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社会の致命傷

技術革新があり世の中の状況は刻々と変化する。

交通が発達し行動半径は広くなった。
兵器は発達し戦争は大規模な殺戮になった。
栄養は改善され医療技術も進歩し健康寿命は延びた。
人件費の安い地域で大量生産できるようになった。

そうした状況に合わせて、世の中の仕組みや制度も変化させないといけないはず。
しかしそれが難しくてうまく行かない。
これまである役所なり会社なりで働いてきた人たちを、
制度が変わるからといって、いきなりどうするということもできないわけだ。
技術はいきなり進歩するのに、
制度は徐々にしか変えられない。
そこで一方の人たちはイライラする。他方では守り通そうとする。
今までがんばってきた人たちには敬意も表するし処遇も考えるべきだ。
しかしそれが突破できないままで社会が古いままというのは致命傷になる。

日本の金融機関などはそういった感じで遅れてしまった組織なのじゃないかという感じがする。

そうは言うものの、やはり内部の現場の人でないと分からないこともあるのだろう。
例えば、識者という人の意見とか、各種新聞での論調とか、
自分の専門外のことであれば、なるほどそういうものかと納得して、「洗脳」されているのだが、
自分の専門分野のことであれば、識者も新聞も嘘つきだと分かる。
ということは、他の分野でも、識者も新聞も嘘つきなのだろうと感じる。
しかし説明を読んでいる限りでは、あからさまに嘘を見抜くこともできない。

マスコミの構造改革。
これが必要なのじゃないか。
劇的に迅速に。

大御所、小権力者が陣取っている間は変わらないのだろう。
漸進的改革でもないよりはましだけれど、
技術も高速に進歩し、それに伴い人々の意識も高速に進歩しているはずなのだ。

*****
現実と妥協しながら、徐々にしか変えられないという点では、
生物の進化と似ている。
急に鳥類が生まれるわけでもないし、
急に哺乳類が誕生するわけでもない。

しかし一方では明らかに可能な技術があり、
社会制度を変えれば急激に変わると分かり切っていることも沢山あるはずなのだ。



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大塚則久『退化の進化学』

  • 講談社ブルーバックス、2006年12月。
  • 難しいけれど面白いことが一杯書いてあります。
  • 肘から先は骨が二本、膝から下は骨が二本あります。一本折れても大丈夫という意味もあるんだって。身体のどこかに骨を移植する必要がある時、ここから削るという。
  • 膝から下の二本は普通に平行についていますが、肘から先の二本はねじれてついています。このあたりを進化の歴史に沿って眺めています。
  • 虫垂は、取り除いても何ともないといわれて、虫垂炎のオペがたくさん行われたのですが、最近は、免疫機能があるといわれている。
  • 人間の身体には退化のあとも進化のあともあり、他の動物と比較してみると大変面白い。
  • 人間の耳の中の骨は、サメのアゴの骨にあたる。
  • 胎児から成人に成長する過程で、生物進化の様子を再現することがある。個体発生は系統発生を反復する。その具体例が数多く挙げられている。参考文献の多さを見ても、文章の密度を見ても、緻密な論証であることが分かる。
  • しっぽがなぜなくなったか、分かっていない。
  • ヒトで毛が退化したのはなぜか、分かっていない。男性のほうが毛深く、ヒゲがあることの理由も分かっていない。髪の毛がある理由も分かっていない。仮説はいくつかあるが難問である。
  • これは確定した説ではないと思うのだが、紹介されていたので、ここに書いておく。……脳にも性差がある。女性の脳が原型で、誕生前後に大量に男性ホルモンを浴びることで男性脳ができる。女性でも、副腎から男性ホルモンが出過ぎれば男っぽくなるし、男性でもホルモンが足りないか、出たホルモンに脳が反応しなければ、女性脳に近くなる。遺伝的な性と脳の性が一致しないと性同一性障害が起こる。性器は正常なので、自分の心と体の性が逆になる。社会は男か女か二者択一を求めるので、これらの人はつらい立場におかれる。
  • 精子が体内で長い旅をする理由は、進化のプロセスから説明できる。
  • 農業が始まって以降のヒトは自己家畜化動物といわれ、発情サインが失われている。狩猟採集民族は発情サインがあり、春にしか出産しないらしい。
  • このほかにも一杯。よく調べたものです。拍手。


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