行ったか、記念日にプレゼントをしたかなどは妊娠・出産後の生活において男性がどれくらい援助してくれるかの目安になるわけです。

このように男女は種の保存、遺伝子の増殖を目的として恋愛行動をとります。しかし残念ながら恋愛心理は長く続きません。「3年目の浮気」とう歌詞があるように、燃え上がるような恋心もいつしか下火になり、他に目が向くようになってしまいます。最近の科学的知見によりますと、恋愛の賞味期限は12-18ヶ月、離婚は4年目に最多となるそうです。これは初期の恋愛が脳のドパミン活性により起きるものの、時間経過とともに自然減衰するためです。そして脳内はセロトニン優位となり、冷静な思考が戻ります。「この相手で本当に良かったのか?」という反駁した思考が生じるのです。更に離婚が4年目に最多となるのは、子供の養育に手がかからなくなるのが3-4歳だからという説もあります。生物進化学によれば、遺伝子は多様性を求めますから、同じ相手と複製を繰り返すよりも多くの相手と多様な遺伝子型を作るように働くわけです。

それではカップルは3-4年経つと必ず破綻するのでしょうか?そのようなことは実際にありません。人間は社会変化に伴い新たな夫婦形態を作りました。近代社会においては一夫一婦制が最も社会の安定・発展に寄与するという視点から、先進国ではどの国でも婚姻制度があります。浮気や不倫を姦通罪により取り締まる国もあります。そして「おしどり夫婦」という表現もあるように、心理学的にもお互いに相手を思いやる「積極的傾聴」や「受容・共感」といったスキルが夫婦間において推奨されています。更に、最近の脳科学によるとこのような「愛着」や「信頼」の心理はバソプレッシンやオキシトシンと言われるホルモンにより促進されることなどが分かってきています。












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